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勇者ゴブリンが征く!  作者: 啄木鳥 小鳥
一章
3/17

初めての…

ゴブリンに転生して数日経った。


ゴブリンは成長速度が早い。

歩く事と喋る事とかが、出来るまで成長した。


オレはどうやら特別なゴブリンであるようだ。

他のゴブリンたちとは違い肌の色が人間の時と同じ色だ。

周囲から敬われている。何故だか判らなかったのでレイディーネを召喚して聞いてみた。


「それはねー。魔物が光属性を持つことがあり得ないからだよ。魔物にとって光属性は、毒になるからだね。つまり、キミには弱点が無いと言えるだろうね」


「それって、魔物としての弱点だよな?」


「ん?そうだよー」


「ゴブリンとしての弱点は?」


「そのままに決まってるでしょ」


結論。ほぼ意味がない。

光属性はオレしか使えない為、くらうことがない。



レイディーネを召喚したことによって、周りの目の色が変わってしまった。

敬う感じから、厄介者を見る目になった。


それは仕方がないかもしれない。

自分たちを殺す事ができる存在が同族になったのだから。


そんな爪弾きにされていたオレに近づく二体。


スライムと狼だ。

ゴブリンの集落の中では、部外者。

偶々近くに来ていたらしい魔族なのだとか。


此処での魔族は、力と知恵を高く有している魔物の総称だ。

この二体はその魔族に属する。


どうやらこの二体は、生まれたばかりのオレを世話をしていたらしい。オレを産んだ母親ゴブリンは、衰弱して死んだ。

レイディーネ曰く、光属性に耐えて産んだのだからスゴい、と言っていた。

一歩間違えてたら生まれず、また死ぬ事になる可能性があったらしい……咄嗟の思い付きは怖い。


「スゴーイ、その精霊って光精霊?だよネ?」


軽い調子で話しかけられた。


「そうだよ。よく分かったな」


「まぁネ~。あ、ボクは、パラサイトスライムのパーム!で、此方が…」

薄い翡翠の色を持つポヨポヨの体のスライム。


「アギトウルフのヴァイク。ヨロシク勇者殿」

艶のある黒い毛並みの中にある朱色の毛は気品があるように思える。

オレが勇者だってことを理解しているようだ。


「で、オレが勇者だと分かってるならどうすんだ?このままオレを倒すのか?」

勇者は魔物を殺す。それを理解しているならこのまま殺すのが普通であるはず。


「クックック、その必要はないだろう。人間であるならいざ知らず。今の勇者殿は、魔物…ゴブリンで、あるなら同族であり友になったと同義ではないか?」


確かに、勇者であると同時に魔物だ。

彼らの仲間になったと言えなくもない。


「それに、今のまま人の町に行ったとして、人は勇者殿を信じるだろうか魔物が勇者を語る道化とされ、討たれるのが目に見えておるとおもわれるが?」


正論だな。この姿で言っても説得力がない。

レイディーネを召喚しても光精霊と勇者は魔物に味方したと思われる可能性が少なくともある。

危ないと分かっている道を対策も無しに行くのは、自殺と変わらない。

ならオレが選べる道は限られている。


「そうだな、その通りだな。だったらオレがどうするかは決まった」


一つ息を吐いて言葉を紡ぐ。


「二人とも、友達になってくれるか?」


二人が顔を見合わせて、こっちを見た。

二人とも口元が嗤っている。

スライムは分かりにくいが、口のような部分がちゃんとあった。


「クックック、勇者が友達になるか、面白い話ではないか」


「そうだネ、そうだネ!勇者と友達になるなんてスゴい事だよネ!」


「うむ、こちらヨロシク頼もうではないか、勇者殿」


「勇者殿じゃあなくて、リィールって呼んでくれ。ヴァイク、パーム」


「リィール、と言うのか心得た」


「ネー、ネー?ボク、ボスって呼ぶけど良い?」


パームからよくわからない提案をされた。

何故にボス?

理由を聞くと。


「勇者って魔物達にとっての魔王、だから人間達にとって勇者はボスになるでしょ?」


あー、確かに間違っちゃあいない。

知能が高いと人間と変わらないと思えてくる。

他のゴブリン達はここまでの知能はないのだろう。…いや、少ないだろうが頭のいい個体は居るだろう。

不思議な事だ、嫌悪感を抱かないなって思っていたが、コイツらは人間と同じ様に考え、喋り、食べる。

姿形が違うだけで、人間よりも人間らしいと思える。

人間は、同じ人間だろうと虐げ、差別する。

魔物は、千差万別。劣っているのを補おうとする。


後で聞いたことだがパームとヴァイクはゴブリンの集落を回って狩りの手伝いをしていた。


「構わねーよ。ヨロシク頼むぜ、パーム、ヴァイク!」


こうして生まれ変わって初めての仲間、友達が出来た。

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