表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Revenge(リベンジ) 〜「元暗殺者」による異世界救済 〜  作者: goo
第三章 臨時村防衛戦
28/88

第三章 第十話 「ただいま」


 臨時村の防衛戦は、俺達の勝利で終わった。

 しかし俺は生死の境を彷徨う、超重症を負い、応急処置を受ける手前で意識を失った……



 防衛戦の時に感じた、シシオウの強烈な殺気と咆哮、取巻きが目の前で息絶えた事、シシオウの苛烈な攻撃を受けての痛みや恐怖に苛まれていた。



 そんな時、高校の2年生でボクシングの試合に負けた時、俺を励ます為に、父親が言ってくれた言葉が聞こえてきた。


「……守!その悔しさを糧にしろ!これはもっと強くなるチャンスなんだ!負けたままじゃ終われないだろ!!もっともっと強くなって……その強敵に挑んでいけ!!その強敵を超えていけ!!

 その強敵に、Revenge(リベンジ)だ!!!」



 その言葉を胸に練習を必死に頑張ってた事を思い出した。最終的にリベンジはなされなかったが、俺はその経験から立ち向かう心と、負けても挫けない心を手にした筈だったんだ。





 ……なのにあの時怖気付いて、恐怖して……身体が震えて動かなくなって……挙げ句の果て殺されそうになった所を助けてもらった……

 あの戦いは、自分の為だけじゃなく、皆の為の戦いだったのに…………皆に申し訳ない…………自分が情けない……!!



 ………………悔しい!!!もっと強くなりたい!!!

  




  




 そう強く思った時…………光が見えた。

 ゆっくり目を開けると、そこにはゲンジ、ハンス、ミズキ、そしてイースがいた。


ゲンジ「おぉ……おぉ!!目を開けたぞい!!!」

ミズキ「守さん!!気が付きましたか!良かったぁ……良かったです…………」

ハンス「本当に深刻な状態だった……本当に良く無事だった……。」

 

イース「守さん……守さん!!良かった……良かったです!!本当に守さんがいなくなっちゃったらって考えて……………………うわぁぁぁぁぁん!!!!」



 そう言うとイースは泣きながら、俺に抱きついてきた。


ゲンジ「これ!イース!嬉しいからって大怪我人じゃぞ!強く抱き締めたらいかんじゃろぉ!」


 と言うゲンジも、泣きながら俺を強く抱き締めていた。


ミズキ「老師!言ってる事とやってる事矛盾してますよ!……私が入れないじゃないですか……でも本当に良かったです……」


 ミズキは俺の右手を強く握り、寄りかかる様に泣いていた。


ハンス「本当に良く無事だった……本当に…………。」


 ハンスは涙ぐみながら、俺の左肩に腕を添えた。



 


 4人の姿を見て、俺も涙を流した。本当に生きる事が出来て良かったと……。そして、俺は自分の胸中を語った。



守「…………あの時……あの防衛戦で、私はシシオウの咆哮と殺意に恐怖を抱き、身体が震え、足がすくみ、戦う事が出来なくなりました。目の前にいた仲間も……助ける事が出来ませんでした……。本当に……本当に……情けないです!」


ゲンジ・ハンス「(……おそらくシシオウの咆哮の効果か……)」

ミズキ「守さん程の気持ちが強い人が!?そんなにシシオウが凄かったんですね……」

イース「守さん…………」


守「シシオウは確かに凄かったです。……ですが、何よりも自分自身が情けなく、惨めだったんです。皆の為の戦いだったのに……あんな醜態を……。助けてくれたゲンジさんを始め、皆さんには大変申し訳ないと思っています。

 ……本当に悔しいし、情けないです!!!

 だから…………今度戦う時には最後まで立ち向かって……必ず勝ちます!!!!」



ハンス「!!(おそらく恐慌状態だった……特別な治療が必要であったり、生涯続く事もあると言われる異常状態を……短期間で、しかも自力で克服した!?)」

 

ゲンジ「(流石じゃ。恐慌状態を克服しよった。) うむ。オヌシの心意気……しかと聞いたぞ。」









 続けてゲンジは俺を抱きしめて、涙を流しながら優しく話した。


ゲンジ「……オヌシがシシオウと戦っていたお陰で、沢山の命が救われたんじゃ……有難う。……そして本当に良く無事じゃった…………。本当に良かった…………。

 守よ。おかえり。」


 

ハンス「守さん。おかえりなさい!」

ミズキ「守さん!おかえりなさい!!!」

イース「守さん…………おかえりなさい!!!」


 

守「……ゲンジさん、ハンスさん、ミズキさん、

 イース…………」



 ハンスは涙を流し、ミズキとイースは更に大粒の涙を流しながらも、笑顔でそう言ってくれた。

 俺も更に大粒の涙が、次々とこぼれ落ちていった。

 こんな俺を……こんな俺なんかの為に「おかえり」と言ってくれるなんて…………

 


守「(父さん……母さん……今俺は素晴らしい師匠と仲間に巡り会えたよ…………俺はもっと強くなって生き抜いて、皆を守れる様になりたい…………。

 世界は違うけど、俺はこの世界で強く生きるね……。)


 その時一瞬だけだったが、2つの光が、俺を見守る様に浮いていた様に見えた。世界は違えど、両親が俺を見守ってくれているのかもしれない……。

 


 

 

 そして、俺は涙を流しながらも笑顔で、4人にこう答えた。


 




 


 







 


 

守「……………………ただいま!!!」


 


 







               


                …… 第三章 完




            …… 第四章 第一話へ続く



 

第三章は完結となります。

ここまで読んで頂き、有難う御座います。

次回から、第四章に入ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ