表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
背中合わせの恋   作者: 藤乃 澄乃
第2章 たそがれどき
10/17

ナオのこと 

待ちに待ったたっくんからの電話。


 

挿絵(By みてみん)




夜、待ちに待った電話がかかってきた。


『もしもし、彩葉いろは?』

「うん、たっくん?」

『ああ、無事着いたよ。荷物の搬入も終わって、やっと落ち着いたところ』

「そう、よかった。そっちはどんなところ?」

『いいところだよ。そうだなぁ、強いて言うなら田舎だな。凄くのどかで、近所の人達も皆いい人ばっかりだよ。景色もいいし、早速、読書にピッタリの場所も見つけたんだ。彩葉も一度遊びにおいでよ』

「うん、行きたい! いいところみたいで、よかったね。じゃあ、最初は皆で押しかけちゃおうかな。落ち着いた頃に行けるように、計画立ててみるね」

『ああ、待ってるよ』


 心配性な私はたっくんから無事に着いたとの連絡が入るまで、何も手につかなかった。なのに電話の声を聞くとこんなに心躍るなんて、現金なものだ。

 でも、凄く素敵なところみたいで安心した。読書にピッタリの場所……一度行ってみたいな。そこでいつもみたいに背中合わせで読書デートなんてできたら楽しいだろうな。


「あ、それから今日、ナオが『見晴らしの丘』に迎えに来てくれたよ。たっくんが頼んでくれたんだって?」

『うん、誰かさんが泣きベソかいてないか、見に行ってもらったんだ』

「残念でした。読書してたから、泣いてるヒマなんかなかったよ」

『うそだね。ナオから聞いたぞ、大泣きしてたって』

「えー、ナオったら、おしゃべりなんだから!」

『いや、報告だよ、報告』

「ちょっと、うるっとしただけだからね!」

『はいはい』


 いつもと一緒、いつものやりとり。やっぱりたっくんと話していると楽しい。

 それにしても相変わらず仲の良いたっくんとナオ。ちょっと聞いてみようかな。


「ふふっ、それよりさ、ナオ、好きな人がいるみたいなんだけど、誰だか教えてくれないんだよね。たっくん、知ってる?」

『うーん』

 少し困ったようなたっくんの返事に、もしかして知っているのかと思った。親友なんだから、そんな話くらいするものなのかなって。


「知ってるの?」

『まぁ、本人から直接聞いた訳じゃないけど、うすうすはね』

「誰、誰? 教えて! ナオは、“告白するつもりはない、彼女の幸せそうな笑顔を、背中越しに見守るだけでいい”なんて言ってるけど、いっつも私達の世話焼いてくれてるから、お返しがしたいの。ナオにも私達みたいに、大好きな人と一緒の楽しい時間を過ごしてほしいの。私、協力するから教えて!」

『本人が話してないのに、俺の口からは言えないよ』

「えー、いつか絶対に聞きだしてやろうっと」

『……あんまりナオを困らせるなよ』


 だって、本当にナオにはいつも感謝しているし、もっと自分のことを考えてほしいんだもの。

 ふふふ、楽しみ。



お読み下さりありがとうございました。


次話「笑顔で頑張る」もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ