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Revenge(リベンジ) 〜「元暗殺者」による異世界救済 〜  作者: goo
第五章 ガーサル領奪還作戦
54/88

エピソード 守⑥ 「絆」

父親の対応については、否定意見もあるかと思います。

この物語はフィクションです。その点を、御理解頂けたらと思います。


 堂田に凄惨な暴力を振るわれてから、1週間が経った。

 俺は再び登校する。登下校は翔がついていく事になった。


母親「本当に……有難う。宜しく御願いします。」

 

翔「とんでもないです。守君があんな事になったのは……離れてしまった僕の責任です。この位の事は、やらせて下さい。」




 


 登校して教室に入り、暫くすると堂田達も入ってきた。

 特に堂田は物凄い形相で、俺達を睨んでいた。その異様な雰囲気に、周りの同級生も落ち着かない、という感じであった。

 

翔「守。放っておこう。」


守「うん……。」


 俺達は堂田を見ない様にしてくると、堂田は俺達の方に近づいてきた。


堂田「おい、テメェら。また何か企んでるんじゃねえだろうな!?」

 

翔「……。」


堂田「おい!無視か!?俺を侮辱する気だなぁ!?」


 堂田は俺の胸ぐらを掴んできた。


守「……!」


翔「……!……守。わりぃ。俺の方が限界だわ。」


守「えっ……?」


 翔は堂田の腕を、思いっきり強く掴んだ。


堂田「いてぇ!何しやがる!」


翔「おい……何で一言も謝罪がねぇんだ?何か企んでる?それはコッチのセリフだ。テメェこそ、また守に暴力を振るおうとしてるんじゃねぇのか?今度おかしなマネしてみろ?容赦しねぇぞ。」


 翔は強烈な圧を、堂田にぶつけた。


堂田「ぐっ……!(こいつ……ヒョロイのに……力がつえぇ!……しかもなんだ?この気迫は……)」


 堂田は気圧されていた。


教員「おい!お前ら!何してるんだ!」


 教員が教室に入り、叫んだ。

 直後互いに手を離し、各々が席へと着いた。



堂田「(クソ…………だが、キザ野郎をボコすのは計画が必要だ……焦る事はない……)」


 








 登下校は翔が一緒にいてくれたお陰で、俺は堂田達から暴力を受けずに済んだ。

 そして土曜日となった。俺は翔と一緒に、合気道の道場へと赴いた。


守「……本日から……お世話になりましゅ!北条守(ほうじょうまもる)でしゅ!!……よ、宜しく御願いしまふ!

 (うわぁ……噛んじゃったぁ……)」


「はい!宜しくね!守ちゃん!(…………可愛い!!!)

 私は師範の、流川水葉(るかわみずは)です!」

 

 師範は女性であった。今思うと……風貌や雰囲気がミズキに似ていた感じがする。


翔「師範。守は運動が苦手です。優しく指導して頂けたら幸いです。」


水葉「うん!分かったよ!翔ちゃん!……守ちゃんは素直で優しい子なんだね!直ぐに分かっちゃった!翔ちゃんは一見クールなんだけど……優しくて熱い心の持ち主なんだよ!」


守「はい!存じております!」


翔「…………(恥ずかしいな。)……師範、そろそろ稽古を……」


 そんなやり取りの後、稽古に入った。

 先ずは柔軟から始まり、その後は水葉師範に、手取り足取り、合気道の動きを教えてもらった。

 受け方、掴み方、力の逃し方、相手を倒した後の対応等、説明や指導が凄く分かりやすかった。


水葉「相手が拳を振るってきた時……横に躱して、同時に相手の手首と腕をこの様に掴みます。」


 一つ一つの動きを丁寧に教えてくれた。

 そしてあっという間に初日の稽古が終わった。


守「水葉師範!有難うございましたぁ!」

水葉「はい!お疲れ様でした!また水曜日に宜しくね!」

守「はい!宜しく御願いします!!」

水葉「(……やっぱり……可愛い!!)」

翔「師範……目が……怖いです。」





 そして俺は帰路に着いた。

 父親と母親は心配していたが、師範が優しい人だと聞いて、安堵していた。


 

 そこから俺は水曜と土曜は合気道の稽古、それ以外は父親が考えたメニューをもとに、体力と筋力作りに励んだ。時折擦り傷が出来たりした時は、母親が優しく手当てをしてくれた。

 父親が考えたメニューの中には、「感謝の正拳突き一日100回+α」というものもあったが……俺は真面目に取り組んでいた。



 






 そして、3ヶ月が過ぎた頃だった。俺は短期間の間に、日々の鍛錬のお陰から、少しずつ強くなっている感覚があった。自信も少しずつ着いてきた。


「守くん、何か雰囲気変わったね……」


 周りも変化を感じ取っていた。


堂田「ちっ……弱虫野郎のクセによ……おい、テメェら。今日……手筈通りやるぞ。」



 






 その放課後であった。俺は翔と一緒に学校から出ようという所だった。そこに堂田達が待ち構えていた。


堂田「おい。てめぇら。待てよ。俺は今からウサギを痛めつけようと思う。止めたければ来い。」


守・翔「……!!」


 学校で飼育されていたウサギは、俺達が常に気にしていた。堂田達は先のウサギ小屋の一件以来、教員に目を付けられていた為、手出ししないと思っていたが……


翔「……守!いくぞ!」

守「うん!分かった!」


 俺達は急いで小屋へと向かった。


 






 小屋の近くに着くと、堂田はウサギ小屋を強く叩いていた。ウサギは怯えていたのが、直ぐに分かった。



堂田「テメェらが大人しくしてりゃぁ、クソ獣は手出ししねぇよ!テメェら!2人を引き離せ!」


 俺達は抵抗出来ず、堂田グループの奴に引き離される。

 そして堂田の指示と同時に、俺達は羽交い締めの状態で、複数人に殴られる。


 ボコッ!ボコッ!


翔「(守は、大丈夫か!?……ふっ。目は……生きてるな。)」

守「……。(耐えるんだ……堂田君は必ず直接近付いてくる!)」




 ……合気道の稽古の際に、想定出来る場面での対応を、練習していた。その中に自分達は羽交い締めにされ、大事な人を人質に取られた場面も含まれていた。




堂田「耐えるな……まぁ弱虫野郎は直に根を上げるだろう。大人数でキザ野郎を抑えとけ!俺は直接、弱虫野郎を痛めつける!」


 翔の方へ更に、取り押さえる人数が多くなった。


翔「(この程度の力ならすぐ抜け出せるが……今回は守に委ねよう。チャンスは…………)」


守「(…………一度きり!)」


 俺を取り押さえる人数は2人になった。堂田は両手指の骨を鳴らしながら、俺に近付いてくる。


 






守「……まだ……引き付けて…………………………。

 ……!今だ!」


 俺は隣の2人の両腕をすり抜け、交互に肘打ちを鳩尾へと見舞った。


「ぐううぅぅっ!?」


 隣の2人は悶えて倒れた。


堂田「……!!このヤロウ!!ぶっころおぉぉす!!」


 堂田は怒りに任せて、右拳を振るってきた。


守「(道場で何度も反復した…………ここだ!)」


 俺は横へと躱し、同時に堂田の右手首と腕を掴み、堂田の力を利用しながら、後ろ下へと地面に叩きつけた。


堂田「ぐべえぇぇっ!!?…………この……このヤロウおおおぉぉぉ!!!」


 堂田は怒り狂い、俺の手を振り払い、後ろを向いて立ち上がった。

 しかし、俺は日頃行っていた正拳突きの構えに入っていた。そのまま堂田の鳩尾へと、右拳を叩き込んだ。



堂田「ぐぼおおおぉっ!!?」


 堂田が悶えながら、後ろへ倒れ込む。

 そして俺は無言・無表情で、堂田の顔面目掛け、追撃の正拳突きを、全力で繰り出そうとした。


堂田「(苦しい……はっ!まずいぃぃ!?)……ひぃ!!……話せば……ごほっ……わかるううぅ!!」




 ブウウウウウウゥゥゥンンッ!!!!






 俺は堂田の顔面の直前で……拳を止めた。強烈な風音が辺りに響いた。


堂田「(あんなの喰らったら……)……ひぃ……ひいいぃぃっ!!!」


 堂田は立ち上がり、後ろへ回り込むと、一目散に逃げていった。


「堂田君!!……まってえぇっ!?」


 周りの奴ら達も、ついていく様に逃げていった。







翔「うん!練習通りだな!やったな!守!」

守「有難う!翔!上手くいったよ!」


 俺達は拳を突き合い、勝利を分かち合った。






 その後、事の顛末を教員や、両親に報告した。


母親「守……!その傷……!痛かったでしょう……無理して……でも……無事で……本当に良かった……!」


 母親は俺を抱き締めて、優しく声を掛けてくれた。


父親「……頃合いだな。教育委員会へ報告する。守……悔いはないか。」


守「うん!リベンジ出来たから!」


父親「おう!良くやったな!リベンジ……達成だ!後は俺達、大人に任せておけ!」


 父親は俺の頭を撫でてくれた。





 その後教育委員会の監査が入り、暴力を振るっていた堂田達や、今まで見過ごしていた教員は、厳戒処分を受けた。俺達は中学校以降も、堂田達と鉢合わせない様に、遠い地域に引越し、転校する事になった。

 それでも行こうと思えば、土曜は可能であったが……時期が重なり、水葉師範は道場を休業する事になった。







 最後の稽古には、翔と俺の両親も見学に来ていた。俺達は噛み締める様に、最後の稽古に取り組んだ。

 そして、別れの時がやって来た。


父親「本当に有難うございました。師範にも何とお礼を言っていいか……」

水葉「いえいえ!息子さんが無事で良かったです……無事でいてくれて……今の清々しい顔を見る事が出来て……本当に良かったです……」


 水葉師範は涙を流しながら、翔と俺を抱き締めた。


水葉「翔ちゃん……守ちゃん……本当に良く頑張りました……。でも今後は、無理はしないでね……。2人が元気でいてくれて、幸せになってくれる事が……私からの御願いです。……元気でね。……ありがとう。」


翔「はい……師範もお元気で。有難うございました。」

守「有難う御座いました!!……師範もお元気でぇっ!」


 翔は必死に堪えながら、俺はボロボロ泣きながら、別れの挨拶をした。

 








 


 その後、翔と翔の両親にも今までのお詫びと、これからに向けて改めて挨拶をし、別れた。


父親「……良い師範だったな。守。お前の誇りだな。」

母親「そうね。翔くんや御両親も立派な方達ね……。守の誇りね。」


守「うん!僕の自慢の人達!それに……」

両親「……それに……?」


守「お父さんと、お母さんも、僕の自慢だよ!励ましてくれるお父さんと、優しいお母さん!」


両親「……!……守ぅ!!」


 両親はうっすら涙を流し、俺を撫で抱き締めた。


守「ははっ!くすぐったいよぉっ!」



 




 こうして、小学生時代の俺のリベンジは幕を閉じた。

 強くなる道を示してくれて、一緒に戦ってくれた翔。

 丁寧な稽古を、優しくつけてくれた水葉師範。

 そして励まして協力して、助けてくれた父親。どんな時も心配してくれて、優しくしてくれた母親。



 様々な人達との絆を噛み締めながら、俺は新しい土地へと旅立っていくのであった……



 


 

 




 




            …… 第五章 第十四話へ続く




 


次回は本編に戻ります。

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