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夕食

 部屋で少しの間ゆっくりした後、詩乃さんの言葉通り、俺たちは再び集合し、別荘の中を案内してもらった。その間に夕食が用意されており、今俺たちは、和気あいあいとご飯を食べている。ちなみに本日の夕食はそうめんと野菜の天ぷらだ。おそらく明日行う、バーベキューの事を考えて、今日の夕食は軽くしたのだろう。


 しかしこのそうめんがとてもおいしい。お高いそうめんはおいしいと噂は聞いていたが、なるほど真実なのだと納得させられる。今まで食べてきたものと比べると、あきらかにのど越し、歯ごたえ、そして麺自体の味が違う。チュルチュルと麺をすすりながら、美味しくいただいていると。俺と同じ感想を持ったのか三島さんが驚いたように言う。


「これすごく美味しいわね……。私そうめんがこんなに美味しいとは思わなかったわ」


 その言葉に続くようにみんなが感想を言い始める。


「そうですね。何というか上品さの中に力強さも感じると言いますか……」

「美羽もそう思います! 正直そうめんってそんなに好きじゃ無かったんですけど、これは好きになっちゃいます!」

「いくらでも食べられちゃうよねー」


 別荘に来て、初めての夕食は和やかに終わりを迎える……そう思った。


「喜んでもらって嬉しいよ! ところでみんな旅のしおりは持ってきたかな?」

「「「へっ?」」」


 詩乃さんの突然の言葉に、俺たちは疑問の声をあげた。なぜ食事を取るのにしおりを持ってくる奴がいるのだろうか? そう思っていたのだが……。


「もちろんだよ」

「フフッそうだね。私も持ってきているよ」

「「「ええっ!?」」」


 何故だか柚香さんと南方院さんは持ってきているようだ。


「うんうん、やっぱり旅のスケジュール確認にはしおりが一番だからね!」

「えっとぉ……何かありましたっけ?」

「ホラ、美羽ちゃん。詩乃が言ってるのは、たぶんこの事です」


 八千草さんが首を傾げながら質問すると、近くに座っていた柚香さんがしおりを手渡しながら答えた。八千草さんは渡されたしおりに目を通すと、途端に楽しそうな顔をして言った。


「わぁ! レクリエーション! なにか楽しそうです!」

「あっ本当だ。予定に書いてありますわね」


 隣から覗き込んだ舞澄さんもフンフンと頷いて見ている。


「えっと、レクリエーションって一体何をするんですか?」


 口元を上品に拭いた後、みのりさんが質問をした。それを聞いた詩乃さんはニコニコとしながら元気よく答えた。


「王様ゲームだよ!」

「ほぅ……」

「美羽はやったことないー」

「王様? ゲーム?」

「えっと……」


『王様ゲーム』その言葉を聞いたみんなの反応は様々だった。

 みのりさんは納得した様な顔をしているし、八千草さんは楽しそうな顔をした。舞澄さんはそもそもどの様なゲームか知らないようだ。そして三島さんは顔を赤くしている。……たぶんこいつ(三島さん)エロい事考えてるな。


「おや、セリナちゃんは王様ゲームを知らないのかな?」

「ええ、そうですわね。でも名前を聞いたらどんなゲームかは簡単に想像できますわ!」


 そう言い、舞澄さんは自信満々に話し出した。


「『王様ゲーム』このタイトルから察するに、私たちが王様になって、国家運営をしていくのでしょう。そして担当した国の繁栄度を競い合い、もっとも繁栄した国のプレイヤーが勝利するゲーム! おそらく、ゲーム中には戦争や謀略をしかけることもできる知的シミュレーションゲーム。そうでしょう!」

「ごめん。全然違う」

「ええっ違うの!?」


 ドヤ顔で言ったのに、即座に否定され涙目になった舞澄さんだが、八千草さんに頭を撫でられ慰められている。……でも舞澄さんが言ったゲームを面白そうだと思ったのは俺だけじゃないはずだ。


「でも王様ゲームか……私はやったことないから楽しみだな」

「私もです。ちょっとドキドキしますね」


 南方院さんと柚香さんは微笑みながらそう言いあう。二人だけじゃなく、舞澄さんを除いた、他のみんなも面白そうな顔をしている。


「もう準備もできてるんだよ」


 ホラッと筒と棒を見せてくる。


「まぁさすが詩乃ちゃん、抜かりがないです」

「いやぁーそれほどでもー」

「あっ、ちょっとそれを見せてもらっても良いですか?」


 パンと手を合わせて、詩乃さんを褒め称えるみのりさんに、照れる詩乃さん。

 俺はそんな二人をお茶を飲みながら見ている。食べ終えた食器を下げに来てくれたメイドさんが、デザートを置いてくれたので、お礼を言うと、恥ずかしそうに照れてくれたのが、初々しくてとても良い。

 そんなことを考えていた俺の耳に、バキッという木が折れる音が聞こえてきた。


「あっあら……。ごめんなさい、少し触ったら折れちゃった」


 見ると、みのりさんの手には折られた棒があった。


「おっ、えっ?」

「ごめんなさい。私キッチンに行って代わりの割りばしでも貰ってきます」

「だっ――」

「あっじゃあ美羽トイレに行くからついでもらってきますね!」

「そ、それじゃあお願い……」


 そういった詩乃さんの顔はどこか引き攣っていた。

 そして何故か、柚香さんと南方院さんの顔も少し引き攣っていた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分で用意した割り箸なら仕掛けも出来るしね 新しく割り箸に仕込む分もあるし大変だ [一言] 出てくる割り箸もお高いのが出てくるんだろうか? 仕込み分じゃなければ、安いのを買い揃えてる訳も…
[一言] 何か細工があったようですね 汚い、さすが汚いです、お嬢様
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