表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/88

第四章 第四話 模擬戦 対ハンス


 修行を再開した俺達は、ハンスと模擬戦を行う事になった。



ハンス「特に守さんは病み上がりだが……本気で望んでほしい。今回は2人同時に相手をさせてもらう。そして僕も素手で戦わせてもらおう。」


ゲンジ「ワシが立ち会おう!危険と判断したら止めるぞ!」

ミズキ「頑張って下さい!」


守「分かりました!では行かせてもらいます!行くぞイース!」

イース「はい!」

ゲンジ「では……はじめぃ!!」



 



 ゲンジの合図とともに、俺とイースはそれぞれ別方向から、ハンスへと向かっていった。俺は牽制の左ジャブ、イースは右腕の重激を繰り出す。


ハンス「(狙うなら隙が大きい方。守さんよりも、イース君の方が隙が大きい……そしてイース君の弱い箇所は、もう見えた。)」


 ハンスは、右腕の重撃を繰り出しているイースに近づくと、カウンターでイースの頭頂に手刀、更に腹へ拳を見舞った。


イース「ぐぅ!!」


 頑強な筈のイースが、今にも崩れ落ちそうになる。


守「!!(イースが今にも倒れそうに!?そんなに威力があるのか!?)」


 俺は即座にハンスの方に直進する。なるべく隙がない様に、左ジャブを中心として攻め立てる。


ハンス「(……やはり隙が少ない。でも守さんの弱い箇所も見えた。)」


 俺が左フックを打ち込むと同時に、ハンスは右へ素早く躱し、俺の背後に回り込んだ。直後に、首後ろ……延髄部に手刀を打ち込んできた。


守「……!!(何故こんなに効くんだ……!?)」


イース「うりゃぁっ!」


 今度はイースがハンスに攻撃を繰り出す。


ハンス「イース君。声を上げながらだとすぐ気付かれるよ。」


 またしてもイースの頭頂に手刀、腹部に殴打が見舞われ、イースが崩れ落ちた。


ミズキ「イースちゃん!」


 ミズキはすぐさまイースを回収し、その場を離れた。


イース「すみません、ミズキさん……」


ゲンジ「ふむ。イースは戦闘不能じゃ!後は守だけじゃ!」


守「……!!」





 


 ハンスは圧倒的だった。頑強なイースを、こんなに早く戦闘不能にしてしまうとは……

 俺はある事に気付いた。恐らくハンスはカウンター狙い。そして同じ部位を狙ってくる。イースは頭頂と腹部、俺は延髄……。理由は定かではないが、今度も延髄を狙ってくる筈だ。




 


守「(ならば……!)」


 狙ってくる場所が分かれば、対応が出来る。俺は速度を上げながら拳を繰り出す。


ハンス「(先程より速くなった。けど……)」


ハンスは俺の拳を躱し、攻撃の隙間で俺の背後を取った。


守「(ここだ!)」


 俺は延髄へ気を集中させた。ハンスの手刀は直撃したが、大してダメージは受けなかった。

 すかさず背後にいるハンス目掛けて、右フックを見舞う。右フックはハンスに直撃した……かに見えたが、それはハンスの分身だった。分身が消えた瞬間、延髄に衝撃が走る。


守「ぐっ……!(またカウンター……分かっていても喰らってしまう……一旦離れよう!)」


 俺は距離を取ろうとした。しかし、速度で大きく上回るハンスに追撃される。


守「……!(攻撃を防ぎながら、常に延髄に気を集めておくしかない!)」


 ハンスの拳撃は非常に速かった。手数も非常に多かったが、威力はそこそこだった。


守「(多少は喰らっても大丈夫だ。何とか隙を見つける!)」


 俺は拳を喰らいながら、そして防御しながら隙を見出そうとした。その時突如、ハンスが目の前から消えた。


守「(延髄の攻撃だ!気を集中させる!)」


ハンス「(先程から、狙いに気付いているみたいだね。だけど……)」

 

 ハンスは延髄の手刀ではなく、俺の脚を払ってきた。

 脚へは無警戒だった俺は、簡単に転ばせられた。ハンスは俺の顔面へ追撃を見舞う。俺は何とか追撃を防いだ。

 すぐに立ち上がり、ハンスに右拳を見舞おうとした時だった。



 




 ガツッ!!


 延髄に衝撃が走った。決定的な一打であった。

 追撃を見舞っていたハンスは分身であり、本体のハンスは俺の背後に回り、延髄への手刀を見舞っていた。


守「ガハッ……(強すぎる……一撃も入れられないなんて……)」


 俺はその場から崩れ落ちてしまった。



ゲンジ「そこまで!模擬戦は終了じゃ!お二人ともお疲れさん!(やはり、まだまだ圧倒的な差があるか……)」

ミズキ「大丈夫ですか!?守さん!」

守「はい……有難う御座います。」


 俺とイース二人がかりで望んだ模擬戦だったが……ハンスの圧勝で幕を閉じた。






 


 



 イースと俺が落ち着いた後、ハンスが話を切り出した。


ハンス「守さんはおそらく気付いていると思うけど……今回は、二人の攻撃した時の弱点を攻め込ませて貰った。」


守「はい……。」

イース「攻撃の時の弱点……?」


 ハンスは、イースが攻撃した時には頭頂部と腹部に、俺が攻撃した時には延髄部に、気が張り巡らされ切れていない所があると説明した。

 攻撃時、手や腕に気を張り巡らす際に、現状では防御が弱い箇所が出てきてしまう事を、指摘された。


ハンス「相手が気付かなければ狙われないけど……カウンターが偶然弱い所に入った……なんて事も有り得る。打突の訓練の時に、意識した方が良いと思うよ。そうすれば、不用意なダメージを貰わなくて済むからね。」


守「なるほど……意識してみます!手合わせと御指導、有難う御座いました!」

イース「有難う御座いました!」

ハンス「こちらこそ!2人の成長が、作戦成功のカギだと思っている。頑張ってね!」

 

ゲンジ「ワシも準備の為に、ちょくちょく村の外へ行かねばならん。決戦の日は少しずつであるが、近づいてきておる。身体を大事にしつつ、鍛錬を怠らない様にな。」


守・ミズキ・イース「はい!」






 



 それからは打突修行の際には、全身に気を満遍なく張り巡らせながら、攻撃をする事を意識して修行に取り組んだ。

 ゲンジやハンスがいない日も、ミズキやイース達と一緒に修行に励んでいった。瞑想も毎日欠かさずに行っていた。

 

 


ゲンジ「オラオラオラオラ!!もっと気合いじゃぁ!!気合いが全てじゃぁ!!!」

守「……!」

イース「ひぃっ……!」

 

 ゲンジが帰ってきた時には、例の石投げつけや、丸太・鉄球殴りの暴りょ……防御の修行も行っていった。

 そして防御に加え、攻撃や実戦を含めての修行の日々が続いた。ミズキとイースは気合を込めた攻撃の威力を高め、俺はそれに加えて、ゲンジから守護壁術の指南を受けていた。

 こうして、様々な修行を行う日々が続いた。





 




 

 ……そして日は経ち、非戦闘者がサウスマンドの都へ移転する準備が整いつつあった。


 



 




 


             …… 第四章 第五話へ続く





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ