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アンケート

「さて……琥珀君、君が感じた通り今は近年稀に見る恋愛ブームが沸き起こっている訳だ」


 ……朝は男子に囲まれたと思ったら、昼休みは詩乃さんと柚香さんが変な事を言い出した。今日は一体何なんだ……


 詩乃さんは俺の前の席に陣取り、机に肘を立てて口元で手を組んでおり、柚香さんは詩乃さんの斜め後ろに立っている。


「……この教室に入るまでブームの兆しが一切なかったんだけど」


 俺の素朴な疑問に詩乃さんは、チッチッチッと言いながら指を左右に振りだした。


「甘い甘いよ琥珀君。世は情報化社会、新しいブームなんて秒単位で現れるんだよ」

「は、はぁ……」


 その言い分だと秒単位でブームも終わるんだが……。まぁ良い、取り敢えず詩乃さんの話を聞こう。多分、そんなに重要な話じゃ無いと思うけどな!


 コホンと咳払いを一つした詩乃さんに、後ろで立っていた柚香さんが何かの用紙を手渡した。……どうでも良いんだけど柚香さんも座ったら良いのでは無いだろうか?


「さて琥珀君、このデータを見てくれるかな?」

「えっ、あっ、はい」


 机の上に置かれた用紙に記載されてい題目は、思春期の男子の恋愛事情と銘打たれている。そして数々の質問に対する結果が数字とグラフで示されている。


「この最初の質問とか見てみて! 今の男子たちの気持ちがわかるよ!」


 ふーん、どれどれ。


 Q1,女の子の事をどう思いますか?

 A,好き1.8%

  まぁ好き9.4%

  どちらかと言うと好き15.7%

  何とも思わない71.4%

  嫌い世界から滅んで欲しい1.7%


 ……これ答えの選択肢、可笑しくないでしょうか? なんで嫌いだけ世界から滅んで欲しいなのか……。明らかに答えが誘導されているだろう。


「ここで注目するべきは好きの合計が25%以上あることなんだ。以前までだったら良くて10%程だったんだ。ホラ! この数字からも世に恋愛ブームが来ている事がわかるよね!」


 詩乃さんがニッコニッコな笑顔で言ってくるが、俺にわかったのがこのアンケートがマトモじゃ無い事だけだ。


「琥珀君の疑問もわかります」


 俺の訝しげな表情を感じ取ったのか、柚香さんが補足を入れてくれる。


「何故急に好意的な数字が増えたか、ですよね?」


 そこでは無い。この選択肢についての疑問だよ。


「ええ、琥珀君が考えている通り、この数字は男子王決定戦での琥珀君の行動の結果です」


 ……想定外の言葉が出てきた!


「あの戦いで琥珀君は、敵対している女子と手を繋いだり、体を触らせたり、はたまた、ベッドに押し倒したりと、それはもう、イチャイチャしてました」


 ……おかしいな? 言葉だけ聞くと勝負事している風に聞こえない不思議。しかし、それは明確に勝つための手段なのでここは否定をしておかなければならない。


「そ、そんなイチャイチャとかしてないし……」

「してた」

「したました」

「あっ、はい」


 無表情で否定し返された。


「まぁ、そこは置いておくとして、テレビでそのイチャイチャしている光景を見た男子たちは、こう思ったらしい」

「……」

「何だか楽しそうだ、とね。その結果がこの数字に表れているんだよ」


 なるほど? と思って良いのかわからないが、まぁ良い。しかし一番わからないのがこれを俺に見せてどうしろと?


 そんな疑問に詩乃さんは真剣な表情で、一つの質問を指差した。


 Q9,女子と楽しく過ごす方法

  とにかくボディタッチ1.1%

  相手に任せる52.6%

  雑誌で学ぶ10.1%

 男子王の真似をする32.8%

 わからない3.5%


 ……おかしいな、何故か男子王の文字がある。


「今や男子王、秦野琥珀は男子たちのお手本になってるんだよ」

「はた迷惑過ぎる!」

「でもこのままじゃ行けないと思わない? 私は思う!」

「へっ?」

「一番多い相手に任せる!」


 ビシッィと力強く、その部分を指差す詩乃さん。


「相手任せにしておいたら、悪い女子に引っ掛かったら何が起こるかわからないよ!」

「詩乃の言うとおりです琥珀君。軽く考えただけでも、若くして子供が出来る。援交、売春強要、薬付けからの風俗落ち。……なんて恐ろしい」


 柚香さんが恐ろし気に体を震わす。でも一気に話が重たくなりすぎじゃね? しかし詩乃さんは柚香さんの言葉にウンウンと頷いている。


「で、だよ琥珀君。望む望まないは別として、琥珀君は今、男子王として皆のお手本になっているんだ。だからこそ男女交際の仕方を皆に教えてあげようじゃないか!」

「えっ?」

「大丈夫です。教えてあげるっていってもデートで何食べた。とか何処へ行ったとかをブログやSNSであげるだけです。深いプライベートには踏み込みません」

「えっ?」

「うん、勿論、言い出しっぺとして私と柚香もキチンと協力するよ」

「はい。後は雅さんがデートを申し込まれているんですよね? ちょうど良いですから雅さんにも協力して貰いましょう」

「えっ?」

「お願い琥珀君、この世界の男子の為に!」

「お願いします。琥珀君、世界平和の為に!」

「壮大過ぎる!」


 余りの熱意さに思わず頷いてしまった。さすが四大貴族。世界の事を考えての行動、グローバルな視点を持っている。感心した。

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