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王様ゲーム

 八千草さんが食堂から使い捨ての丸い竹箸を持ってきてくれた。既に割れているタイプの物なので、どれを見ても見分けがつかない。

 それぞれに数字を書き、最後の一本に赤い印をつけて準備完了。王様ゲームとは実にお手軽にできるゲームだ。


「じゃあ始めようか」


 コホンと咳払いをして、詩乃さんがレクリエーションの始まりを言う。それに対してみんながワー! と拍手をして盛り上げる。しかしその中、舞澄さんがスッと手をあげた。


「ごめんなさい。私ルールを知りませんわ」


 せっかくの盛り上がりに水を差した事を申し訳無く思っているのか、どことなくシュンとした顔をしている。


「ああ、そうだったねゴメンゴメン。でもルールは簡単なんだよ。ホラお箸にそれぞれ数字が書いてあるんだけど。それとは別にこのお箸一本だけ先端を赤く塗ってるでしょ」

「ええ……」


 詩乃さんが手に持ったお箸をしげしげと見て、腑に落ちないと言う感じで呟く舞澄さん。


「これをこの筒の中に他のお箸と一緒に混ぜて皆で引く。それだけだよ」

「? それだけですの?」

「うん。そしてその印がついた棒を引いた人が王様になるんだ」

「王様ですか……? 王様になったらどうすんですの?」

「好きな事を言って良いんだよ!」

「好きな事?」

「うん。ただし名指しは駄目。番号で指定すること。例えば……二番と三番が腕相撲する! とか?」

「……なるほど」


 詩乃さんの説明にフンフンと頷く舞澄さん。


「この王様の命令は絶対に守らないといけないんだ!」

「絶対に……」

「もちろんゲームになる範囲内でね」

「ムムッ……わかりましたわ! つまり『東華院グループの株式を全て譲渡しろ』とかは駄目と言う事ですわね!」

「うん、そうだけど……。えっ……そんなこと命令しようと考えてたの?」

「…………」

「何か言ってくれないかな!?」


 舞澄さんは詩乃さんから目を逸らし、「明日は晴れそうですわー」と独り言を言っている。もしも舞澄さんの言う様な事がオッケーだったなら、もうレクリエーションの枠をこえて、人生を賭けた地獄のゲームになっていた。


「あっ!」


 その時、三島さんが声をあげ、皆の視線を集めた。


「どうかした?」


 何かあったのかと聞いてみる。


「えっ、と……ホラここには秦野君がいるし。王様の命令にも少し気を配った方がいいと思って」

「俺?」

「ああっなるほど。確かにそうだね」

「そうですね。百合ちゃんの言うとおりです」

「んんっ?」


 南方院さんや柚香さんはわかったようだが、俺はまだ理解出来ていない。何の事だと首を捻っていると、少し恥ずかしそうにしながら、みのりさんが教えてくれる。


「ホラ、あの……なんて言うか少しエッチな命令とかですよ」

「……ああ、なるほど」


 俺が理解できたと声をだすと、詩乃さんがそれに応える様に声をだす。


「そうだね。じゃあそう言った過激な命令もなしで……。具体的に言うなら服を脱ぐとかもアウトだね。……もちろん淑女である私達は、最初からそんな命令しようなんて思わなかったよね」

「フッ……あたりまえだね」

「うん」

「当然ですよねぇ」


 詩乃さんの言葉を聞き、みんな首を縦に振るが、どことなくしょんぼりしている気がする。……まぁそれはそうだろう。前世で王様ゲームをやったことがあるが、盛り上げる意味合いもあるが、正直そのほとんどがエロい方面を期待してやっているのが多い。しかし露骨にそれを命令してしまうと、恐ろしいほど場が盛り下がり、女の子にどん引きされてしまうと言う恐ろしい行為だ。


 当然この世界では、女の子がその方面を想像するだろう。

 うら若い女子達である、この子達も少しは期待していた所があってもおかしくはない。……なるほど理解した。よろしい今日は夏のバカンス一日目だ。少しぐらい羽目を外したって罰は当たらない。だって夏だもの!


「……良いよ」

「「「えっ……?」」」


 俺の言葉に少女達は不思議そうな顔をする。


「良いよ。エッチな命令しても」

「「「えっ!!!」」」


 少女達は同じ言葉で今度は驚愕の意思を示す。


「さっき詩乃さんが言った服を脱ぐのも有りにしよう」

「ちょ! 琥珀君!」

「ああ、わかった。だって夏だものね。よしもう少し過激な物も良しとしよう。そうだな……具体的に言えば一緒にお風呂に入るぐらいはオッケーにしよう」


 俺がそう言うと場は静まり返った。

 ……アレ? ワーワー! 盛り上がる予定だったのになんでだ? 男公認でエロい事出来るのに。俺が疑問に思っていると詩乃さんが大きく息を吐き言った。


「フー。琥珀君、本当に良いの?」

「男に二言はないよ」


 俺の返答を聞いて、なお詩乃さんは再度聞いてきた。


「琥珀君吐いた唾は飲めないよ……。大丈夫?」


 その目は暗く澱み、声は低く静かだった。俺は思わずゴクリと唾を飲み、それでも首を縦に振った。

 それを見た詩乃さんは、いつもの明るい笑顔ではなく、欲望に染まった暗い笑みを浮かべて言った。


「なるほど。琥珀君の決意は受け取った。じゃあ遠慮しないよ……」

活動報告にて書籍版の情報を載せさせて頂きました。

よろしければ見ていってください。

前回の活動報告でコメントを下さった方々、ありがとうございます。


書籍1巻は11/30発売です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 全然ドキドキしない。怖いしか感想出ない。ナンデ!?
[一言] なお、舞澄さんが既に裸の付き合いをしていることは誰も知らないのであった
[一言] 他の人も感想で言っているけど普通に全員でお風呂に入るって命令すれば一発w あとは2人で入れるという欲望に打ち勝てるか.....!(打ち勝てない) そしてイラスト拝見しました!!! いやー、…
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