表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Revenge(リベンジ) 〜「元暗殺者」による異世界救済 〜  作者: goo
第三章 臨時村防衛戦
23/88

第三章 第七話 混戦


 防衛戦は開始から、俺達の優勢で現状進んでいた。


シシオウ「(いっちょ喝を入れるか……。)

 てめぇぇらぁぁ!!か弱い人間如きなんぞ、捻り潰してしまえぇぇ!!血祭りにあげろぉぉ!!殺せぇぇぇ!!」


 例の獅子型の魔物だ。咆哮を上げると情報にあったが、敵を威圧するだけでなく、味方の士気を上げる事も出来るらしい。


「グウオォォォ!!」

「キシャァァァ!!」


 魔物達の士気が上がり、反撃に転じられた。味方の前衛達は、魔物達の攻撃を次々と受けてしまった。

 

「うわぁぁぁ!!」

「ぎゃぁぁっ!!」


ゲンジ「(……魔物達の士気が上がっている!前衛の者の負傷者がかなり出ておるな。) 負傷している前衛の者は下がれ!動けない者は後衛が補助班に運び出すのじゃ!

 残りの後衛は、更に前に出て守りを固めろ!」



 


シシオウ「(……ジジイ達が更に前に出たな……) ドグマ!同時ブレス攻撃だ!」


ドグマ「ガッテン承知でさぁぁ!!」


シシオウが合図をすると、魔物達は一斉に指揮官2体の後方に下がった直後、シシオウは火炎の息、ドグマは氷の息を吐いてきた。


ゲンジ「(まずい!!狭い洞窟内を敵側も利用してきた!)前衛は散らばれぇ!守とイースは、ワシに続けぇ!!」


 ゲンジは一目散に前に出ると、両手を前にだし、光り輝く大きな壁を作り出した。


ゲンジ「はぁぁぁぁ!!

 守!イース!ワシが作った壁に手を当てろ!そして両手に気力を吹き込むのじゃぁ!」


守・イース「分かりました!」


 俺達はゲンジが作った光り輝く大きな壁に、両手を当てがった。ゲンジの莫大な気力が、両手を伝って強く感じられた。そこから俺達は両手に気力を吹き込んだ。


 ゴォォォォォォッッ!!!

 ヒョォォォォォッッ!!!


 二つの息攻撃が壁に激突する。攻撃の威力も手に伝わってくる。身体ごと吹き飛びそうになる位の威力だ。

 しかしゲンジが作り出した強固な壁に加え、微力ながら俺とイースの気力も加わり、息攻撃は威力が弱まり、やがて消えていった。



シシオウ「(!!!(防ぎやがった……!やっぱりあいつらの力は厄介だな……)」

ドグマ「おぉん!俺達のブレス攻撃がぁ!」

シシオウ「ドグマ!これで改めて分かったな!あいつらは厄介だ!さっき伝えた分担で、確実に殺すぞ!」

ドグマ「うぉぉぉ!!ガッテン承知でさぁ!!」




 2体の指揮官と共に、魔物達が前進してきた。


ゲンジ「(後方の指揮も取りたいが、負傷者が多く守りを固めねば……仕方ない。戦いながら無線貝を通じて、補助班のリーダーに指令を出そう。)

 こちらゲンジ!後衛が連れてきた負傷者の搬送の補助と、手当てを頼む!ワシらは前方の大群を止める!」



シシオウ「おい。殺し合い中に余裕だな?」

ゲンジ「……!!」


 シシオウはいつの間にかゲンジの近くに立っていた。直後、鋭い爪が生えている右腕を振り翳してきた。3mを超えるであろうという巨体の攻撃は力強かったが、ゲンジは何とか防ぎ堪えていた。


ドグマ「うぉぉぉ!シシオウ!一緒にやるぞぉ!!」


 今度は遅れたドグマが合流してきたかと思えば、次の刹那、シシオウとドグマが同時に、鋭い爪が生えた両腕をゲンジに振り翳した。


 ドゴォォォォッッ!!!


 どちらも3mを超えるであろうという巨体の強力な同時攻撃を、何とか防いだゲンジだったが、後方に大きく吹っ飛ばされてしまう形となった。


 

ゲンジ「……!!(しまった!3人から離れてしまう!)」


守「ゲンジさぁぁぁぁんっ!!」

シシオウ「おっと!パッとしない男よ!俺が相手だ!」

守「(パッとしない男?俺の事か!)」


 直後シシオウは両腕を使い、怒涛の連続攻撃を俺に見舞ってきた。その連撃はこの世界に来て以降では、受けた事がない威力を誇っていた。


 守「……!!(マズイ!!なんていう威力だ!!)」


桁違いの威力に加え、連撃速度は非常に速く俺は両腕でガードを固めるしかなかった。両腕は爪で抉られ、鮮血が飛び散る。


ミズキ・イース「守さぁぁぁぁんっ!!!」

ドグマ「おっとぉ!女と小太りドラゴンの相手は、この俺だぞぉ!」

ミズキ「くっ……!」


 シシオウには俺、ドグマにはミズキとイースが相対する構図となった。




 


ドグマ「どっちを最初にやるのが正解かなぁ……まぁどっちでも良いかぁ!」

ミズキ「!!」


 ドグマは近くにいたミズキの方へ、右腕を振り翳した。


ミズキ「(老師を吹っ飛ばしたあの威力……私は尚更直撃を避けないと!)」


 ミズキは左へサイドステップで攻撃を躱した直後、輝水刀をドグマの腹に目掛けて、横へ薙ぎ払った。

 斬撃はドグマの腹に命中したが、刀は腹の表層で止まり、抜けなくなってしまった。


ミズキ「(しまった!刀が!)」


ドグマ「痛いなぁ。まぁ俺の身体を切り裂くには至らないけどな。おらぁぁ!」


 ドグマは左腕をミズキの方へ振り翳す。


イース「ミズキさん!」

ミズキ「イースちゃん!」


 イースは両腕で、ドグマの左腕の攻撃を防いだ。ミズキはすぐさまドグマの身体から、刀を引き抜いた。


イース「ミズキさんから離れて下さい!」


 イースは大きく息を吸い込み、白銀の息をドグマに向けて吐き出した。


ドグマ「?涼しいなぁ。いや、ちょっと寒い?まぁどっちでも良いかぁ!」


 今度はドグマが強烈な氷の息を吐き出した。それは、イースの氷の息を掻き消し、2人に直撃した。


ミズキ「きゃぁぁ!」

イース「うわ!」


 氷の息が掛かった場所は凍りついた。

 氷の耐性があるイースは、軽傷で済んだ。しかしミズキは普通の人間であり、氷への耐性はなく、かなりの凍傷を負ってしまった。


ミズキ「くっ……動けない……」

ドグマ「おっ!女の方は動けなくなった!好機だぞぉ!」


 ドグマは涎を垂らしながら、ミズキの方へ四つ脚で突進してくる。


イース「させません!」


 イースは自らの身体を盾にし、ドグマの突進を防ごうと試みた。しかし力で勝るドグマに押し込まれ、ミズキもろとも洞窟の壁に激突してしまった。

 ミズキはその衝撃に身体が耐えられず、吐血した。


ミズキ「(……くそ!私の身体動け!動け!動けぇぇ!)」


ドグマ「女の方はあと一押しかぁ。もっと苦労すると思ったけど、案外楽勝だったなぁ。」


 ドグマが再びミズキの方へと向かう。


イース「……まだです!」


 イースはドグマを両腕で止めて、前進を防いだ。


ドグマ「また小太りドラゴンかぁ。いいやぁ。こいつを先にやっちまおう。」


 ドグマは両腕を交互に次々と振り翳し、イースの身体を打ちつけていった。


イース「ぐぅぅ!!」


 打ち込む度に衝撃音が鳴り響き、イースの身体も耐えきれず、吐血した。


ミズキ「うぉぉぉぉっ!!イースちゃんをこれ以上傷付けるなぁぁっ!!」


 ミズキは渾身の気力を振り絞り立ち上がると、必殺の斬撃をドグマに見舞った。


ミズキ「水月斬(スイゲツザン)!!」


 水色の大きな斬撃はドグマの身体を大きく切り裂いた……かと思われたが、またしてもドグマの身体は表面を傷付ける程度に終わった。


ドグマ「びっくりしたなぁ。でも多分水攻撃は俺にはあんまり効かないぞぉ。」

 

ミズキ「くっ……!(技の相性が悪い!このままじゃ……)」



 

「ガアアアアアアァァッッ!!!!!!」

ドグマ「おぉ。シシオウの強狂化の咆哮だぁ。戦ってる男はもう終わりだなぁ。俺もいそがねぇとぉ。」


ミズキ・イース「(守さん…………!)」


 乱戦となり姿は見えなかったが、離れているにも関わらず、シシオウの強烈な咆哮がミズキとイースの身体を硬直させる。





 

 相性の不利、更にはドグマの圧倒的な攻撃力と防御力を前に、ミズキとイースは窮地に立たされる……

 


 





             …… 第三章 第八話へ続く


 

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ