寝る子は育つといいますし
(お風呂から出るとどうして眠くなっちゃうのかな)
ヤスミットはお風呂から出てしばらく動物図鑑を読んで眠気を感じた。
歯磨きに向かい、歯磨き粉を出して歯を磨く。
イチゴ味が口の中に広がり、何度も歯ブラシを往復させると泡が広がっていく。
「おひげみたいだね」
鏡に映った自分を見ていると、お風呂から出てきたスインが話しかけてきた。
「らってこうひうのたのしふなってふるんだもん」
「まずは口をゆすごうか」
スインはコップに水を入れてヤスミットに手渡す。
ヤスミットは受け取ると、ブクブクと口をゆすぐ。
何度かゆすいだ後、口元に泡が残っているのにヤスミットは気づく。
(顔洗お)
水道の蛇口を開けて水を出し、口元を洗う。
洗い終え、タオルを探しているとスインが差し出してくれた。
「ありがとうお父さん」
口元をふき取るヤスミットをやさしく見つめ、スインタオルを受け取る
「やっぱり歯磨きって楽しいね。あわあわになって」
「奥までちゃんと磨くともっとあわあわになるよ」
「本当?やってみようかな」
休みっとがもう一回歯を磨こうとすると大きなあくびが出た。
眠気も襲ってきたのか、ヤスミットは何度か目をこする。
「今日はもう遅いから、また明日やってみてごらん」
「はーい」
スインの言葉に従い、一緒にベッドまで向かう。
うつらうつらしながら歩くヤスミット。
スインはそのあとをゆっくり歩いている。
「そっちで良いのかな?」
スインの言葉に部屋を通り過ぎたことに気がついて、ヤスミットは廊下を戻る。
「お休み、お父さん」
「お休み、ヤスミットちゃん」
ベッドに横たわる前にヤスミットは夜空を見る。
夜空には満月が浮かび、星が輝いていた。
(もうちょっと起きていても良いよね……)
眠たい目をこすり、ヤスミットは夜空を眺めようと窓辺に近づく。
「よく眠ると大きくなれるよ」
窓辺に到着して少しすると、スインがヤスミットに話しかける。
しゃがんで斜め方向からヤスミットに目線を合わせ、ゆっくりとした口調で話す。
「うん、わかった」
ヤスミットは首を縦に振って話すと、またベッドに戻る。
(早く大人になりたいなあ……トビーやデイジーたちと遊びたい)
ベッドで横になったヤスミットは心の中で呟いて瞳を閉じた。