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#39 迷子になる人、ならない人


 水曜日の図書当番をしていると、不意にキヨカが語りだした。



「ずっと考えているんですが」


『うん? 何を?』


「浮気や不倫する女の人の気持ちとか状況とか。 愛する人が居るのに他の男性に体や気持ちを許す切欠や状況とか、私にも起こりうることなのかな?って」


『なるほど』


「いくら考えても、そんな状況がイメージ出来ないんですよね。 セックスが好きで色々な男性としてみたいっていう人はまだ理解出来るんです。 倫理感よりも性欲や快感を優先してるっていう事は理解出来るんです。 決して共感は出来ませんけどね」


『うん』


「そうじゃない人、純粋に彼氏や旦那さんを愛していた人が浮気するのが分からないんですよねぇ」


『う~ん・・・俺にも分かんないんだけどさ、なんかこう、見えない力とか経験したことのない状況とか雰囲気とか、そういうのに流されるっていうか抗えなくなるっていうか、気持ちがブレちゃうような・・・ごめん、上手く言えないや』


「よく”一時の気の迷い”って言いますよね?そんな感じですか?」


『そうだなぁ、気の迷い・・・迷ってる時点で、彼氏や旦那のことを愛しきれてないのかなぁ』


「あ、でも1つだけ分かるのは、気の迷いって、本質が見えなくなってるから間違うんですよね。 自分にとって何が一番大切か、自分の行動がどういう結果を導くのか。そういうのが見えてないから迷った挙句に間違えるんでしょうね」


『なるほどねぇ 見えない力に流されて、心が迷子になってはぐれて、道を間違えて不幸に陥る、か。 チャレンジして失敗するのと、迷って間違えるのって、似てるようだけど、本質が見えてるか見えてないかで違うんだろうな』


「そう考えても・・・やっぱり浮気とかは自分には起こりえないことだと思いますね。 だって私は迷子になんてなりませんから」


『ほう、その心は?』


「だって、目の前のセージくんに突撃するだけですからね、私は。 今までもこれからも、迷子になりようがないですよ」


『そうか? 俺よりもいい男なんて腐るほどいるよ?』


「何言ってるんですか。 セージくんほどキラキラに輝いて眩しい人、他に居ませんよ? もうどこに居てもすぐに分かるくらいキラキラなんですよ? 迷子になりようがないですもん」


『え? 結局、俺ってキヨカにすげぇ愛されてるっていうオチなの?』


「え?」


『いや、そこで不思議そうな顔されても・・・』


「ウソウソ!ウソですよ! 超愛してますよ♪ ダーリン♡」


『うわ、なんか急に胡散臭くなったぞ』


「えへへへ」


『いや、テレるとこじゃないし!』




 大丈夫

 キヨカもキラキラに輝いてるからさ


 とは、恥ずかしくて死んでも言えないけど。




「例えばですよ? セージ株式会社があったとするじゃないですか。 そこにキヨカ株式会社がTOBでセージ株式会社の株を買い占める訳ですよ。 そしたらセージ株式会社はキヨカ株式会社のものじゃないですか」


『え? 何の話してんの? 意味わかんないんだけど』


「だーかーら! セージくんの愛情は私が独り占めするって話ですよ! 独占禁止法上等ですよって話!」



 う~ん、TOBとか独占禁止法とか最近そういう本読んで、多分言葉使いたかっただけだな。

 散々分かってたことだけど、やっぱ変な奴。





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