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#02 鈴宮キヨカと図書委員


 初の図書委員の集まりには、特に鈴宮キヨカに声を掛けることなく一人で図書室に向かった。


 一応クラス毎に座る様になっていたから、自分のクラスの席に座りスマホをいじって時間を潰していた。


 しばらくして鈴宮がやってくると、俺の隣に座り

「東雲くん、1年間よろしくね?」


『あいよ。こちらこそよろしくね』


「うふふ、なんか東雲くんって図書委員とかイメージにないね?」


『え?そう? 読書好きだから図書委員になったんだけど。 因みに1年でも図書委員だったよ』


「え!そうなんだ・・・ごめんなさい。勝手にイメージしてた」


『ああ、別に気にしてないからヘーキだよ。 ところで俺のイメージってどんなの?』


「う~ん、明るくて面白い人? あ、でも話しかけやすそうだと思った」


『へぇ~、チャらくて軽そうってことか』


「ち、違う違う! 軽そうとか思ってないよ!」


『ふふ、まぁまぁ、自分でも軽いと思うし、そんなにムキに否定しなくても良いよ』


「ううう、ごめんなさい・・・」


 そこで、全員集まりミーティングが始まった。


 鈴宮は実際に喋ってみると、意外とフレンドリーな子だった。




 ミーティングでは、週1回の図書当番をどの曜日のどの時間にするかをクラス毎で分けた。


 そして、俺のクラス(つまり俺と鈴宮)は水曜日の放課後と決まった。

 お昼休憩のが時間が短くて楽なので、最初そっちを狙ったけど、鈴宮がジャンケンで負けて放課後になった。


「東雲くん、私のせいで、ごめん・・・」


『まぁまぁ、気にするなって。 俺、帰宅部だし、特に問題ないよ』


「ううう、東雲くんは優しい人だ。こんな時でも全然怒らない・・・・」


『急にどしたの? 鈴宮さんは水曜放課後は何か用事でもあるの? 最悪、俺一人でも大丈夫だよ?』


「ち、違うの!そういうことじゃなくて・・・図書当番はちゃんと私もやります」


『了解。じゃあこれからよろしくね』


「うん、よろしくね」



 こうして俺と鈴宮は、週に1度、水曜の放課後は強制的に二人で時間を過ごすことが決まった。





 二人での図書当番は、案外気楽で楽しかった。


 普通に会話出来る程度には交流出来ていたし、話していてお互い読書が趣味だと知り、妙な仲間意識みたいなのも生まれつつあった。


 読書家同士のあるあるで、お互い読書が好きと分かると、オススメ本の貸し合いやら、それを読んでの感想会やらを毎週の図書当番の度にするようになり、鈴宮とは教室でも挨拶程度はするようになった。


 ただ、教室では飯塚の目が気になったので、俺の方から積極的に話しかけに行くことはほとんど無かった。

 鈴宮も同じなのか、周りの目を気にしているようだった。


 まぁ、軽そうな男の俺と、大人しいイメージの鈴宮が教室で絡んでると、注目浴びちゃうしね。

 その辺はお互い分かってると思う。


 その分、図書当番の日は、楽しく過ごしていた。

 鈴宮も、好きな本のことになるととても饒舌で、キャラ変わるくらいよく喋った。

 俺も、普段一緒に居る連中とは本の話なんて全然出来なくて、共通の趣味の友達が出来て嬉しかったし、そんな鈴宮を見てるのが楽しかった。



 この頃の俺は、鈴宮キヨカを、気の合う女友達、と思う程度で、恋愛感情は特に無かった。

 飯塚のこと考えると、メンドクサイことになりそうだしね。









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