廃屋の中にあったもの
お化け屋敷に探検に行くことになったのだが。
ある日、皆でヒロトの家で遊んでいる時、ヒロトが今日はお化け屋敷に行こうぜと言い出した。
皆ノリノリで行くことになり、ヒロト、シュウ、イザワ、俺の四人で行くことに。
ヒロトの家から俺の家は、小学生の足でも歩五分くらいしか離れていないので、お化け屋敷もすぐ近くだ。
ヒロト達からの年上も一度も入ったことはなく、前々から興味はあったとのこと。
ヒロトの家を出発して程なく、入り口と思われる場所まで着いた。天気のいい昼間に見ても相変わらず不気味な雰囲気だ。
俺たちは引き戸が朽ち果てた場所から二階建ての建物へ入った。
中も外と変わらず相当朽ちている。床も所々抜けており、相当危険な感じがするが、小学生の俺たちはそこまで警戒心なく進んでいく。
ヒロト
『めっちゃボロボロやな!』
イザワ
『危なくない?』
ヒロト
『大丈夫ちゃうん?』
ある程度広い居間の様な場所を奥まで進んでいく途中
ヒロト
『何か骨あるやん!』
全員
『マジで!?』
床の穴に鳥でもない何かの骨が落ちていた。その時は解らなかったが、コウモリの骨のようだった。
他にもネズミの骨もあったりと、小さいものながら不気味な雰囲気を出していた。
俺
『フクロウが食べたやつかな?』
山の中にある他の廃墟でフクロウを見たことがある俺たちは、その意見に皆納得していた。
足元に気をつけながら進み、二階へ上がる階段を発見したので何の躊躇も無く二階へ上がると、タンスの様なものが一つだけ真ん中に放置された部屋が一つだけあった。
ヒロト
『お宝あるんちゃうん!?』
シュウ
『ファイファンみたい!』※
鍵穴の様な物はあったが、全ての箇所が普通に開いた。
イザワ
『何これ?』
中には漢字が書いた金属製のバッジの様な物が入っていた。
読めない物ばかりだったが、大正とかかれている物があったので、相当古そうな物の様だ。
他にも何か文字が書いてある紙があったがよく解らない物だった。
ヒロト
『持って帰る?』
イザワと俺がその問いに止めといた方がよいのでは?と返したので何も持ち出さずに未探索エリアを見に行くことになった。
一階へ戻り、台所の様な所にある小窓を覗くと、隣の平屋の廃屋が見えたが、一度建物を出てからしか行けなさそうなので、一度道路へ出て平屋のある方向へまわる。
茂みに覆われてかろうじて建物がある事が解る場所で、平屋と二階建ての間の場所は少し開けていたので、そこから奥へ進むことにした。
下は舗装(?)されていたので草が生えていないので歩きやすかったが、二階建ての陰になっていること、手入れのされてい植物が平屋より高く繁っていたので、晴れた日の昼間でもかなり暗かった。
少し進むとすぐに5m四方ほどの開けた場所に着いた。
その真ん中には見るからに解る井戸があり、それは蓋で塞がれていた。
ヒロト
『中を見て見ようぜ!』
イザワ
『蓋開くかな?』
その心配をよそに、俺とヒロトが蓋を持つと思ったより軽くすぐに動いた。
中を覗くとまだ枯渇してはおらず、4m程下にたっぷりと水が見えた。
俺たちは全員でその辺りの石などを投げ込んでみたが、特に何か起きるわけでもなく、一通り満足した後に一応蓋を元に戻した。
隣の平屋は全周囲が深い茂みに覆われており、草を刈らないと入るのが大変そうだったので、また今度にしようということになり、その日はその場を立ち去った。
※ファイファンとはファイナルファンタジーが一部関西圏で呼ばれていた略称です。