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二日酔い

うう、頭が、ガンガンする・・・。


オレって、なんでこんなに酒に弱いんだろ。


昨夜は、初めてアッテンボローと飲みに行けて、なんかつい浮かれちゃったけとさ。


でも確か、シーカーを一杯しか飲んでない筈。

それにしちゃあ、二日酔いの程度が酷すぎるような・・・。


駄目だ、よく思い出せない。


怠い体を無理やり起こして、寮の共同水場で顔を洗う。

冷たい水が、肌に心地良い。


ぷはっと顔を上げてタオルで拭いていたら、鏡越しに入り口から入って来たアッテンボローと目が合う。


「・・・はよ」

「おう・・・」


短い挨拶をすると、こちらを通り過ぎて、さっさと顔を洗い始める。


相変わらず、無愛想な奴。


決して口が重い訳じゃないのに、用がなければ話しもしない。


何を考えてんのか、いつも不思議なんだよな。


「珍しいな。お前がこんな時間に起きるなんて。今日は朝練しないのか?」

「お前こそ」

「あはは、いやぁ、なんか頭、痛くて。二日酔いってヤツかな?」


タオルを押さえていた手が、ぴたりと止まる。

ちらりと目だけがこちらを覗く。


「シーカー三杯で、二日酔い・・・?」

「え? 三杯? オレ三杯も飲んだの?」

「・・・覚えてないのか」


ええ? なに?

オレ、他にもなんか、やらかしたの?


「え、えーと、アッテン? 昨夜、オレ、なんか迷惑かけるような事、した?」

「・・・」


うわ、やっぱり何かしたんだー!


「えっと、なんかよく分からないけど、ごめん」

「いいよ、別にもう」

「そっか、よかった。オレは凄く楽しかったんだけど。また今度、一緒に飲みに行こうな?」

「・・・いいけど。次はちゃんと、自分で歩いて帰れよ?」


ええ? まさかまさか? オレ、潰れて寝ちゃったの?

おいコラ、自分。酒に弱いにも程があるだろう。


これはもう、謝るしかない。


そう思って、ぺこりと頭を下げる。


「あの、次は気をつけます・・・」

「・・・」


き、気まずい・・・。


さっさと用意を終わらせて、殿下のところに行こう。


そう思ってたら、アッテンに「おい」と、呼び止められた。


「・・・悪いと思ってんなら、今度、手合わせ付き合え」

「へ?」

「それでチャラにしてやる」

「手合わせ? 別に構わないけど、そんなんでいいの?」

「但し、試合形式でだ」

「試合形式・・・? 分かった、いいよ」

「お前の二日酔いが治ってからでいい。体調が戻ったら言ってくれ」

「あ、ああ」


なんかよく分かんないけど。


それくらいならお安い御用だ。

もの凄く真面目な顔をしてるから、きっと、なにか試したい技でもあるんだろうな。







「・・・ライナス? 具合悪いの?」


心配そうに声をかけてくれる殿下に申し訳ない。

ただの二日酔いなんです。


「大丈夫です。少し頭が痛いだけなので・・・」

「そうかい・・・?」


ただ今、殿下はカトリアナ嬢とお茶を飲むために、執務室から中庭へと移動中。


最近は殿下のスケジュールも前より緩やかになって、こうしてカトリアナ嬢との時間も定期的に取れるようになった。


あんまり忙しくしすぎると、反動で、殿下がケダモノ化するからね。

そこらへんはオレたち側近も学習したんだ。


中庭のテーブルでは、もうカトリアナ嬢が到着していて、殿下を待っていた。


ああ、殿下。

カトリアナ嬢に会えてものすごく嬉しそうにしてる。

頬を染めて、いそいそとテーブルに着いたりして、乙女か。


当然、護衛のアッテンボローもそこにいる。


こうして見ると、カトリアナ嬢と同じ紺の髪色だから、二人でいると兄妹みたいだな。

お忍びの時とか、誤魔化しやすくて便利そう。


そんな事をぼんやりと考えながら、しみじみとアッテンを眺める。


オレよりも頭一つ、背が高いんだよな。


きりっと整った顔立ちに、すらっとした身長。

騎士としての実績を積み重ねた家系で育っただけあって、体のつくりもしっかりしていて。


引き締まった体格に、バランス良く付いている筋肉。

手足も長いから、剣を振った時の風圧も人より凄くて。


何より、型が綺麗だ。

こいつの剣を振る姿は、思わず見入ってしまうくらい流麗で。


令嬢たちにも結構な人気なんだよな。

夜会では、いつも何だかんだと断ってばかりだけど。


・・・そういえば、シュリエラ嬢だけだったんだよな。

こいつがダンスを申し込んだりしたのって。


最初の頃は、気が強いだの野心的だのって、文句つけてたのに。

夜会でちゃっかり踊ってるから吃驚したんだっけ。


もしかして惚れたのかって思ったけど、結局、あれっきりで。


・・・うーん。

こいつ、何考えてんだろ。


シュリエラ嬢は駆け引きとか苦手そうだから、遊び半分だったら手を出さないでもらいたいんだが。


おっと、いかんいかん。

兄のような気分ではいるが、本当に血が繫がっているわけじゃない。


余計な口出しをすると、ウザがられてしまうぞ。

大体、あそこの家には、そういう事に煩そうな実のお兄ちゃんがいる。


アッテン。お前、会ったことがないから、分かんないだろうけどな。

お遊び気分で手を出したら、後がおっかないぞ。


絶対に、絶対に、あの兄貴が黙ってないからな。

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