エピソード 守① 「翔との出会い」
主人公守のエピソード編です。
2話にかけての投稿となります。
本編との繋がりもある為、読んで頂けたら幸いです。
……俺が小学校の頃。運動が出来ず、力も弱く、勉強もいくら頑張っても中々出来ない……そして自分に自信がなくなり、元々の気持ちの弱さが更に弱くなっていた。
そんな俺の気弱さを、周りの人間が癪に触ったのか……
俺は4年生の途中から、いじめを受けていた。すれ違い様に叩かれたり、誰からも遊んではもらえず、聞こえる様にありとあらゆる悪口を浴びせられていた。時折、放課後の時はガキ大将である堂田達のグループがこぞって、俺に暴力を振るっていた。
……イースが暴力男達に振るわれていた様に……
そいつらは俺の顔にはそこまで攻撃せず、俺の両親にバレない様に体の方を集中的に攻撃していた。
教員はというと、そんな俺には目もくれず、関わろうとはしなかった。両親には心配させたくないと、両親にもこの事を言えず、自宅では気丈に振る舞っていた。
そんな中、5年生になった時だった。4月からの転校生で、名前は南原翔。
翔は始めの挨拶をそっけなく済ますと、黙々と授業に入り込んだ。勉強が出来、要領も良く、運動神経も抜群であり、全教科成績優秀であった。
翔は一見冷めた様な雰囲気を持っており、転校生というのも相まって、堂田達に目をつけられていた。堂田グループの奴らが殴り掛ろうとするが、翔はどんな時もソイツらの攻撃を躱して、平然とその場を通り過ぎていった。
堂田も殴り掛かろうとするが、翔はヒラリと躱し、
翔「そろそろ教員に報告すっけど、良いのか?」
と言い放った。
堂田「てめぇ!チクんのか?女々しい奴め!」
と堂田が叫んだが、
翔「必要と感じたら教員に報告するよ。俺をこれ以上邪魔するんならね。」
堂田「くっ……」
堂田は何も言えなくなってしまった。
それ以降は、翔と絡んで来る奴はいなかった。翔も他人に興味なしと、放課後はすぐに帰って勉強したり、道場?に通っていた様だった。
俺は憧れた。そんな翔が羨ましかった。友達になりたい。友達になって、俺は翔の強さを間近で見たい。そんな風に思っていた。
早速翔に、友達になろうと声を掛けるが、
翔「すまん、俺忙しいんだわ。今日は合気道の稽古、終わったら勉強しなきゃいけないんだよね。悪い。(俺と友達になりたい?変わった奴だな……)」
と一掃されてしまった。
だが俺はいじめてくる奴、それを傍観してる人達とは違う何かを、幼いながらに感じ取っていたのだろう。次の日も、またその次の日も俺は諦めずに、ひたすら一緒に遊ぼうと声を掛けた。
翔「(やっぱり変わった奴だな……)……うーん。今日は合気道も剣道の稽古も休みだから、少しの時間なら気分転換にサッカーなんてどうだ。」
守「ほんと?やったぁ!」
嬉しかった。そんな中、運動場でサッカーのシュートや一対一でのパスやドリブル練習なんかをやった。しかし俺は運動神経がない為、ボールを蹴ろうにも空振りしたり、脚が絡まって転んだりしていた。
翔「……ぷっ!お前酷いなぁ!……見てらんねぇ。いいか。まずパスをするときはだな……」
翔は色々と教えてくれた。翔はサッカーも上手だった。
剣道や合気道の稽古が休みの時は、少しの時間だが、あれこれとサッカーを教えて貰ったりしていた。そのお陰で翔には到底及ばないが、少しずつパスやドリブルが出来る様にはなった。本当に嬉しかった。
守「翔くん、有難う!少しずつ出来る様になってきたよ!」
翔「おう。まぁ俺も良い気分転換になってるよ。勉強や武道の稽古に明け暮れていたからな……。(何だかこいつが上手くなると俺まで嬉しくなるんだよな……。不思議だ。)」
……しかし、とある日の朝、事件が起きた。
……エピソード 守② 「親友」へ続く




