仲間外れ
オレは今、少し、いや、結構ガッカリしている。
ケインが「内密の相談が」と言ってレオンの執務室に来たけど、人払いでオレまで扉の外で待機するようにって言われたから。
うん、まあね。分かってますよ? 自分の立場くらい。
オレはただの護衛だし? 内密な話には首を突っ込むべきじゃないし? ケインは殿下に話があって来たんだし。そもそもただの護衛だし?(二度目)
・・・勝手にお兄ちゃん気分になってるだけだし。
なんだよ、なんだよ、オレには相談してくれないのかよ。そんなに頼りにならないかよ。
なーんてぶすくれちゃったりしてる訳で。
いや、でも、真面目な話、ケイン絡みの話でオレまで追い出されるって珍しいんだよね。
そこはちょっと気になるっていうか。
何があったのかな。
執務室で話を切り出すときも、なんか言いずらそうにしてた。
手をもじもじさせて、恥ずかしそうに俯いて。
しかも中に入ってからが長い!
全然出てこないんだ。
もの凄く気になるけど、扉が厚いから中の話なんか全然聞こえないし。(当たり前)
もうずーっと突っ立ってましたよ、扉の前に。ええ、護衛らしくね。
それから、一時間くらい経ったかな。
ようやく話が終わったみたいで、ケインが執務室から出て来た。
内密の相談事とやらは解決したのかな。
そう思って様子を伺うと・・・。
うん。表情は少し明るくなってる。
まぁ、解決したんなら良かった。
オレは仲間外れで少し寂しいけど。
まあ、考えても仕方ない。
でも、なんだ、どうした?
二人とも顔が赤いぞ。一体なんの話をしてたんだ?
「・・・時間を取ってもらって悪かったな、レオン。相談に乗ってくれてありがとう」
「いやいや、気にしないで。僕としては、ケインとこういう話が出来て嬉しかったからさ」
うん? なになに?
何だ、その回りくどい言い方。
こういう話ってどういう話?
そしてケイン、何故そこで更に赤くなるんだ?
「大丈夫。どんなケインも受け入れてくれるよ」
「・・・わかった」
「またなにか心配になったら、いつでもおいで」
「・・・ああ」
んん? なんでそこで照れるんだ?
・・・ううう、気になる。気になるけど、オレが聞いていい話じゃないんだろうし。
もうオレは悶々とするばかりで。
終始顔を赤くして恥ずかしそうだったケインに対し、殿下は頬を染めながらも凄くご機嫌で。
ケインが帰った後、急に予定を変更して、カトリアナ嬢に会いに行くと言い出した。
もう午前中に会ってるのに。
ここ最近は毎日、カトリアナ嬢と過ごす時間を設けているから、こんなこと言う筈ないんだけどな。
少々不思議には思ったけど、まあ、言いだしたらきかないからね、殿下は。
仕方なく、午後のお妃教育の終了時間を見計らって突撃することにした。
「まぁ、レオンさま。どうなさいましたか?」
ほらやっぱりね。
カトリアナ嬢も驚いてるよ。
そりゃそうさ、午前にも会ったばっかりだもの。
「突然ごめんね、カトリアナ。なんか急に会いたくなっちゃってさ」
「・・・いえ、わたくしは嬉しいですけれど」
吃驚でしょ。吃驚ですよね。オレも吃驚してますもの。
「なんか甘えたい気分なんだ。・・・ね、カトリアナ。膝枕してくれない?」
「はい?」
「膝枕、して」
「・・・はい」
なんか突然きた~!
ケダモノ殿下きた~!
二人並んでソファに座ると、殿下はカトリアナ嬢の膝にころんと頭を乗っけて横になる。
その顔は、なんだかとっても嬉しそうで、少しにやついてて。
普段の殿下とは全然違う顔。
くつろいでて、安心してて、ちょっと甘えてて、幸せそうだ。
あーあ、こういうの見ると、やっぱり思っちゃうな。
好きな人がいるっていいなぁって。
オレにはまだ、誰かを特別に想う気持ちはよく分からないけど。
殿下とカトリアナ嬢の仲睦まじい姿や、ケインとエレアーナ嬢の初々しいツーショットとか見てると、お互いを想いあうのって、温かくて素敵な行為だと思う。
オレもいつか、出会えるのかな。
こんな風に、想いあえる相手が。
・・・なんて、しみじみと考えてたのに。
おいコラ、何やってんですか、このケダモノ殿下。
さりげなく触れてるつもなんでしょうけどね。
カトリアナ嬢の顔、また真っ赤になってますよ。
本当にもう、この方は。
好きで好きで仕方ないのは分かりますけどね。
グイグイいきすぎて、結婚式の前に嫌われちゃっても知りませんよ?




