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第二章 第七話 志願


 ポーの取巻き達に暴行を加えられたイースを発見し、返り討ちにされそうになった所を、ミズキが助けてくれた。俺は昔あった親友との出来事を重ね合わせ、とある決心をする。



 翌日朝目が覚めると、ゲンジとハンスが戻ってきていた。ミズキ達が用意した、絶品の数々が食卓の上に並んでいた。


ミズキ「守さん!おはようございます!ハンスさんも戻ってきましたよ!」


ハンス「はじめまして。ハンスと言います。老師から守さんの事は聞いているよ。困った事があったら何でも言って欲しい。」


 ハンスはそう言うと、俺に握手を求めた。


守「俺は守と言います。有難う御座います。宜しくお願い致します。」


 俺はそう答えると、ハンスと握手を交わした。

 ハンスは俺よりも少し年上の様で、髪は銀髪で、容姿も淡麗、身長は俺よりも5cm程高い175cm程で、翔と同じ様な細身な体型だった。また感情の起伏が殆どない印象だったが、ゲンジやミズキと同じ様に、暖かい雰囲気も持ち合わせていた。


ゲンジ「イースもハンスとは初対面なのじゃが……寝てるのぉ……(可愛いのぉ……)……守もそうじゃが、イースも傷だらけじゃのぉ。」

 

ミズキ「そうですね……(可愛い……)……沢山傷ついて疲れてもいるでしょうから、無理には起こさないでおきましょう。」


ハンス「この子がイース君だね。(可愛いな……)……もう少し休ませてあげようか。」


 3人の何だか微妙な間があったが、寝ているイースは無理には起こさず、4人で食事を取った。

 ハンスも玄龍国出身であり、ハンター歴は約10年近くになるそうだ。ミズキとは少し前からハンター業を共にしている。

 

 ハンスは苦無術や忍術、ミズキは刀術を主に得意としているが、ゲンジが習得しているという剛体術や守護壁術の適正はなかったと言う。

 ゲンジ曰く、剛体術は身体中に気を張り巡らせ、防御力を高める防御術。守護壁術は、両手に気を集中的に集め、気の壁を作り出していく防御術との事だ。


ゲンジ「他にも気功、闘気を扱う事が得意での。その適正がある者はある程度いるのだが……剛体術や守護壁術の適正を持つ者はいなくての……。ハンスやミズキには体術いわゆる空道等の、武術の基本等は教えてやったが。」


 ゲンジは少し寂しそうに言った。



 


 ……俺が決心した事をゲンジに伝える。


守「ゲンジさん!頼みがあるんです!俺はここに来てから、助けてもらってばかりでした!……俺はイースを助けられる力が欲しい!守る為の力が欲しいんです!」


 俺はゲンジに向かって土下座した。


守「何も出来ないままでは、嫌なんです!ゲンジさんの元で修行させて下さい!ポーから俺を助けてくれた様に……今度は俺がイースや助けを求める方達を助けたいんです!!!」


ゲンジ「(コヤツ……やっぱりあの方に似ておる……)守……頭を上げてくれ。」


 そう言われた為、俺は下げていた頭を上げ戻した。

 ミズキは大変驚いており、ハンスも少し驚いている様子だったが、ゲンジは優しい目をしながら、俺を見ていた。


ゲンジ「ちょいと表に出ようかの。ハンス、ミズキ、留守を少しだけ頼めるか?」


ハンス・ミズキ「はい!」


 そう言葉を残し、ゲンジと俺は外に出た。



 



 外に出歩いて暫くした後、ゲンジは話を切り出した。



ゲンジ「実はな……ワシが得意としている剛体術と守護壁術の適正を持った者は、ワシの師匠以外では今まで会った事がなかった。ハンスもミズキもそれぞれ得意とする武術で、別々の師匠がいるんじゃ。ワシは老師とは言われているが、そう言う意味では、ワシの真の弟子は1人もおらんかったかもしれん……」


 ゲンジは感慨深いという様子で、話を続けた。


ゲンジ「そこに守とイースが来よった。ワシはオヌシ達を見た瞬間に分かった……。実は守には、剛体術と守護壁術の適正があるんじゃ。イースにも実は剛体術の適性があり、守とイースどちらにも気功や闘気を扱う格闘術の適性があるんじゃよ。」


守「そうだったんですね……(これが、あの時の女性が言っていた、光の力の事なのか……?)」


ゲンジ「ただ本人が望まぬ限り、それは言わないでおこうと思った。修行はあまりに過酷になるじゃろうからな……。だが守。オヌシは守りたいものがあるから、習得したい。そう言うんじゃな?非情なまでに厳しく、険しく、困難な道になるが、それでもやると言うのか?」


 ゲンジは厳しい顔をしながら、俺に問いかけた。


守「俺は……両親を殺されたんです。俺は犯人に復讐して殺そうとしていたのを、親友は俺を殺そうとしてまで、命懸けで全力で止めてくれた……けれど俺は復讐しか頭にないまま、親友に刃を向けていたんです。イース達と関わる内に、俺は何て自分勝手だったんだろうと気付きました。親友やゲンジさん、ミズキさんがそうしてくれた様に、今度は俺がイースや助けを必要とする方達を助けたい……そう思ったんです。」


ゲンジ「そうか……しかと聞かせてもらった。その時の詳しい事は、また気が向いた時で良いから、聞かせて欲しい。

 出来ればその時はハンスやミズキ、イースにも聞いてもらえると良いかもしれんな。彼らならば守の良い理解者になれるじゃろうて。そして、悩んでいる時は遠慮なく言うんじゃぞ。……敵地偵察はまたハンスに行ってもらう予定じゃったから、早速今日から暫く修行といくかの!」


守「……はい!宜しくお願い致します!!」


 


 こうしてゲンジが得意としている剛体術や守護壁術……あの時の女性曰く、光の力の習得に向けて、修行が始まったのであった。






             ……第二章 第八話へ続く




 

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