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Revenge(リベンジ) 〜「元暗殺者」による異世界救済 〜  作者: goo
第六章 ハンター試験
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第六章 第一話 新たな土地へ

今回から第六章に入ります。

舞台は臨時村とガーサル領から、サウスマンドの都へと移ります。

ここから物語は、大きく展開が変わっていきます。




 ……俺は暗殺者だった。両親を殺した犯人が分かり、復讐をもうすぐ遂げようという所に……親友の翔が現れた。

 翔との戦いに敗れ、俺は死んだと思われた……しかし、俺は女神ディーナに、この異世界へ呼び出された。

 



 この世界に来てから、色々な人達と出会い、辛い戦いも経験した……。

 巨漢ポーとの戦い、イース達との出会い、葛藤の日々……師匠との修行の日々……臨時村防衛戦では、魔物の幹部であるシシオウに、致命傷を負わされた。だが九死に一生を得て、恩人達との繋がりを再認識した……。

 酒場では、俺の過去を正直に話した……恩人達は理解してくれた……。


 


 そしてガーサル領奪還作戦では、死闘が繰り広げられ……シシオウとの再戦に勝利し、親玉ワイドネスも倒したものの……師匠は俺達を守る為に……亡くなってしまった……。

 敵の死の間際に発せられた言葉も含め……戦いの意味を改めて認識した……。

 


 ポーへのリベンジを果たし、復興が一段落し、出発しようという時……亡くなった師匠と、俺の両親との邂逅を果たした。








 




 そして恩人である、ハンスとミズキに別れを告げ……

 今……俺は、最高の弟弟子イースと共に、サウスマンドへゆっくりと……そして着実に歩を進めていた。





守「ふぅ。だいぶ歩いたな。イース、少し休憩するか?」


イース「はい!」


 サウスマンドの都まで、あと2時間程という所で、俺達は休憩を取る事にした。


守「サウスマンドに着いたら、ハンスさんに紹介して貰った宿屋に行こう。手続きして荷物を置いたら、ハンターズギルドに行って、試験の手続きをしよう!」


イース「はい!緊張するけど……頑張ります!」


守「師匠の意志を継ぐ為に……試験を突破するぞ!」


イース「はい……!」


 俺はイースと拳を合わせた。





 再び俺達は歩を進めた。

 そして約2時間後……俺達は遂に、サウスマンドの都に到着した。


守「来るのは2度目だが……やはり壮観だな……」


イース「……凄いです……」



 サウスマンドの都は、入口付近には大きな噴水や広場、住宅街には中世北欧の、都心部の様な造りの建物が建ち並んでおり、近くの商業部では出店も沢山立ち並んでおり、活気に満ち溢れていた。



守「街や人々が、活気に満ち溢れている……良い所だな!」


イース「はい!元気が出ますね!」



 



 一通り街を見た俺達は、ハンスに教えて貰った宿屋へと赴いた。その宿屋は、住宅街と商業部の間辺りの位置にあった。


宿屋店主「ハンス様の紹介ですね。お話は伺っております。どうぞこちらへ。」



 俺達はその宿屋の一室へと案内され、暫くの間使わせて貰う事になった。俺達は荷物をまとめて整頓した後、少しだけ休憩する事にした。

 


守「幸い師匠の拡張袋には、お金も入ってる。…………。」


イース「手紙も入ってましたね……。」


 拡張袋の中には、師匠が俺達に宛てた手紙も入っていた。



「最高の弟子守、愛弟子イース。オヌシ達がこの手紙を読んでいるという事は、ワシはもうこの世にいないのじゃろう。良くぞ辛い修行と戦いを乗り越えてくれた。オヌシ達は、ワシの自慢の弟子じゃ。

 拡張袋に入っているお金も、役立ててほしい。もしハンターを目指し、試験を受け、見事合格した暁には……ワシが書いた修行の続きや、大まかな道標を記した書物を、ギルドから受け取ってくれ。

 常に皆の為に精進する事を……忘れないでほしい。

 ゲンジ」




 以上の様に記されていた。


守「……。よし、ギルドの方に行ってみるか!」


イース「はい!」



 師匠の手紙に記された言葉を胸に、俺達はハンターズギルドへの赴いた。宿屋から近かった事と、師匠が前に案内してくれていたお陰で、場所は迷う事なく行く事が出来た。


 





 そしてギルドの中へと入っていった。



 ギロッ!!



守「……!」


イース「……うわあぁっ!」


 入るなり、入口付近にいたハンターらしき人達の、鋭い視線を感じた。俺は少し驚いただけだったが、イースは腰を抜かしてしまった。


守「大丈夫か!?」


イース「…………は……い……」


 修羅場や死線を何度も潜り抜けてきたんだろう。目に宿る力や圧力が相当な物だった。



「おい。見ない顔だな。新米か……あるいは、まだハンターじゃない奴か。……人間の男の方は見所がありそうだが、そこの腰抜けドラゴンは……この程度の圧で腰を抜かす様な奴は、ハンターになったら……死ぬぞ。

 まぁそもそもそんな奴は、ハンターにはなれないだろうがな。」


 一人の大柄なハンターが口を開いた。


 


イース「………………。」


 イースはその発言に対し、何も言い返せず涙ぐみ、下を向いてしまう。


守「やってみなきゃ分からないだろ。お前が思っているより、イースは強いぞ。」


 俺はそのハンターの前に立ち、反論した。


「どいつもこいつもハンターになりたいと……どれだけ過酷で危険なものか知らんのに、馬鹿みたいに言う。

 無論、その為に試験はあるが……念には念を入れんとな。」


 俺とハンターの間の空気が、凍りつく。




「お二人さん……一名はドラゴンの子ですかね?試験の手続きはこちらですよ!」


 受付嬢が間に入るかの様に、こちらへ声を掛けてきた。


「……俺の名前はドラゴという。貴様達の顔は覚えたぞ。もう会う事はないかもしれんがな……」


 ドラゴというハンターは去っていった。





受付嬢「ドラゴさん……大柄で強面に加えて、新米ハンターさんに対して、凄い圧力をかけてくるんです……早速洗礼を浴びてしまいましたね……」


守「いえ。大丈夫です。こちらこそ気を遣わせてしまい、申し訳ありません。試験の手続きをさせて頂きたく、伺いました。」


イース「有難う御座います……ドラゴンは試験を受けられるのでしょうか……」


 イースはまだ恐怖心が抜けていない様子で、質問した。


受付嬢「ドラゴンの子という事は……ハンスさんが仰っていた、守さんとイースさんですね!問い合わせはありましたが、魔物の方でも、ハンターになれますよ!

 申し遅れました!私はマリーと申します!宜しく御願いします!」


  

 続けて受付嬢マリーは、試験についての説明を始めた。


 


 ハンター試験は、筆記試験と実技試験に分けられており、筆記試験は1ヶ月に1度行われ、合格した方が実技試験を受けられる。実技試験は指定された日が、試験日となる。

 試験は不合格でも再試験は可能だが、実技試験は一部のハンターが試験官となり、スケジュールの兼ね合いで、頻回には受けられないとの事だった。



マリー「次回の定期筆記試験は、今日から15日後にあります。そして、こちらが試験の範囲にある書物です!」


 ドサッ!!


 受付嬢は何冊かの分厚い書物を、俺達に渡した。


マリー「ハンターの心得や規則・制度、犯罪者の取締法、世界情勢や地理、傷薬等の道具の種類や効果、単体戦や集団戦の基本戦術、各戦闘技術の概要、魔物の種類や弱点、他には……」


 受付嬢は書物の内容を、詳しく教えてくれた。




 プシュゥゥゥッ!



守「!!」



 何か空気が抜ける音がしたと思ったら、イースが目を回し、頭から湯気を出していた。


守「大丈夫か!?イース!」


イース「うーん……らいじょうぶ……れす……」


守「(あと15日後か……)……無理せずで良いぞ。何なら来月の時でも……」


 その言葉を聞いた直後、イースは我に返った。


イース「大丈夫です!!頑張ります!!」






 試験は登録料が掛かるが、再受験可能という事で、俺達は結局15日後の筆記試験を受ける事にした。

 試験の手続きを済ませ、俺達は受付嬢にお礼を言い、ハンターズギルドを後にした。



守「15日間……辛いだろうが、頑張ろうな!」


イース「はい!」








 



 そこから俺達の猛勉強が始まった。

 俺の方は、ハンターの規則・制度や犯罪者の取締法等は、苦戦しそうであったが……他の項目は戦闘に役立つ物ばかりなので、自然と頭に入っていった。


 

イース「前の記憶は殆どありませんが……おそらくこういう試験は初めてです……でも、頑張ります!」



 イースの方は、苦戦していたが……あの地道な瞑想訓練を耐え抜く、忍耐強さがあり地頭も良く……徐々に書物の内容を覚えていった。









 そして15日後……筆記試験の日が訪れた。

 ハンターズギルドの試験室にて、筆記試験が取り行われた。



守「(俺の方は何とかなりそうだ……イースも頑張ってくれ……!)」


イース「…………。(冷静に……ここは良く覚えてます!……ここは…………あれ?……なんだっけぇぇ!?)」



 試験は前半と後半90分ずつ、計3時間の容量であった。

 後半の試験も終わり……俺達は合否発表まで、待合室で待機となった。



イース「うぅ……疲れましたぁ……緊張します……」


守「大丈夫だ!頑張って勉強したんだ!きっと受かるさ!」





 ………………………………




マリー「……お待たせしました。」



守・イース「……!!」




 試験の手続きを行なってくれた、受付嬢マリーが出てきた。どうやら彼女が、合否を発表する様だ。



マリー「お二方は筆記試験…………」



守・イース「…………。」









 



 






 ………………………………







マリー「……………………合格です!」




守「……おぉ!やったなぁ!イース!」


イース「はい!良かったです!!」



マリー「イースさんは何とかギリギリでしたが……」



イース「はう…………」



マリー「ですが、合格は合格です!おめでとう御座います!実技試験は過酷ですが……頑張って下さい!」


 

守「はい!イース、この調子で実技試験も突破するぞ!!」


イース「はい!!」



 俺とイースは抱き合い、筆記試験突破と勉強の日々からの脱却に……喜びを爆発させていた。




マリー「…………(実技試験は……合格するのが難しいですよ……このお二方には受かって欲しいですが……)」






 第一関門を突破した俺達であったが、実技試験の難易度や過酷さを……この時の俺達は、想像出来ていなかった……















             …… 第六章 第二話へ続く





 

 

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