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王太子と宰相の一人息子の悩み相談

「見ているだけじゃ満足できなくて、つい側に行きたくなってしまう、か。うんうん、分かる分かる」


レオンハルトの同意の言葉に、ケインバッハはこくりと頷く。


「・・・いつも笑っていてほしいのに、困らせたくなったりもするんだ。その矛盾する気持ちが・・・自分でも何なのかよく分からなくて・・・」

「あー、成程ね。うん。その気持ちもわかるよ」


人払いをしたレオンハルトの執務室。

テーブルを挟み、向かい合って座る形で、レオンはケインの悩みに耳を傾けていた。


「・・・分かってくれるのか?」

「うん。僕もカトリアナを見ててよく思うもの。女の子って姿形が美しいだけじゃなくて、心もそうなんだなってさ。もう清らかすぎて、こっちが恥ずかしくなるくらい」

「確かにな。エレアーナを見ていてもそう思う」

「でしょ?」


レオンは激しく同意した後、お茶を手に取り、こくりと飲む。

ほう、と息が漏れたのは、温かいお茶の余韻か、それとも心からの吐息か。


「告白する前は、想いを向けてもらえるだけで幸運だって思ってたのに、それが側にいたい、に変わって、そらから手をつなぎたい、抱きしめたい、口づけしたいって、どんどん欲が出てくるんだよね」

「・・・そうなんだよな」

「ふふ、僕なんかさ、ライナスに二回もケダモノって言われちゃったし」

「けだっ、けだ、もの・・・?」

「うん」

「そんなことを言われるなんて、レオン、お前、一体何を・・・」

「大した事はしてないないと思うんだけど。いきなり抱きしめて、口づけただけだよ?」

「・・・そうか。それは、その・・・」


赤くなって俯いて、もにょもにょと喋るから、語尾はレオンにも聞き取れない。


「ねぇ、ケイン。女の子はさ、好きな人と一緒にいられるだけで幸せな気持ちでいてくれるよね。一緒にお喋りしたりとか、お茶したりとか、買い物したりとか、それだけで」

「ああ、どうもそのようだな」

「それはとても嬉しいことなんだけどさ。男性の望む事はそれとは少し違うような気がするんだ。ケインが言っているのは、きっとその事なんだと思う」


ケインは黙って頷いた。


「僕たち男も勿論、そういう他愛無い時間ってすごく楽しいんだけど、なんか、それだけでは満足出来なくなって、気が付くと側に寄りたくなっちゃったり、もっと触れ合いたくなったりする。それで僕もつい、カトリアナにちょっかい出しちゃうんだけどね」

「そう、そうなんだ。レオン。・・・だけど」

「・・・だけど、ケインはそれが心配なんだ?」


真っ赤になってケインは頷く。


「今はまだいい。我慢できる。だが、いざ結婚したら・・・その、エレアーナに呆れられないか、と。・・・俺の浅ましい欲求を知って」

「そっか」


ふふ、とレオンは優しく微笑んだ。

その眼は、まるで弟を見るかのように柔らかく細められて。


「大丈夫だと思うけどな。好きな人に愛情を表現したいって思うのは自然なことだし。いや、僕もたまにやりすぎて、カトリアナに涙目で睨まれることはあるけどさ。でも、好きになるって、そういうことだろ?」

「そう・・・そうかな」

「そうだよ。だって誰にでもそんな事をしたいんじゃない。好きな子だから、ちょっかい出したくなるんだもの」


ね?、と首を傾げて尋ねられ、こくりと頷く。

その様子に、レオンは、可笑しくて堪らないという風に、ふふ、と笑った。


「まったくもう。真面目なとこはちっとも変わらないね」


お茶菓子として出ている焼き菓子を一つ摘み上げ、ぱくりと頬張る。


「互いに好き同士でも、全てがぴったり同じな訳じゃない。人はひとりひとり違うし、ましてや男と女じゃ考え方も感じ方も違う。・・・それでも、好きになって、想いを通じ合わせて、一緒にいたいと思った者同士なんだからさ」


軽く首を傾げて、ケインの顔を覗き込む。


「ケインの良いところも悪いところも、全部ひっくるめて、エレアーナ嬢は君を好きになってくれた筈だよ?」


その言葉に、ケインは真っ赤になって頷いて。


「まぁ、驚かせないように気をつけるのもいいとは思うけど・・・遅かれ早かれバレるでしょ。男がケダモノだって事は」


その発言に、ケインは飲んでいたお茶を思わず吹き出しそうになる。


「レ、レオン?」


慌てふためくケインに、レオンハルトはその美しい顔でにっこりと笑いかけた。


「なぁに? そんな顔して。だって、要はそういう事だろ?」

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