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薬師様はスキルが欲しい  作者: 桃野葉奈
2/4

初めての

 野武匠麻はある日突然、交通事故で死んでしまった。

 しかも間違いで・・・そしてトートに会いスキルを貰い別世界に転移したはずだった。


 目が覚めるとそこは森の中、まだ日は高く遠くに水の音が聞こえる。


 うーんと背伸びをしてから深呼吸。

 まずは自分の状況を確認しなければ


 ショウマ・ノタケ 18歳 【薬師】


 スキル 継続回復 鑑定 薬生成

 装備品 魔法の鞄


 スキルは戦闘系以外はちゃんとあるな、条件をみたせば使えるようになると言ってたし

 武器は無いし今のままだと戦闘とかは出来なさそうだ。

 素手で殴り合うのは勘弁して欲しい。


 服装は布の上下か靴は何かの皮で出来ていそうだ。

 周りを見渡してみる。あそこに何かあるな。


【ココの球根】 酔抜薬の生成に使う


 何だかショウガ?ウコン?みたいな物が地表に見えていたので掘って手にとってみる。トートが手に握る感じで薬を作れるって言っていたなぁ。

 と思い、握ってみる。

 手の平に3個の丸薬が出来た。


【酔抜薬】 二日酔いに効果抜群


 酒場とかあるだろうし、これはこれで需要があるかもしれない。

 近場にあるココの球根を掘り、30個の丸薬が出来たので鞄に入れておく。


 辺りを見てみる。

【キキの実】 回魔薬の生成に使う。

 ブルーベリーみたいな実だな。

【ササの葉】 回身薬の生成に使う。

 うん、笹だなこれは。

【メメの花】 解毒薬の生成に使う。また根は毒薬の生成に使う。

 花は綺麗なんだけどなぁ。


 色々あったが毒薬は作るかどうか迷うな。武器に塗って攻撃すれば有効なんだろうけど毒だしなー

 という事で、毒薬以外を作ろうと採取し作っていく。


【回魔薬】 魔力が回復する。

【回身薬】 体力が回復する。

【解毒薬】 毒の効果が消える。


 薬はどれも1個の材料で3個出来ている。

 この辺は当面の生活資金になってもらわねばって事で、根こそぎ採らず少しだけ残しつつ採っていく

 全部採らないのは、植物の生長スピードがわからないし

 ここが何処かもわからない、もし町から来れる所ならまた採りに来たい。


 毟る作る毟る作る毟る作る毟る作る毟る作る毟る作るムシルツクル・・・

 いやー作った作った。各150個450個の丸薬を鞄に入れる。

 そういえば、鞄から自在に物を取り出せるのかと思って【解毒薬】と念じながら取り出してみる。

 ちゃんと【解毒薬】が出てきた。焦ったりするとどこかの猫型ロボットみたいに関係のない物まで取りだしてしまうかもしれないが。


 ふと空を見ると日が傾き始めていた。薬を作るのに夢中になりすぎたか。

 いきなり知らない世界で野宿は嫌だ。道はどっちだろうと草や枝をかき分けつつ歩いていく。

 どれくらい歩いただろうか、開けたところに出た。


 あっ馬車だ。第一村人発見か!「おーい」と呼び止めてみると馬車が止まった。

 強面の体格のいい中年男性が降りてくる。


 オウバク 45歳 【奴隷商人】


 あっこれはやばい人を呼び止めてしまったのか。笑顔で歩いてくるよ。

 捕まって売られてしまうのか!と思っていると


「やあ、どうしたんだね?」


 意外と普通に話しかけられた。


「すみません。旅の薬師なのですが近くの街までご一緒させて貰えないかと思いまして・・」


「なんだそうか、丁度商売帰りで街まで帰るところだ乗せてってあげよう。」


「有難うございます。」


 馬車に歩きつつ思う。優しくしておきながら荷台から仲間が現れて縛られて売られたりしないだろうか・・

 と、馬車まで着いた。荷台をそっと見てみるが何もなかった。

 何もないって事は奴隷商人だけに、きっと人を連れてどこかで商売をしてきたって事だ。


 二人とも御者台に乗り込み出発する。


「乗せてもらって有難うございます。私はショウマ・ノタケ旅をしている薬師です。」


「俺はオウバク奴隷商人だ。」


 ちゃんと名乗ったした俺をどうこうしようって事はなさそうか。と思っていると


「奴隷商人って言っても、俺は酷い事はしていないからそんなに警戒する事はないさ

 それよりも森を抜けて来たみたいだが何をしていたんだ?この辺は冒険者ギルドもあるし安全な方だが

 森の中は魔物もいたりするからな」


「えっ!」

 薬を作っている間も歩いてる間も襲われなかったから普通の森だと思っていたのに・・・


「驚いているって事は出合わなかったのか、武器も持っていなさそうだし運がよかったな。

 それで何をしていたんだ?」


「薬の材料を見つけたのでついつい夢中になって・・・」

 材料があったのも夢中になったのも事実だ。ただ目が覚めたらそこにいたって事以外は


 それからオウバクさんと雑談をしつつこの世界の情報を頭に叩き込んでいく。

 今いる国はヘンルーダ王国、多様な種族が生活している。

 街の名前はハラン、通貨は金銀銅それぞれ1万ピコ、100ピコ、1ピコらしい。

 そして、オウバクさんは元冒険者だった。引退して何故奴隷商人って思ったのは内緒だ。


 そうこうしていると壁に囲まれた場所が見えてくる。


「あれがハランの街だ。」

 結構大きそうな街だ。小さい街だと拠点にするには難があるしこの街はよさそうだ。

 貴族区・商業区・一般居住区に分かれているらしい。

 貴族区と言っても領主とその臣下達の住まいがあるだけのようだが。


 日が暮れる前に街には入れそうだ。

 今は門前で検査の為の順番待ちをしている。


「身分証がいるから準備しておくんだぞ。」 

 そうオウバクさんは言った。確かに言った。


 ん!?身分証もなければお金も持っていないな・・・さてどうするか・・・

 薬作りに夢中で森で落とした事にしてしまうのがいいか

 薬はちゃんと持っているのにお金と身分証を落とすというダメな子になってしまうが仕方がないか。


 鞄や服をパンパンと叩いてどこに入れたっけなーと、そしてあぁ落としてしまったんだという表情


「森で落としてしまったようです。これでは街に入れませんかね?」と聞いてみる。


「確か仮の身分証を門で発行してギルドに行って登録してそれを持って門に戻ってくる。ってのはあったはずだが銀貨1枚が必要だったはずだ。まあ何かの縁だ俺が出しておこう。」


「馬車にも乗せてもらってさらにお世話になるなんて本当にすみません。」


「まぁここに滞在するなら一度俺の店に来てくれ。色々手広く商売はしているしな。」


 順番がまわってきて門番の人に名前を言い紙を受け取る。オウバクさんがお金を出してくれる。

 何だか門番の人の顔色が悪い気がするが、おっと後が詰まってるな。


「俺は寄る所があるからここでお別れだ。冒険者ギルドは大通りを真っすぐ行った教会の隣だ」


「わかりました。有難うございました。」一礼をし手を振ってオウバクさんを見送った。


 さて冒険者ギルドで登録だと俺は大通りを歩き始めた。




ペースは遅いですがガンバリマス

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