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#35 キヨカはやっぱり



 ねーちゃんが落ち着くまでキヨカに任せて、俺は台所に行って昼食の準備をすることにした。



 二人ともヘビーな話をして食欲も中々厳しいだろうと、消化の良さそうなうどんにする。


 スープは粉末の物を使い、麺は冷凍。

 ホウレンソウがあったので、下茹でして水気を絞り適当な大きさにカット。

 あとは、玉子を落として刻みネギ乗せて月見うどんに。



 10分ほどで3人分出来上がったので、ねーちゃんの部屋に呼びに行く。



『二人とも、うどん作ったけど食べられそう?』


「ええ、頂くわ。ありがとう、せーくん」


「なんと!セージくんの手料理ですか!」


『おう、たまにはな』



 3人で俺の作った月見うどんを食べる。



「温かくて美味しいわ」


「そうですねー、まさか愛しのダーリンの手料理を頂けるとわ」


『冷凍麺茹でただけだし、大したもんじゃないよ』



 食事が終わり、そのまま3人でお茶を飲みながら一息つく。



「それでなんですけど、セツナさんはこれからどうするんです?」


「これから?」


「ええ。 過去のお話は分かりました。 でも・・・私が言って良いのかわかりませんが、もう終わったことですよね? 今考える必要があるのは、これからのことじゃないですか? 小説を書いてるなら本格的に小説家を目指すとか、学業が途中のままになってるのなら、大検を受けてみるとか。 過去の行いを反省するのも必要ですけど、セツナさんには前も向いて欲しいです」


「・・・せーくんが言ってた通りね」


『だね・・・』


「え? 私、変なこと言っちゃいました?」


『いや、当たり前の顔してそんなこと言えるの、流石キヨカだって俺もねーちゃんも感心してるんだ。 俺もキヨカの意見に賛成だよ』


「そうね・・・でも、正直どうしたら良いのか今は何も思い浮かばないわ」


「まずは、やりたいこととか無いんですか? 例えば・・・行きたい場所とか、会いたい人とか」


「会いたい人・・・」


「あ!ごめんなさい、ちょっと無神経でした・・・」


「いえ、いいのよ。 そうね、高校時代の親友に会いたいわ。 最後物凄く迷惑掛けて退学以降一度も連絡取ってないの。 1度で良いから、会ってちゃんと謝罪したいわ。 でも、相手は私に会いたくないだろうね・・・・」


『それって、ユキさん?』


「そうよ」



 ユキさんは、来栖ユキさんと言って、ねーちゃんの高校時代の友人で、同じ生徒会で副会長だった人。

 とても面倒見が良いお姉さんタイプで、猪突猛進タイプだったねーちゃんをいつもフォローしてくれてた人だ。 当時ウチにもよく遊びに来てて、ねーちゃんはユキさんを凄く信頼して頼りにしてたし、ユキさんは俺のこともせーくんと呼んで可愛がってくれていた。



『電話番号とか分かる?』


「スマホは解約して処分しちゃったからケータイ番号は分からないけど・・・あ、でも探せば生徒会役員の名簿があるかも。 自宅の電話番号ならなんとかなるかしら」


『それ分かったら俺に任せてよ。 俺が一度ユキさんに会ってみる』


「でも、せーくんでもユキちゃんに何言われるか分からないわよ? 私のせいで嫌な思いをさせられないわ」


『あのさ、もうそういう時期は終わりにしようよ。 ユキさんに罵倒されるの覚悟で会ってくるって言ってるんだからさ。ビビって手をこまねいてても何も始まらないよ?』 


「なら、私も一緒に会いに行きますよ。 セツナさんの義妹だって言って一緒に頭下げます。 それでセツナさんの代わりにお話し聞いてきます」


「二人とも・・・少し考えさせて。 でも、二人ともありがとうね」


『好きでやるお節介だから、気にしないで』



「ところで・・・・そろそろ豆大福を・・・・」


『おおそうだった。 食べようか』


「待ってましたぁ! セツナさん!豆大福ですよ! 疲れた頭には糖分ですよ!」


「ふふふ」




 ねーちゃんの話を聞いてキヨカが何て答えたのかは聞いていない。


 けど、キヨカがねーちゃんを傷付ける様なことを言ったりしないのは分かってる。

 だから俺はキヨカを信用して、キヨカがねーちゃんにどんな話をしたのかは二人には聞かないことにした。




「そういえば知ってます? お汁粉に大福入れた超ド級スペシャルなお汁粉あるんですよ」


「え!? お汁粉に大福ですって!?」



 最近ふくよかになったキヨカが、豆大福モグモグさせながら更にふくよかになりそうな話を始めた。

 キヨカはやっぱり最後までキヨカだった。






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