表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
265/313

それぞれの思惑

 遠慮しない。詩乃さんがそう言ったときの目は、軽いゲームをしようと言う目では無かった。


 ……この()一体どんな事を求める気だ? 俺がした提案の後で、そんな真剣な顔をしていたら、自分がする要求はアダルト方面ですよ、と言っているようなものである。さっき言っていた淑女はどこにいったのだろうか?


 しかしこのゲームに真剣に取り組んでいるのは詩乃さんだけでは無かったらしい。ボキリボキリと骨を鳴らす鈍い音が聞こえて来た。俺がそちらに顔を向けると、これから決戦にでも向かうような殺気に満ちた顔をしたみのりさんがいた。


 彼女は俺の視線に気づくと、顔を赤くしながら恥ずかしそうに言った。


「わ、私、格闘技とかやってるので、ゲームといえど勝負事には真剣になってしまうんです……」


 単にゲームに真剣になっただけとは思えないほどの殺気に満ちていましたが、あなたは一体何を望んでいるのでしょう?

 他の淑女達も同様にただゲームを行うだけとは思えない真面目さだ。やはりエロは人を不必要に駆り立てるものなのだと感心する。


 そんな風に感心していると、"コン"と言う乾いた音が聞こえた。それは南方院さんが、指で机を叩いた音で、その音にみんなの視線が集まった。


「どうやらみんな、予想以上に真剣になったようだし、ルールをキチンとしておこう」

「……どう言うことですか?」


 柚香さんが確認するかのように問い掛ける。


「いや、簡単な事だよ。例えば同じ内容の命令は二度とできないとか、全員を対象とした命令はできないとかだね」

「あーなるほどですねー。確かに『王様と一緒に温泉に入る』って言う命令ばかりになると面白くないですしねー」

「そうだね。全員を対象にしないというのはフェアプレイの精神からだね。琥珀君に不利すぎる」


 確かに南方院さんの言うとおりである。俺としては全員で入ったとしても問題無いが、ゲームのシステム上、おもしろくはなくなるだろう。


「わかった。じゃあホストとして決定します。同じ命令はできない。対象人数の最大は王様を除いて三人とします」

「うん。それで良いよ」


 詩乃さんの宣言に南方院さんが声をあげ、他のみんなも了承したと頷く。

 ……しかし王様ゲームとはココまで真剣になるゲームだっただろうか? ほとんどノリだけのゲームだった気がするが……。



 ◆◆◆◆◆



 南方院雅は自分の提案が通った事を喜んだ。もちろん、そんな内心は表には出していない。このゲームは琥珀の一言によって全員が真剣にならざるを得ない物になってしまった。


 仮に雅が先ほどの提案をしなければ、下手をしたら、琥珀に当たるまで延々と『何番と王様が温泉に入る』が繰り返された事だろう。そして中には一緒に入る事を優先させて、『全員で温泉に入る』などと言い出す輩もいたかも知れない。


 全く度しがたい行為である。何が悲しくて自分が好いた男の裸体を、他の女に見せなければいけないのか? 南方院雅という女はネトラレ好きではないのだ。ぶっちゃけた話、独占できるのなら独占したい。


 それに全員で入るのと二人で入るのとでは得られるであろう好感度の期待値が違う。

 二人で入ることにより、新密度が上がり、お互いを意識することは間違いない。こんなせっかくの機会を逃すなど阿呆のすることであり、ココで負けることを心配して安全策を取る輩に琥珀の相手に相応しくない。


 雅はチラリと詩乃と柚香を見る。残念なからこうなったら同盟もクソもない。オールオアナッシング、全てを手に入れるか何も手に入らないかだ。


 雅はグッと伸びをして、ゲームの開始を待つ。



 八千草美羽は気合いを入れていた。降って湧いたこのチャンスを逃す手など無いと思っているからだ。


 他の女の子は琥珀が言った温泉に意識を向けているが、美羽は違う。確かにそちらにも凄く惹かれるのだが、それよりもこのせっかくのチャンスに自分と言う……八千草 美羽と言う存在を琥珀に意識させなければいけないのだ。

 美羽は狙っている。琥珀との添い寝を……。温泉は長くて一時間ほどだが、しかし添い寝が許可されれば長くて八時間、その間に密着していれば、否が応にも自分を意識するだろう。


 美羽は知っている。自分の体つきが他の少女と比べ、性的魅力に劣っていることを。そしてだからこそ他の()と違った戦い方をしなければならないことを。



 三島百合は悩んでいた。もしも自分が王様になった場合、何を命令するか。


(婚姻届に判を押して貰うっていうのはどうかしら? うーん、やっぱり少し無理よね。……それとも少しは期待できるかしら? 取り敢えず言うだけならアリよね?)


 三島百合は悩んでいた。

……まだゲームが始まらない!?



活動報告にて特典のSSについての情報を載せさせて頂きました。

よろしければ見ていってください。


前回の活動報告でコメントを下さった方々、ありがとうございます。

また、予約をしてくださった方、購入予定とご連絡頂いた方々、

大変ありがとうございます。とても嬉しかったです。


書籍1巻は11/30発売です。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 書籍化おめでとうございます。30日を楽しみにしております。また長文の感想で失礼します。 [気になる点] 何というか男の子同士の会話のやり取りは面白い。ただ女の子とのやり取りになると微妙です…
[一言] 書籍化おめでとうございます! 1話からずっと読んでました! 発売したら 必ず買いますよ! いつかコミカライズになって欲しいな°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
[気になる点] この作品ではある程度男女の役割が逆転していますが、ゲームの名前は女王様ゲームではなく王様ゲームでいいんですか? 細かい指摘ですが少し気になりました。 [一言] いつも楽しく読ませてもら…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ