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第93話 居眠り

再開します! 

暫くは二日に一回くらいのペースを目途にできたらいいなと。。


また、再開にあたって内容を一部修正しました。

・アイリンの容姿描写追加

・ヨシュア達バーネット一家の目的地について変更

・ルオさんの息子のルーイ君の出番カット

くらいです。

対象は

第77話 欲の内容は人それぞれ

第78話 魔水晶のドラゴン

第79話 新米錬金術師

第81話 学校!?

第92話 学校案内

です。

大きな内容ではないので、スルーでも大丈夫です。

 自由研究の課題も決まり、リーリエ達は通常の学園の授業を受ける事になった。

 内容は色々あって、錬金術の理論をはじめとして一般的な歴史の事や、読み書きの事や計算の事もある。

 本好きでお勉強も好きなユーリエにとっては、興味深く楽しい時間である。

 今は歴史に関する授業の時間で、錬金術の成り立ちやこのリードックの街についてイゴール先生が教壇で話をしている。

 多分、ここに来なければ聞けないような授業なので、なかなか興味深い――のだが。


「……リーリエ。リーリエ起きなさいよ、寝ちゃダメだって……!」


 隣のリーリエはむにゃむにゃ言いながら眠りかけているのだった。


「ふにゃ? うーん……だってぇ、疲れたしお腹いっぱいだし――」


 疲れたのは体育の授業があったから。

 リーリエとリコは持ち前の足の速さで大活躍し、早速皆の人気者になっていた。

 お腹がいっぱいなのは、その後のお昼休みでお弁当をばくばくと食べていたから。

 疲れてお腹もいっぱいになれば、眠たくなるのは自然と言えば自然。

 ただでさえリーリエは、普段からお昼ご飯の後はお昼寝をしていることが多い。

 ただ学校にきてそれはマズいだろう、とユーリエは思うのである。


「ふう……仕方ないなあ――えいっ!」


 ぐにっ! 脇腹のお肉をつねる。


「いたぁっ!?」

「ちゃんと起きてなさい。リコは起きてるんだから、リーリエだけそんなんじゃダメよ」

「はぁい。リコちゃんすごいね~。わたしと同じだけ動いて食べたのに」


 リーリエはユーリエを挟んで向こう側に座るリコに話しかける。

 三人が座る席順は、真ん中にユーリエを置いてその右にリーリエ、左にリコという並びだった。

 そしてリコの隣には、学校に不慣れな三人の面倒を見てくれるために、アイリンが一緒に座ってくれていた。


「…………」


 リーリエの呼びかけを受けたリコは、ピクリとも動かなった。

 ただ前を見つめている。よほど集中しているのだろうか?


「……くー」

「うわ……! 目開けたまま寝てる……! すごーい器用だリコちゃん」

「あははは……仕方ない、こっちも――」


 脇腹をつねって起こそう。とユーリエが手を出す前に、教壇に立つイゴール先生から声がかかる。


「これこれ、そこ! 寝てちゃあいかんぞ――」


 ああ、注意されてしまったと思うユーリエだが……


「いいかね? アイリン君!」

「!? す、すいません――!」


 どうも自分たちに言ったのではないらしかった。

 先生の助手のアイリンが居眠りしているのはちょっと驚いたが。

 アイリンは立ち上がって顔を真っ赤にして頭を下げていた。平謝りである。


「子供達が眠たくなってしまうのは大目に見るがね、君はいかんよ君は。しっかりしてくれたまえ」

「は、はい……! 注意します……!」


 授業の内容的には子供向けなので、大人のアイリンにとっては退屈なものだったのかも知れない。

 分かり切った話を長々と聞かされれば眠気も襲って来ようというものだ。

 アイリンにとっては当たり前すぎる話だったのだ、とユーリエは思った。

 ともあれリーリエやリコが注意を受けなくて良かった。


「コホン。では話を続けようか。えー錬金術とはすなわち知啓と金の神アーリオストの守護紋(エンブレム)の力を核とした諸々の技術体系の事だが、これは魔法技術としては最も新しいものなんだ。知啓と金の神アーリオスト自体が、この世界の二十六の神のうち最も最近に生まれたとされているからね。とは言え、その発生は少なくとも数百年以上は昔の事だろうが――」


 それを聞いて、リーリエがぽつりと呟いていた。


「へぇ。神様って生まれた順番があるんだぁ」

「そうよ。秩序と光の主神レイムレシスと混沌と闇の主神ゼノセドスが最初じゃない。だから主神って言うんでしょ。お屋敷で勉強してる時も何回も聞いたわよ」

「あ、そーかぁ。えへへへ、忘れてた」

「聞いてなかっただけでしょ、それ」


 と言うものの、知啓と金の神アーリオストが一番最新というのはユーリエも初耳で、光と闇の主神以外は後に生まれた、というようなふわっとした一般論しか知らない。

 なぜそのように順序を断定する事が出来るのか。

 ユーリエとしては、そこを知りたいなと思った。

 自分も知啓と金の神アーリオストの守護紋エンブレムを持っているから、それに関わることを知るのは自分のためになるはずだ。


「なぜ知啓と金の神アーリオストが最も若い神だと言われるのかと言うと――」


 ちょうどイゴール先生がユーリエの聞きたい事を話してくれそうだった。

 ユーリエは先生の話に集中する。リーリエとリコは、辛うじて起きているだけといった様子だ。

 実践のポーション作りとかゴーレム作りとかには興味がありそうだったが、こういう事には興味がないらしい。

 で、隣のリコの更に隣のアイリンを見ると、彼女も興味深そうに手元でメモを取りながら話を聞いていた。

 アイリンにとっても知らない話だったのだろうか。

 アイリンはまだ駆け出しの錬金術師だとは聞いているが、その前は何をやっていたのだろう?

 きっと錬金術とは全然関係のない生活を送って来たのだろうが、錬金術師協会長の孫娘なのに――?

 ちょっと疑問を感じたが、先生の話が気になるのでユーリエはそちらに集中する。

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