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街の雑談 被弾のアリア

 はじめまして。

 わたし、アリアといいます。

 年齢は秘密です。妙齢ということで。あ、別に若作りしてるわけじゃないです。正直にいうと、若造と舐められたり、相手によってはなぜか年寄り扱いで落胆されたり、かとおもえば逆に興奮する人がいたりと煩わしいので黙秘が習い症になってます。なんなんでしょうね。

 身長は百六十五センチで体重はリンゴいっぱいと。スリーサイズは、そうですね、とびっきりよくはないけど悪くもない。中の上くらいとおもってくれたらいいかな。曖昧だって? 別にいいじゃない。わたしは頭で勝負してるの。それに、知ったところであなたには目の保養にしかならないんだし。あ、ごめんなさい。ちょっといいすぎました。お客さまは神さまとおもえがボスの口癖なのに。とにかく、あれです、知的でクールなややスレンダー体型のひなには稀のいい女――そうおもってくれたら当たらずとも遠からず、かな、かな?

 仕事は記者をしてます。頭に新米の二文字がつきますが。

 担当は女性向けの飲食とファッションです。

 どこそこにおしゃれなレストランが開店したとか、あそこの店員がかっこいいとか、今年の流行色とか、番付とかを手がけています。

 好評ですよ。

 みなさん忙しいですから。

 効率よくおしゃれやグルメを楽しめるっていっていただけます。

 流行りものに敏感な人でも、常時、五十万人が住んでいる大都市の隅から隅まで網を張るなんて無理な芸当です。足が棒になってしまいます。

 やりがいのある仕事です。

 デートがうまくいったとか、おしゃれなお店でプロポーズしたらOKがもらえたとか、多くの人に喜んでいただけると記者冥利につきますね。

 ただ、男所帯の悪い風習が色濃い職場なので、体を張ってとってくる情報じゃないと――胃袋は酷使してますが――軽く見られがちで、それがちょっと不服かな。

 あ、ちょっと待って。

 今のはズシリときた。

 ――莫迦だ。頭突きしたのがひっくり返ってる。これであきらめて退散してくれればいいのに、嫌ね、地の底から湧いた下等な霊統は見苦しくて。――どういう意味かって? さあ。受け売りだからわかりません。

 そういうことで悪いけど自己紹介は後回しね。文字通り、手が離せないの。

 木にしがみついている。

 もちろん、木登りが趣味ってわけじゃない。コツコツ節約して貯めたお金で買った服が汚れることなんか誰が好き好んでするもんですか。必要に迫られてのことよ。正確を期すと、巻きこまれたになるんだけど――読者受けする派手めなネタをお願いしたのはこちらだから文句はいえない。

 足元を見る。

 あ、駄目。

 おぞましいモンスターを見てたらめまいがして手が震えてきた。

 だから、対極を見る。

 二十メートルほど先で十握さんが戦っている。

 かっこいい。

 芝居の殺陣だってこうは軽やかにいかない。動きに一切の無駄も力みもない。涼しげな顔。汗ひとつ掻いてない。わたしだって生き馬の目を抜くラウドの住民だから、それなりに刃傷沙汰を見てきたつもりだけど、こんなのはじめて。普通、荒っぽいことをする時は感情が爆発するものよ。怒りとか、極度の興奮状態でわれを忘れているとか、クズなら嗜虐心の充足に下卑た笑みを浮かべるとか。――なのに、十握さんときたら、喫茶店で紅茶を飲んでる時みたいに落ちついているじゃない。

 それにしても……いい男。

 表現力で勝負するのが記者だけど他に言葉が浮かばない。もし、彼にぴったりの形容詞を生みだすことができたらその人は歴史に名を残せるんじゃないかな。

 女性であれば腰を曲げたお年寄りからお手玉で日がな一日を潰せる子どもまで、果ては同性愛者だろうと陶然と見蕩れる美青年をどう表現したってもの足りないんだから。

 あ、駄目。

 今度は視界に紗がかかって手の力が抜けてきた。

 名残惜しいけど、死にたくないからあさっての方向を向くね。

 そういうことで空を見る。

 わー、中天に浮かぶ雲がお魚みたい……って、現実から逃げちゃ駄目よ、逃げちゃ駄目。

 とにかく天に祈ってみる。

 わたしにできることはそれだけだから。

 天にましますわれらが神よ。えーと、なんだったっけ? われは仲間を汚し破滅をもたらす汝らを大いなる復讐心と激しい怒りでもって打ち倒すであろう。鶏が鳴く前に、三度、わたしをしらないというであろう。アテー王国マルクート峻厳ヴェ・ゲプラー荘厳ヴェ・ゲドゥラー永遠に《ル・オラール》かくあれし《アーメン》。エロイムエッサイム、われは求め訴えたり。ベントラ、ベントラ、スペースピープル。

 しってる文言をすべて唱える。高度なん千キロにいるのかしらないけどこれだけいえばどれかひとつは天の高みに届くでしょう。

 十握さんの手前、十字を切るのはやめとこう。

 十握さんは宗教が苦手らしいから。

 神さまに愛されたからあの容姿、能力だとおもうのに不思議よね。

 老人班の浮きでた司祭に迫られた苦い経験でもあるのかしら?

 ま、敬虔な信者になったらせっかく授かった容姿が宝の持ち腐れになっちゃうか。

やっぱり、なろうで書く以上、定番である一人称ははずせないということで、今回、挑戦してみました。と、いうか、ちゃんと一人称でも書けるんだぞってところをみせたいという見栄っ張りなところがあって。長くなりそうなので分割することにしました。どうでしょう、うまく書けてますか?

追伸 一回、縦書き表示で読んでもらいたいですね。そうすれば印象ががらりと変わるはずです。

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