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背中合わせの恋   作者: 藤乃 澄乃
第1章 背中合わせの恋
2/17

変わらぬ日々(2 教室)

変わらぬ日々。

こんな毎日がずっと続けばいいのにな……。

 つき合い始めてからもう1年経つけど、ずっと変わらず、彼は優しくて、本当に優しい。私がワガママを言ったりしても、怒ったりしないで、「うん、うん」って聞いてくれる。

 私よりも20㎝も身長が高いけど、それ以外は至って普通。


 私は、身長161㎝で細くもなく太くもなく……といったところか。肩より少し長い黒髪は、たっくんのお気に入り。マイペースで、勉強はまぁ、そこそこはできるけど、それ以外は至って普通。


 2人とも読書が好きで、学校の帰り道、よく街を見下ろせる『見晴らしの丘』で、読書デートなんかを楽しんでいた。



「ねえねえ、今日も帰り、見晴らしの丘に行く?」

「ああ、いいよ。今日は何の本読むんだ?」

「ふふふ、今日は純愛もの」

「へーえ、俺は推理小説」

「読み終わったら、またいつものように感想言い合いっこしようね」

「おう」



 学校に着くと、たっくんとはクラスは同じだけれども、お互いに同性の友人を優先している。

 たっくんは、ほとんどはちょっと堅物なところもあるけど、結構イケメンで面倒見のいい“ナオ”こと岡崎直斗くんと、大ざっぱでサバサバしているわりに、少々照れ屋の“大将たいしょう”こと大山将大しょうたくんと、3人で連んでいる。


 私は、親友でしっかり者の“サキ”こと池本咲ちゃんといつも一緒。

 たまには5人で遊びに行ったりもする。



 私達は勢いよくドアを開け、みんなのところに行った。

「おはよう」

「おはよう」


「あ、おはよう、彩葉いろは。ねえねえ、今日は1時間目、自習らしいよ」

 サキはいつも朝からテンション高めだ。


「やった、じゃ、何する?」

「何って、自習なんだから勉強に決まってるだろ」

「ナオは真面目だなぁ。自習だぜ、トランプとか?」


 相変わらずの言葉にたっくんは笑いながら答えた。

「お前は不真面目すぎるよ大将。俺は本でも読もうかな」

「タクは相変わらず本の虫だね。じゃあ、彩葉も勿論読書だね」

「そうだね。サキも読書すればいいのに。楽しいよ」

「彩葉は読書のどこが好きなの?」

「自分じゃない人の、色んな人の人生を追体験できる感じ」

「ふーん、私なんか、自分の日常で精一杯だから、人の人生までとても体験できないわ」


 サキの言葉にみんな笑ったけど、私はいたって真面目に思っている。

 自分の人生は自分だけのもの。そして他人の人生はまたその人だけのもの。

 でも本の中では、その中の誰かになりきって、その人の人生を追体験できるのだ。そんな素敵なことがあるだろうか。


 相変わらずの楽しいひととき。いい友人に恵まれて、高校生活も毎日が楽しい。


 


 ここだけの話、大将とサキのこと、本人達以外はみーんな知ってる。両想いだって。はやく告白しちゃえばいいのに、ああ見えて大将は案外にビビリかも?


 ナオは、女子に興味あるんだか無いんだか、人の相談にばっか乗って、自分のことはあまり語らない。誰か好きな人はいるのかな? 応援しちゃうのにな。そのうち、たっくんと2人で聞き出してやろうっと。



お読み下さりありがとうございました。


次話「見晴らしの丘」もよろしくお願いします。

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