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撮影3

 撮影も順調に進み、終盤へと来た。

 ここまで本当に学校案内に使うのかと言うポーズも有ったが、もう開き直ってどんなポーズが女性に受けるのか参考にしていく事にした。

 ……どんなポーズを取っても受けが良かったので意味があったかはわからなかったけどな!


「では、最後は校門前でお願いします」


 事務員さんはこれで最後の写真だと校門前に来て言った。

 校門前……、確かに学校全体の顔であり学校のイメージも決まる場所かも知れない。

 それだけにどんなポーズを要求してくるのか。ここいらで少し過激なポーズとか来たりするのか? 

 うーん想像が付かないな……。


「それでは……」


 その言葉の後にコホンと一つ咳払いを入れた事務員さんは言う。


「最後ですから秦野さんの考える……す、素敵ポーズをお願いします」


 顔を赤くして事務員さんはそう言ってきた。

 ……こいつ今更何を恥じらうことがあるのか?

 いや、今はそれは置いておこう。問題は先程の言葉だ。

 聞き間違いじゃ無いよな。


「……はっ?」


 取り敢えず聞き直してみる。

 言外にお前何言ってんだとの思いを込めて!


「い、いえね……、今まで私が指示してきましたけど最後は秦野さんの魅力を最大限出すために……、と思いまして……」

「そもそも今までで俺のことは一杯撮ったでしょうに」

「いやいや、校門は重要な場所ですからね!」

「でしょうね!」


 そんな俺と事務員さんの会話を聞いてかカメラマンさんが会話に入って来た。


「えーと、結局どうしましょうか?」

「ああ、すいません。じゃあこの人も俺に任せるって事らしいのでぱぱっと撮っちゃいましょう」

「はい、わかりました」


 そう言い、カメラマンさんは機材のセッティングをし始めた。

 さて……、どうしようか……。

 好きなポーズをして良いと言われたんだが、正直好きなポーズなど無い! こちとら別にアイドルじゃないしな! 然らば普通に笑顔で立っているかとも考えたが……。

 もうこの学校案内自体が普通じゃ無いのだから、ここは一つ試してみるか……。

 そう思案し、この世界の女子達に少し刺激が強いポーズを取ることを考えてみた。


 今までのポーズは喜ばれるポーズだったが別に過激だったりエロかったりした訳じゃない。

 そこで今考えているのは少し刺激的なポーズである。

 正直、男がやるのはどうかなとも思うのだが、これが前世と今世の文化の違いと言う物であろう。

 うーん、俺の意識じゃ男がやるのは少しキツイ様な気がするが……、こっちの人には絶対に喜ばれる気がする。まぁどんな反応になるのかは試して見てのお楽しみか……。

 するか、しないか、どうするか……。


「では、用意が出来ましたのでお願いします」


 カメラマンさんの声が刺激的なポーズを取るか取らないか思案していた俺に投げかけられる。

 しかし、お試しと言っても学校案内に刺激的なポーズを取って良い物か……、う~ん。


「…………」

「どうかしましたか? 秦野さん」

「ああ、いえ……、なんでも無いです」

「そうですか。ポーズの方は決まりましたか?」


 カメラマンさんが心配するような表情で聞いてくる。

 ……この気遣いが男性に人気な秘密なんだろうか? それでも訴えるとか言われているらしいけど。

 パナイなこっちの男……。


 さて肝心なポーズだが、取り敢えず試してみるか。

 ぶっちゃけ、少しぐらい刺激的なポーズをしてみても、この事務員絶対に使うと思うから!


「はい、決めました」

「どんなポーズしますか?」

「ちょっと刺激的な物します」

「そうですか、刺激的……。ハッ!?」

「いや、もう普通の学校案内じゃないので……」


 俺の言葉にカメラマンさんは、確かにと頷いた。


「そこに一枚だけ普通の写真があったら違和感が有りすぎると思いまして」

「……仰るとおりですね。しかし大丈夫ですか?」

「ええ、刺激的と言っても裸になる訳じゃ無いですし、少しドキッとするかも……、といった程度のだと思いますので」

「わかりました。それでは私はそれを綺麗に写真にすることだけに集中しますね」

「はい、お願いします」


 そう言ってカメラマンさんは離れていった。……なんだか、その後ろ姿はやる気に満ち溢れているように見える。これがプロ根性か。もしくはカメラマンさんも刺激的なポーズと聞いて嬉しかったのか……。


 そして最後の撮影が始まった。

 カメラが俺に向けられる。取り敢えず校門がキチンと映っているか気になるが、それは置いておこう。

 今日の俺の服は当然の事ながら制服である。……つまりスカートを履いている。

 俺はそのスカートの端を指で摘み、少しずつ、ゆっくりと上げていく。

 刺激的なポーズ、それはスカートをギリギリまで上げる際どいものである!


「うっひょー! 来たー! 神様アリガトー!」


 俺の取った行動に事務員さんが歓喜の雄叫びを上げた。

 ……反応を見るにかなり良好である。

 他の人にいつか使う機会が来るかも知れない……。


「いける! もっといける! もうちょっと!」


 ……ものすごく五月蠅い。

 俺の気持ちがわかったのかカメラマンさんが一旦カメラを下ろし、パチンと指を鳴らした。

 すると先程まで撮影を手伝っていたアシスタントさんが事務員さんの近くに寄っていき、口を塞ぐと同時に見えない所まで引っ張っていった。

 暴れる事務員さんを意にも介さず連れて行った見事な動きである。


「では続きをしましょう」


 事務員さんの姿が見えなくなると、カメラマンさんは笑顔でそう言った。

 その後、撮影は無事終了し解散となった。


「今日はありがとうございました。本当に! 今日という日をこの”槙 楓”一生忘れません! 最後が残念でしたが……」


 事務員さんは最後に挨拶をした時に嬉しそうに言ったのを聞き、俺はようやく事務員さんの名前を思い出した。


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