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最強騎士のほのぼの家族旅行 ~娘といるため婚約拒否し、騎士団も辞めた。俺は自由だ。さあ、一生の思い出を作りに行こう~  作者: ハヤケン
第1部

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第31話 仮病

 翌日のエイスの剣術教室が始まる直前の事――

 リーリエとユーリエは、エイスに今日は剣術教室を休みたいと申し出た。

 少し疲れているから――と。

 今までずっと教室には参加していたが、初めての事だ。

 ここの所二人は毎日救護室に詰めており、疲労が溜まっているのかも知れない。

 そう心配したエイスは二人に救護室で眠っているように言い、ネルフィが二人に付いていてくれる事になった。

 元々ネルフィはギルド側の救護室の担当職員であるから、それは特に問題なかった。


「二人とも、ゆっくり休んでおくんだぞ。ネルフィ済まない。後を頼む」

「ええ。任せて」


 後ろ髪を引かれるような思いで、エイスはネルフィに子供達を任せると部屋を出て行った。

 それを確認すると――

 リーリエとユーリエはベッドから跳ね起きるのだった。


「よぉし! うまく行ったね!」

「ええそうね!」


 それを見てネルフィが面食らう。


「え!? 何二人とも元気なの!?」

「うん! 絶好調だよ!」

「ごめんなさい。仮病なの」

「そうなの。ごめんなさい。どうしても行きたい所があって――」

「それも、エイス君には内緒で……」

「エイスさんに内緒で? 後で怒られても知らないわよ?」

「うん。後でちゃんと謝るから……」

「ええ、だからどうしても――」


 二人は随分、真剣な様子だった。

 ネルフィはその先を尋ねてみる事にする。


「ふうん――で、どこに行くの?」

「「エイス君のお誕生日プレゼントを買いに行くの!」」


 二人は声を揃えてそう言うのだった。

 そう、今日はエイスの誕生日なのだ。

 リーリエとユーリエの誕生日を忘れる事は決してないが、エイスは自分の事には無頓着なので、完全に忘れている。

 なのでこっそり誕生日プレゼントを用意して、喜んでもらおうと思ったのだ。


「へぇ~! 今日、そうなんだ! それはきっとエイスさんも喜ぶわね」


 優しい子達だ。ネルフィは思わず笑顔になる。


「だからね、今からお買い物に行って来ていい?」

「お願いネルフィさん、見逃して!」


 ネルフィは首を横に振った。


「見逃さないわ。だって私も一緒に行くもの。あなたたちの事頼まれてるからね、お店を案内してあげる」

「わ、一緒に来てくれるの?」

「ありがとう、ネルフィさん!」

「いいのいいの。私も何か誕生日プレゼントあげちゃおっかなー♪」

「えっ!? ネルフィお姉ちゃんも?」

「うん。エイスさんにはお世話になってるし、素敵だしね。ふふっ」


 鬼神のような強さでありながら、恐ろしく子煩悩で行動は親バカそのもの。

 あまり世間慣れもしておらず、どこか子供っぽいような感じもする。

 そういうところが可愛らしく思えて、ネルフィにはエイスが異性として興味深く映っていた。


「前からいいなって思ってたのよね~。いいこと聞いちゃった。誕生日が今日だなんて」

「前から?」


 少々浮かれ気味のネルフィに、ユーリエが突っ込む。


「ああいえ……! みんながここに来てからって意味でね?」

「うーんと……一目惚れ――みたいな?」

「そそ、そういう事」

「わーエイスくん、モテモテだぁ」

「まあ格好いいから、当然と言えば当然ね――」

「ねえねえ、エイスさんは恋人っているの?」

「いないよー。ねえユーリエ?」

「あの人は? ほらエイス君の騎士団の女騎士の人――レティシアさん」

「ああ、レティシアお姉ちゃんは絶対エイスくんのこと好きだったよね!」

「そうよね! エイス君の事見る目が違ったもん!」

「ちっ……あの女――」

「えっ!? ネルフィさん知ってるの?」

「え!? ううん! 同じ名前の知り合いがいるだけよ。なんか勘違いしちゃったかもー」


 ネルフィの態度は何だか良く分からないが、まあいいかと二人は流した。


「でもエイスくんは全然気が付いてなかったよねえ?」

「そうね。そういうの鈍いよね、エイス君は」


 興味が無いともいえるかもしれない。


「なるほど分かりやすくアプローチしなきゃ伝わらないって事ね……なるほどなるほど」


 と、ネルフィはうんうんと頷く。


「よし! じゃあ早速お買い物に行きましょ! もし急な怪我人が来たら呼びに来て貰えるように、私がしておいてあげるわ」

「ありがとう、お姉ちゃん!」

「ありがとう、ネルフィさん!」


 この日のために依頼(クエスト)を頑張って、お金を貯めておいたのだ。

 絶対に喜んでもらえるプレゼントを用意するのだ。

 リーリエもユーリエも意気込んでいた。


 三人はうきうきと大通りに出て、エイスへのプレゼントを物色することにした。

 ここは店も多く、結構何でも揃いそうだ。


「さてさて――二人とも何が見たい? エイスさんって何が欲しそう?」

「「うん。それが問題」」


 二人は口を揃えた。

 特に欲しいものなど、なさそうなのである。

 二人から見て、何が趣味というのも見えないし、自分のために何かを買っていたりするのも見た事が無い。

 無趣味だし、あまりお金も使わないのである。

 ただ自分達を見てくれる目が、とてもとても暖かいのは実感している。

 だから強いて言えば、エイスの好きなものは家族だと言えるが――

 そんな物はプレゼントのしようがない。


 さてどうしたものか――

 大量の店とそこに並ぶ商品を前に、リーリエとユーリエは考え込むのだった。

面白い(面白そう)と感じて頂けたら、ブクマ・評価等で応援頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

また、ここまで一日二回更新していましたが、そろそろ限界がやって参りました。。

明日からは一日一回に切り替えさせて頂きます。

今度ともよろしくお願いします。



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