朝の十分、貴重です
日が昇って朝になる。
まず目を覚ましたのはスインだった。
「六時十分……目覚まし鳴ったかな」
目覚まし時計のボタンは押してある。
スマホを探そうと、スインはベッドの周りを見渡す。
(止めたのかな……まあいいや。スマホはリビングかな)
コネルやヤスミットを起こそうとするスイン。
「おはよう、コネルさん、ヤスミットさん。朝ですよ」
起こそうとしたスインは手を止め、やや間を置いて声をかけた。
「………………」
しばらく様子を見るスイン。
「六時過ぎましたよ」
「え!?」
がばっと起きるコネルはあわてて時計を見る。
「本当だ。目覚まし止めちゃった?」
「僕が押しちゃったと思います」
「スマホのスムーズは?」
「どこかに置き忘れたみたいで。ちょっと探してきますね」
「あ、うん。お願いね」
まだ眠っているヤスミットのために、スインは静かに部屋を出る。
(どこ置いたかな……)
寝る前にはスマホは充電する。
(当たり前のことだからこそ、忘れてしまったのかな?)
ダイニングをさっと見て部屋を出るスイン。
(リビングかな?)
首をかしげつつも、廊下を歩くスイン。
(別の場所で充電した、と思っておこうか)
リビングに行くとテーブルの上にスマホがあった。
(あった、あった。よかった)
スマホを手に取るスイン。
バッテリーの残量を見て、リビングの充電器につなぐ。
寝室の扉をノックする。
「リビングにありましたよ。今充電中」
「ありがとうスインさん」
「僕は庭に水をやってきますね」
返事を聞き部屋を去ろうとすると、扉を少し開けてコネルは首をにゅっと出す。
「挨拶遅れちゃったね。おはよう、スインさん」
「おはよう。コネルさん」
挨拶を交わすとコネルはスインに薄手のコートを手渡す。
「おはよう、トビー、デイジー」
コートを羽織ると、いつの間にか寄ってきていた愛犬たちにもスインは挨拶した。