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異世界宝珠伝 〜 珠羅編  作者: まゆ玉
4/5

麗安(りあん)居室

部屋の前には部屋付きの次女、ハルが仕えている。

小声で、りあんは?と訊ねると、

こちらも小声で、よくお寝みでございます、と返って来た。

肯いてそっと部屋に身体を滑り込ませる。


「誰?」


几帳の奥の影が動いた。


「私よ。起こしてしまったかしら?」


「姉様!嬉しいな、おいで下さって。」


「起きなくて良いのよ。」

几帳をめくって、床から出ようとするのを押し留める。


細い。

幼い頃より病弱で、同い年の少年と比べるとはるかに細くか弱い。

肺を患っているため、此処よりもさらに空気のきれいな療養所に移る方が良いという。


それが彼の身体に良いならば、と泣く泣く賛成したが、慶事を前に旅立ちとは酷な話である。


「姉様の花嫁姿みたかったなぁ。」


「写し絵を描いてもらうわね。」


「はい。楽しみにしています。」


紫紺の瞳が嬉しそうに輝いた。


「それからね、パイリを沢山摘んでおいたから、明日お持ちになってね。」

私はニッコリ微笑んだ。


「苦いから、ちょっと嫌だけど…頑張って飲みますね、姉様。」


「そうよ、早く元気になって帰って来てね。」


「はい!必ず!」


麗安はうなづいた。


「明日は早いのだから、もうおやすみなさい。」

私はそう告げて、麗安に布団をかけるのだった。


部屋を出ると侍女が控えているので、軽く会釈をするとその場を足早に立ち去った。

涙を見せぬために。


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