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Revenge(リベンジ) 〜「元暗殺者」による異世界救済 〜  作者: goo
第五章 ガーサル領奪還作戦
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第五章 第十六話 邂逅そして旅立ち


 ポーとのリベンジ戦は……俺が勝利し、幕を閉じた。

 戦いに熱狂し、活気を取り戻した人達とともに、俺達は復興は着々と進めていった。



 

 





 復興が進む中、とある日……


守「イース。そろそろミズキさんに……ハンターになる事を説得してみるか。」


イース「……!……はい……!」


 俺とイースは、ミズキに説得を試みた。


 


イース「ミズキさん……。」


ミズキ「?どうしたの?イースちゃん。」


イース「僕は……復興が一通り終わったら……守さんと一緒に、ハンター試験を受けようと思います。」


ミズキ「…………!!……イースちゃん……。正直に言うね。私はイースちゃんがハンターになるのは、大反対です。魔物だけじゃなく、凶悪な犯罪者も相手にするのよ。

 ポーは義理堅い人だったから、何とかなったけど……犯罪者には血も涙もない奴が、ごまんといるのよ。」


 ミズキは険しい表情で、イースに返した。


 


守「ミズキさん。イースは本気です。貴方達の様に、他の誰かを救いたい。ハンターは立派な仕事だと……師匠も仰っていました。」


イース「僕はその意志を引き継ぎ……ハンターになりたいんです。」


 俺とイースは、ミズキの目を見て、力強く言った。



 



 

 そこにハンスがやって来た。

 

ハンス「イース君は人間ではないが……亜人や魔物がハンターになった例もある。念の為、俺がギルドに声を掛けておくよ。」



ミズキ「……ハンスさん!!…………それでも…………。

 ……くっ……!」


 ミズキは表情を更に曇らせ、その場から離れてしまった。





ハンス「イース君。君の想いは汲み取った。……ミズキもイース君を心配してるだけなんだ。……悪気はないから、許してやってほしい。」


イース「とんでもないです!……それだけ僕はまだまだ弱いんです……けど、ハンターになりたい気持ちは……竜一倍あります!」


ハンス「うん。分かった。ミズキには、俺から話しておくよ。

 復興が一段落したら、僕とミズキはサウスマンドに向かう為に出発するよ。……一緒に過ごすのも、あと少しになるね。守さんとイース君も、サウスマンドに行くんだね。」


守「はい。俺とイースは、ゆっくりサウスマンドへ行こうと思います。」


ハンス「分かった。それじゃ、お別れはガーサル領から出てすぐの所になるね。僕達は馬車で行く予定だから。」


守「分かりました!」









 その後も復興は着々と進んだ。


イース「ミズキさん……」


ミズキ「……。イースちゃん。これをお願いね……。」


イース「はい……。」

 

 その間、ミズキとイースの間は、復興作業、そして食事を共にする時も、ぎこちない雰囲気であった。

 俺とハンスは、その様子を静かに見守っていた。











 そして俺とポーの決闘から、1ヶ月過ぎが経過した。

 倒壊していた建物は少しずつ建て直され、復興は一段落し、ガーサル領は着実に活気を取り戻していた。



 俺達は出発の準備に取り掛かった。

 必要な物の確認を行い、師匠が使っていた拡張袋に詰め込んだ。……修行の時に使っていた石を取り出して見ると、師匠と修行を行った時の事が、思い出される。

 そして、明日いよいよ出発の日を迎える前夜……



イース「今日で一緒に食事をするのも、最後ですね……ミズキさんの手料理を食べられないと思うと……寂しいです……。」


ミズキ「……そうね……イースちゃん。まだハンターになるって気持ちは変わらないの……?」


イース「はい!」


ミズキ「そう……。………………。」


イース「……ミズキさん…………。」


守・ハンス「…………。」



 この時まで、ぎこちない雰囲気であった。

 











 そして出発の日を迎えた。

 ガーサル領の出入口には俺達を見送ろうと、ポー達をはじめ様々な人達で溢れかえっていた。


ポー「今まで有難うな!お前らの事、絶対に忘れないからな!新しい地でも頑張ってくれよ!」


守「あぁ!お前もガーサル領の守護隊……頑張れよ!」


 ガーサル領は守備の強化という事で、守護隊を編成していた。ポー達は守護隊に加入し、これからはガーサル領を守る為に、尽力していく事になった。


手下「イースさん……貴方に助けられた恩……忘れません!」


イース「とんでもないです!お互いに……頑張りましょうね!」


 俺とポー、イースと手下が、それぞれ握手を交わした。





ハンス「守さん。ここでお別れだね。今まで有難う。……師匠の意志を引き継ぐ者同士、お互い頑張ろう。目的地は同じだし、ハンターをしていれば、また会えるだろう。」


守「はい!色々とお世話になりました!有難う御座います!……そして、これからも宜しくお願いします!!」


 俺とハンスは握手を交わした。




イース「ミズキさん……今まで有難う御座いました。……毎日の様に一緒だったので……正直寂しいですが……またお会いしたいです……。」


 イースは涙ながらに、ミズキへ話しかけた。


ミズキ「…………。…………イースちゃん……!!」


 ミズキは涙を流しながら、イースを抱きしめた。


ミズキ「本当にごめんなさい!!……イースちゃんにはハンターなんて、危ない仕事に就いてほしくない!!

 ……けど、最後までイースちゃんに辛く当たってしまって……本当にごめんなさい……」


イース「ミズキさん……とんでもないです……。また……会いたいです……」


ミズキ「……うん!私もまた会いたい!!……イースちゃん。私は……イースちゃんが元気でいてくれて、幸せになってくれる事を……願っています……」


イース「ミズキさん……」


 イースも涙を流し、ミズキを抱きしめた。








 





「良かった……これでワシらは安心して、逝けるのぉ。」


守「……!!」


 聞き覚えがある声がした。声の方角は……墓場の方だった。墓場の方には、光が灯されている様に見えた。

 俺は一目散に墓場の方へ向かった。


ハンス「……?……守さん?」


 そこにいた皆は、俺の後を着いていく様に、一緒に墓場へと向かっていった。













 


 




 墓場へ着くと、そこには…………師匠が立っていた。



 

 師匠の周りには、防衛戦や奪還作戦の時に亡くなった人達も立っていた。

 そこにいた人達は皆、影がなく、実体もなく、薄く映し出された様な状態だった。



守・イース「……師匠……!」

ハンス・ミズキ「……老師……!」


ポー「……お前ら……!」


 ポーは亡くなった手下達の元へ、そして俺とイース、ハンスとミズキは師匠の元へと駆けていった。



ゲンジ「…………皆の者。……本当に良く頑張った。先に死んでしもうて、申し訳なかったのぉ。」


 俺達は首を横に振る。久しぶりの再会に、俺も含めて皆涙を流していた。


ゲンジ「ミズキと愛弟子が険悪な時は、心配になったぞい。……でも今は……大丈夫じゃな。」


ミズキ「老師……すみません……」


ゲンジ「気にするでない。関わり合えば、そういう事もある。……して最高の弟子守、愛弟子イースよ。オヌシ達には所縁のある方が来ておるぞ。」


守・イース「……?」


 師匠が指し示した先には…………








 



 




 







 俺とイースの…………両親がいた。



守・イース「……!!!」


 イースは記憶をなくした筈だが……姿を見るなり、映し出された2体の竜が両親という事が、理解出来た。


イース「お父さん……お母さん……!!」


イースの両親「イース!!」


 実体がなかったが……確かにイースは両親と抱き合っていた。心が繋がっていた。





守の両親「守……!」


守「……!……父さん……母さん……!!」


 俺も両親の元へと歩み寄った。


守「父さん……母さん……俺は……」


 俺は崩れ落ちながら、声を絞り出していたが、言葉に殆ど出来ていなかった。


守の母親「……守……。何も言わなくて良いよ……。守が辛い事を沢山経験してきたのを……見てきたから……今まで、本当に良く頑張ったね……。」

 

守の父親「俺達が死んでから……地獄の様な事を沢山乗り越えてきた……お前は本当に良く頑張った……俺達の誇りだ……」


守「……父さん……!!……母さん……!!」


 涙が更にこぼれ落ちる。もう止められなかった。


 



守の父親「……守。お前を置いていってしまい……すまなかった……」

 

守の母親「……守……辛かったよね……ごめんね……」

 

 両親は俺の肩に、優しく手を置いてくれた。


守「そんな事ないよ……俺は……今、父さんと母さんに会えて……嬉しいよ……!」

 

 そして俺は涙を流しながらも、実体のない両親と抱き合った。



 


守の父親「……守。悔いのない様に生きてほしい。…………今まで有難う。お前は自慢の息子だ!…………この世界で……強く生きてくれ!!達者でな!!」


守の母親「守は自慢の息子だよ……どうか……幸せになってね。…………今まで有難う。…………元気でね……!!」


守「うん!!……お父さん、お母さん有難う!!……俺は……貴方達の息子で……良かったです!!」


 


 そうして、俺の両親とイースの両親は、感謝の意を込めて、俺達に頭を下げた。そして天に向かって上がっていき……消えていった。





ゲンジ「最高の弟子守、愛弟子イース。両親と話せたみたいじゃな。

 ワシもそろそろいかねばな。…………皆の者!!ワシはお前らと会えて良かった!幸せじゃった!

 じゃがこれからは……お前達の時代じゃ!!優しい心を持ちながら、強く生きよ!!この世界の事を……頼んだぞ!!」


一同「……はい!!!」



 師匠は俺達の返答を聞くと微笑み、天へと旅立ち……消えていった。

 


守「…………(貴方達の事は……忘れません!!)」





 




 









 ……そして、俺達はポー達に別れを伝え、ガーサル領を後にした。


守「お二人ともお世話になりました。お元気で!」


ハンス「こちらこそ!元気で!また会おう!」

ミズキ「有難うございます……お元気で……!」

 

 領地を出てすぐ、俺はハンスとミズキに別れの挨拶をして、握手を交わした。




イース「ハンスさん。今までお世話になりました。僕……頑張ります!」


ハンス「イース君。君はもっと強くなるよ。楽しみにしてるよ。また会おう!」

 

 イースはハンスと握手を交わした。


 


ミズキ「イースちゃん……!元気でね……!」


イース「ミズキさん……ミズキさんもお元気で……!」


 イースとミズキは抱擁し、涙ながらに別れを伝えた。


 そして、ハンスとミズキは馬車で、サウスマンドへと向かっていった。





 




守「……さて。俺達だけになったな。イース。先ずはのんびり、サウスマンドへ向かうか!」


イース「はい!守さん!……これからも……宜しくお願いします!」


守「おう!これからも宜しくな!!」


 俺はイースと拳を合わせ、改めて決意を共にした。





 



 臨時村、ガーサル領……ここには、様々な思い出がある。恩人達との出会いや、修行の日々……敵との激しい戦い……


 はじめは真っ暗だった俺の心を……この世界に来てから……出会った人達が……変えてくれた。この世界に来れて、本当に良かった……。最後には師匠、両親との邂逅も果たす事が出来た。







 様々な思い出に浸りながら、俺は最高の弟弟子と、ゆっくりと歩を進める。

 

 新たな場所……そして、新たな舞台へと向かって…………


 





 




















                 …… 第五章 完

 






             …… 第六章 第一話へ続く







 


ここまで読んで頂き、有難う御座います。

今回で第五章は完結となります。

次回から、舞台は臨時村とガーサル領から、サウスマンドの都へと移ります。

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