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合流

 前頭と待ち合わせ後、他の人と合流するために会場であるカラオケ店に行く。

 集合場所のカラオケ店が見えてくるとその大きさも見えてくる。広告なども貼られておりそれを見るとソフトドリンク飲み放題にアイスクリーム食べ放題がついて来るらしい。夏に近づいて段々と暑くなっているのでこのサービスは嬉しい。特にアイスクリームは好きなので絶対に食べようと固く心に誓っていると、懐かしの元クラスメート達の姿が見えてくる。


「ふん! 相変わらずいやらしい顔をしている!」


 元クラスメートの姿を前頭も認めると速攻で毒を吐いてくるので思わず立ち止まってしまう。

 なんだか中学校の頃よりも女子に対するあたりがきつくなってるような……。

 しかし今俺がツッコミたいのはそこでは無く……、


「……まだ顔見えてないよな」


 顔が見えていない事である。俺の目は相当良いのだが、この距離ではまだ集まっている元クラスメートの顔が見えていない、ほとんどがこちらに背を向けていてこちらに気づいていないからである。

 俺たちが気づいたのは、大人数で寄り集まっている女子たちがいるのと、なんとなく立ち姿に見覚えがあったからだ。


「何を言ってるの秦野君? 顔なんか見なくても姿見ただけでもわかるほどいやらしい気配が漂ってるじゃないか」


 こいつはいつから超能力者になったんだろうか……?

 ……しかし気配? 改めて集まっている元クラスメート達を見る。何となくだがウキウキしているような気がするがいやらしい気配は感じない。俺が無頓着過ぎるのか前頭が過敏なのか……。

 とにかく他の人達はもう集まっているみたいなので早く合流しよう。


「前頭、もうみんな来てるみたいだから俺たちも早く行こう」

「……わかった」


 前頭は渋々と言った体で了承し歩き出した。


「個人的には二、三時間ぐらい遅れていっても良いと思うけど……」

「予約している店に迷惑かかるだろうに」

「女子達が入るから大丈夫じゃない?」


 あぁ、そりゃ先始めるか……。


「だいたい女子達だって焦れさせて焦れさせて、もう来ないって絶望した時ぐらいに姿を見せた方が喜ぶよ」


 こいつすげぇ! 女子達を手玉に取る所かおもちゃの如く扱ってやがる!

 俺が(おのの)いていることにも気づかないようで前頭は話し続ける。


「ホント一緒の空気吸ってあげているだけでお金払って欲しいよ。正直、もっと敬えって感じだよね! あっ、そう言えば知ってる? 今度どっかの会社が男性の部屋の空気を缶詰に入れて売り出すんだって、そんな物買う女って気持ち悪いよねー」


 コイツ今さっき、一緒の空気吸ってるだけで金払えと言って置きながら、その空気を買う女は気持ち悪いと言うなんて……、なんて男だ……!


「アレッ? 秦野君行かないの?」


 知らず立ち止まってしまっていた俺に前頭が聞いてくる。


「あっ、ああごめん。行くよ」

「どうかした?」


 俺の態度を疑問に思ったのか前頭が不思議そうな表情を浮かべながら問いかけてきた。


「いや、なんでも無いよ。ただ自分の器の小ささを思い知っただけだから……」

「うん?」


 俺の答えに更に不思議そうな表情を前頭が浮かべている。


「うーん、よくわからないけど。秦野君は小さくないと思うよ」

「そ、そうか」

「うん、僕の評価で悪いけど先輩と同じくらい器は大きいと思うよ!」

「それは褒め言葉じゃねぇよ! 罵倒だよ!」


 器すごく小さいじゃないか! 前の電話での少しの会話でわかったわ!

 俺の言葉に前頭は”えぇ~”と不満そうな声を上げているが無視をして歩き出す。

 近づいてくる俺たちに集まっている元クラスメート達が気がついたみたいで、こちらに手を振って来る。

 みんな一生懸命に手を振って来るので少し怖い。


「なんかアイツ等、餌に群がる魚みないだね」


 前頭に至ってはこの様にディスっている。

 しかし何であんな一生懸命に振っているのか……? 取り敢えず軽く振り返すと、女子達は”私に振り替えしてくれた”、”いや私だ”等と言い合いを始めた。

 まるでアイドルのコンサートにいる熱狂的なファンみたいだ……。


「アイツ等バカだね」


 前頭が当然の如く毒を吐く。

 コイツ……、俺が思っていても言わなかったことを平然と言いやがって……。

 そんな前頭を連れて集まっている元クラスメート達の輪に入っていく。


「みんな久しぶり!」


 取り敢えず笑顔を浮かべて会えて嬉しいよと言う感じの雰囲気を出してみると、みんな口々に”私も嬉しい”とか”秦野君がいなくて寂しかった”とか言ってくれる。

 ……この世界の女子達なのでみんな可愛かったり綺麗だったりするので、まぁなんと言うか凄い気分が良かったりする。


 ……その分反応が過剰と言う弊害もあるが。

 そんな中、三島さんが話しかけて来た。


「秦野君! 前がっ! うぷっ」


 そして前頭にスプレーを吹き付けられていた。

 掛けられた三島さんは驚いていたけど、特に身体に変化は無いみたいだ。


 ……っていきなり何で掛けたんだ!


「いやいや、前頭君。君いきなり何をやっているんだい?」

「どうしたの秦野君? 口調変わってるよ」


 俺の質問をスルーして逆に質問を仕返してくる前頭、さも自分は変なことをしていませんと言わんばかりである。


「どうしたの? はこっちのセリフだよ! 何でスプレーいきなり掛けてんの!?」

「あっ、大丈夫だよ。これただの消臭スプレーだから」


 違うそうじゃない、掛けたスプレーの種類を聞いているんじゃない、何故掛けたのかを聞いているんだが……。俺が微妙そうな顔を浮かべてようやく前頭も質問の意味がわかったのか理由を言ってきた。


「ちょっと女臭かったからね!」

「くっ! 臭い……」


 前頭、お前の一言で三島さんが落ちこんでんぞ……。


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