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第2話 選ばれし者(じゃなかった)

「では、どこに行きたいで……」

「ファンタジー世界!」


 食い気味に俺は叫ぶ。

 やっぱり異世界転生ならこれに決まってるでしょ。


「『ファンタジー』世界……ね」

「何か問題でも?」

「……いえ、最近若者の転生者に随分人気なんですよ。第一希望で必ずと言っていいほどそう言うんですよね」

「ラノベとかアニメで人気だから」


 転司はため息をつく。


「創作物に影響されるのは悪くないんですが、他の世界の管理人から最近苦情が来まして」

「苦情?」

「人手不足だって」

「求人かよ」


 そんな現実的な話は聞きたくなかった。


「さて、ファンタジー世界と一口に言っても色々ありますが……お決まりのパターンとして剣と魔法の世界でしょうか?」

「そうそう。そこで俺は勇者になってチート能力でハーレム作って……」

「馬鹿じゃないですか貴方」

「……は?」



「ここに来る若者皆に言ってますけどね、貴方自分を過大評価しすぎじゃないですか?」

「過大評価?」

「あの世界に転生を希望する人に共通するんですけどね、何で自分が世界を救う英雄になれると思っているんですか?」

「いや、だってこう言う状況になってるし……何か神に選ばれた存在だとか色々と……」

「『神に選ばれる』ですって?」


 転司は吹き出す。


「魂の本質は生前の状態に色濃く出ます。貴方の十六年の短い人生で世界を救える人間であるという片鱗を一度でも見せたことありますか?」

「そんな環境になったことないからあるわけないだろ」

「然り。だからこそ長く生きて様々なことを成さなければいけなかったんです。生前に成したことが評価査定となり、次の転生で更なるオプションが追加されるのです」


 転司は一枚の書類を取り出す。


「貴方の査定評価ですが……『人と関わりたくない』『引き籠ってゲームとネット三昧』『カップルが居たら幸福を妬む』『アルバイトもしないで親に迷惑をかける』『勉強もサボる』『早死にして家族に迷惑をかける』どうプラスの評価になると思うんですか?」

「それは……俺が活躍できる世界じゃなかっただけで……」

「環境を変えようと戦いもせず、逃げてただけじゃないですか。歴史上の人物は成功失敗の違いこそあれ、立ち向かって行ったから名を遺したんでしょう。まずは人生で何かを成そうとしなさい」


 俺は何も言えなくなった。

 正論なのはわかっているけど、まさか死んだ後まで説教されるとは思わなかった。


「……まあ、死因が事故死と言う事で、『このまま死なせるには不憫』と査定されて、転生世界でのチャンスを与えることになったんですが」

「え、そうなの?」

「環境を変えることで本領を発揮できる可能性は確かにありますからね……ただ、あまりに貴方が甘い考えだったので一言、お説教をさせていただきました」


 転司は頭を下げる。


「ああ……いいよ。アンタも仕事だし、俺も悪かったと思ってる」


 それに、ここで転司の機嫌を損ねたらどうなるかわからない。

 異世界転生できればこっちのものだ。


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