表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/158

拍子抜け

 その出会いは突然であった。

 観光地の看板もかくあるべきである。

 毒王のいう通り、人ひとりが通るのがやっとの石橋を渡ってみっつ目の交差点を右に次を左に曲がるとふたりは目があった。

 時間がスローモーションになる。

 マリクトが手にしているのがカジノからくすねた酒で幸いである。

 もし、パンであったらジャンルが変わるところだ。

「運の悪い奴らだ。会わずにすめば見逃してやれたものを」

 マリクトは息をはいた。

 相貌が上気している。元いた世界の憧れの先輩に勇気をだして声をかける女子マネージャーのようである。人智を超えた美は海千山千の猛者であっても記憶の奥底にしまってあった儚くも切ない感情をよびさます。

 人によっては苦い記憶にしばらく羞恥に悶え苦しむことになるであろう。

 だが、それだけだ。

 凡夫なら浮かべてしかるべきの畏敬の念は微塵も感じられなかった。

 克己心の賜物である。ブエル村の面目躍如であった。

 マリクトは酒瓶を地面に置く。上等品だけあって丁寧な扱いだ。

「せめてもの情けだ。楽に死なせてやろう」

「指を失った後でもその威勢を保てますか?」

「さかしらな口をききよる」

 マリクトは上司の口調をマネる。

 大袈裟に肩をすくめてみせたのは注意をそらすためだ。

 飛燕の速度で迫るナイフは喉に触れる直前で二本の繊指に阻まれた。

「毒を塗り忘れていますよ」

 十握は持ち替えると投げナイフを繁々と観察する。

 腕が限界まで伸びているのは、タクティカルペンの所持が違法であった世界からきた名残で刃物に慣れていない。加えて先端恐怖症のきらいもある。

「その必要を感じなかったんでな」

 ところてんのように柄を突かれて飛びだしたナイフを十握は身を捻ってかわした。文字通り、間一髪であった。

「手先の器用なかただ」

 マリクトが投擲したナイフが十握の持つ柄にあたったのである。

「ただの児戯だ。このていどで殺れるとはおもっとらん」

「たしかにこのていどの曲芸、軽業師でもできます」

 キンと空気が凍った。

「その言葉、高くついたぞ」

「わたしは情けをかけてあげますよ」

 生かしてアーチーさんに渡したほうが面白くなりますからね、と十握はいう。

「遊びはこのくらいにして始めましょう」

 十握は半身になると左手を腰に添える。

 右手で手招きする。

 禍鳥のような咆哮が耳朶を撃った。

 マリクトは地を蹴った。

 一気に距離をつめる。

 ゴウゴウと風が唸る。

 十握は両腕を交差させて蹴りを受けとめた。

 苦鳴が洩れた。

 ──マリクトから。

 マリクトを貫いた大剣は十握と三センチと離れていない距離で静止する。

「──卑怯だぞ」

 マリクトは唸るが、ケンは涼しげだ。

「助太刀ですよ」

 ケンはマリクトの背を蹴って剣を引き抜いた。

 マリクトは力なく地面を転がる。

 唇が動いている。声にならないがいいたいことは伝わる。

 懐紙で拭うと剣を鞘におさめる。緋に染まった懐紙をマリクトの傍らにそっと置いたのは礼儀である。やはり、いいとこの出だ。

 ケンは気恥ずかしげに頭を掻いた。

「──隙だらけでしたので、つい……。わたし、やっちゃいました?」

「手間が省けて助かりました」

 真意であったが、ケンの発言に釈然としないものを抱く十握であった。

ちょっと悪ふざけしていたせいで遅くなってしまいました。

慣れないことはするもんじゃないですね。記載ミスで残念なことに。普段、メッセージボックスを見ないのが仇となりました。

今回はなにをお題にしましょうか。

ギャンブル繋がりでパチンコについて話してみますか。

わたしはどちらかというと否定的なスタンスです。

欠けたサラダボウルにサイコロを転がすあくびがでる単調な行為でも、金を賭けると、俄然、面白くなるのがギャンブルです。

規制で縛るのは当然のことです。

とりわけ、パチンコは大企業が関わっているだけあって他のギャンブルと一線を画します。熱中させるツボをよく心得ている。しかも、対人の麻雀やポーカーより敷居が低い上に近所にあるのですから、そりゃ、社会問題になりますよ。

ですが、釘調整は違法だ、三店舗方式は違法だ、だから即座に潰せという反対派の声には首を傾げます。

長い年月をかけて、業界と警察官僚と政治家が築き上げたシステムを正論だからと大声をあげたところでカエルの面に小便です。

一見、不条理に見える事柄でも、時代を遡って考察すればそうせざるをえなかった事情があったりするものです。急には変わりませんよ。

もし、わたしがパチンコ撤廃派でしたら──射幸心を抑えれば、例えば二円貸しあたりを主流にするとか、右打ち全振りの機種を減らせばそれで充分とおもってますが──アニメや映画、ゲームにアイドルの版権を槍玉にあげますね。

青少年が楽しむ作品をギャンブルに流用するのはおかしい。

パチンコはオリジナルコンテンツに限定すべきだ、と。

これなら、まだ、実現性があります。

特にアニメが効果的です。

人気作品の膨大な話数から選りすぐりのシーンを採用して作った台に匹敵するオリジナルコンテンツをコンスタントに提供できるか?

まあ、無理でしょうね。

戦国乙女や海物語ばかりじゃあきられます。

真綿で首を絞めるように客足が遠のくことでしょう。

アニメ産業もダメージを蒙るのが困りものですが。でも、ま、最初からパチンコ化を視野にアニメ製作というのも不健全ではありますね。

それでは、また、次回にお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ