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「夏だ!」

「海だ!」

「「バーベキューだー!」」

「ふ、二人とも、ってキャーーー!」


 そう言い、到着したばかりのマイクロバスから降りて駆け出して言ったのは、舞澄さんと八千草さんの演劇部コンビだ。その二人に引っ張られて三島さんが連れ去られる。


「キャー! 砂があつーい!」

「わーい! 砂がサラサラです」

「ゆ、ゆっくりはしってぇー! へぶっ!」

「「あっ……」」


 演劇部にて日々激しいトレーニングを行っている二人のダッシュについていけず、三島さんは足をもつれさせ顔から砂浜にダイブすし、慌てて二人に救助されている。


「あはは、三人とも元気だねー」

「うん。私達も昔はああやってはしゃいだもんね」


 詩乃さんと柚香さんはそんな三人を微笑ましく見て、自分達が小さい時を思い出している。そんな二人も夏本番と言う事で涼しげな格好をしている。


 詩乃さんはTシャツにショートパンツ。とても夏らしいファッションだと言える。対して柚香さんは白いワンピースに麦わら帽子と、とてもお嬢様らしい。その二人に続いてマイクロバスから降りて来たのはみのりさんだ。


「でも三人がはしゃぐのもわかりますね。海も砂浜もすごく綺麗です」


 彼女は七分袖のTシャツにジーンズ、それにキャップを被り、今日は少しボーイッシュに決めている。


「琥珀君、日差しは大丈夫かな? 熱中症には気をつけないといけないよ」


 そして最後に白いブラウスにダメージジーンズと言うファッションの南方院さんが降りてくる。


 とうとうやって来た夏休み。俺達は東華院さんの別荘へとやって来た。何故か旅のしおりまで渡されており、そこには別荘でのオススメアクティビティや、バーベキューや肝試しの予定などが記されていた。加えてその土地のオススメご当地グルメや温泉の効能、近場にある遊べる所なども書かれており、ちょっとした読み物としても楽しめた。


 舞澄さんと八千草さんがバーベキューだー! と海に突撃していったのも、明日の夜にバーベキューをすると書かれていたからだ。ちなみにそのバーベキューで使われる食材は地元産の新鮮食材を使用すると書かれていた。超楽しみ。


「お嬢様、お二人が戻ってくるまで、ここで待機しておきましょうか?」


 そう問いかけて来たのは詩乃さん付きのメイドさんだ、今日は彼女がここまで俺達を連れて来てくれたのだ。


「ううん。(むすび)は先に行って。ここから別荘までは近いから私達は散歩がてら歩いて行くから」

「かしこまりました」


 メイドさんはそう言うと頭を下げ、車に乗り込み先に行った。


「三人ともそろそろ行くよー」


 詩乃さんがキャッキャッと海辺で遊んでいる三人に呼びかけると、三人からは『はーい!』と言う元気な返事がきて、三人が戻ってくる。


「はったのさーん!」

「おっと」


 八千草さんがテンション高く、俺に飛びついて来た。俺は彼女の小さな体を受け止める。俺だから良いものの相手が相手だったらセクハラだ。そんな彼女に続いて舞澄さんも俺の腕に抱きついてきた。


「秦野さん! 海すごく綺麗で冷たかったよ! 一緒に泳ごうね」


 エヘヘと笑いながらピッタリとひっついてくる舞澄さん。俺の腕には彼女の体の柔らかさがダイレクトに感じる。しかし彼女のこの行為も相手が相手だったらセクハラだ。


 そして掛けだして行った最後の一人、委員長こと三島さんは、戻ってくるときも二人に引っ張られて息も絶え絶えで帰ってきた。


「ゼヒューゼヒュー……」


 そんな彼女はグッタリとした様子で俺の肩へ手をのせて何とか立っていると言う様子だ。これはもうセクハラがどうとかよりも人命救助が必要ではないだろうか?


「ち……ちょっと……休ませて……」

「百合、大丈夫ですか?」


 みのりさんが心配そうに水を差し出すと、三島さんはそれを受け取りゴクゴクと飲んでいく。


「ありがとう、落ち着いたわ……。突発的な強制ダッシュで息が切れただけ」

「あーごめんなさい」

「ごめんなさい」


 三島さんの様子にようやく気づいた二人が謝ると、三島さんは『楽しかったし大丈夫』と笑っていた。


「じゃあ行こうか。目的地の別荘はあそこだよ」


 詩乃さんが指で示した先には、ここからでもわかる程の立派な洋館が建っていた。


「この時の私達は、あんな悲劇が起きるとはまだ知ることは無かった……」

「いや、雅さん私の別荘をミステリー小説に出てくる洋館にしないでくれる?」

「なるほど陸の孤島と言う事ですね……」

「違うよ! 一時間も歩けば街に着くからね!」

「油断すれば電話線が切られると……」

「携帯の電波も届くからね!」


 俺達は楽しく話しながら別荘へと歩いて行った。

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