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美味しいケーキと紅茶で2

「そもそも、こんな話し合い自体が不毛じゃないかな?」


 雅はそう疑問を口にした。実際、一番大事なのは琥珀の気持ちであり、それは自分達ではどうする事も出来ない部分だ。いや、琥珀をその気にさせるのが自分達がやるべき事である。


 また、琥珀がその気になれば結婚する人など限り無く増やす事ができるのだから、琥珀を交えずここで言い合っても何の意味も無い。


 そんな雅の言葉に詩乃はわかっていないとばかりに溜め息を吐いた。


「雅さんわかってない、わかってないよ」


 詩乃の言葉に雅は思わずムッとする。


「何がわかって無いのかな?」

「多分、雅さんは琥珀君がその気になれば何人でも結婚できるとか考えてるんじゃない?」

「……」

「でもそれは、ただ法律上可能なだけでほぼ起こり得ない事だと思う。秦野琥珀君は一般的な男子と違う。彼を動かすにはお金でも地位でも名誉でも無い……」


 雅は詩乃が話す内容を黙って聞く。それは詩乃に言われる迄も無くわかっている事だが琥珀を良く知っている人間から聞く事でより強く実感する為である。


「琥珀君の心を揺さぶる愛だよ……」

「雅さん、果たしてそんな愛が数多く存在しますか?」

「……」


 つまりこの二人はこう言いたいのだ、琥珀の心は純粋であるが故に深く、そして限りがあると。……なるほど理にかなっている。


「だから私に引けと……?」


 言いたい事はわかった。しかしその事実は自分を引かせるだけの理由にはならない。限りがあるのなら自分がそれを奪い取れば良いだけの話である。何も難しい事は無い。


 雅の言葉に柚香は持っていたカップを静かにソーサーに置いた。


「いいえ。今話していただけでも雅さんが琥珀君から手を引く積もりが無いのは理解できました」

「そう、だったら宣戦布告でもしに来たのかな? お前には渡さないって?」


 雅の挑戦的な言葉に二人は何も反応せず、ただ紅茶を口に運んだだけだった。雅は顔には出さなかったが、二人の反応の無さに少しだけ以外に思った。てっきり彼女達は琥珀君に手を出したら四大貴族同士の戦争になるぞ! それが嫌なら手を引けと脅しを掛けに来たとばかり思っていたからだ。


「……正直、そんな言葉で引き下がるならいくらでも言うんだけど」

「そんな事で引くなら最初から手を出しません……よね?」

「……まぁそうだね」


 南方院雅は琥珀から手を引かない。その事がわかっているなら、何故、二人はここに来たのか?


「……もし琥珀君が結婚するとしたら、それは最大何人ぐらいだと思う、雅さん?」


 唐突な質問に雅は不思議に思ったが、興味深い内容だった為少し考えてみた。


「何人……。近い年代で有名な男性だったら三十人って言うのがいたよね。お相手も有名人や資産家ばかりで、ほとんど名義貸しみたいな物だったらしいけど」


 その男性もかなりの美貌を持っていたらしいが、琥珀には及ばないだろう。そう考えると必然的に婚姻の要請はその彼よりも増えると予想する、しかし琥珀はそんな彼とは違うだろう。いくら名前だけと言っても拒否するだろう。


「そうだね……まぁ大体その半分くらーー」

「最大でも七人」

「おそらくそれが上限だろうと考えています」


 ……少ないとは言えない。いやそれ所か今の時代を考えれば格段に多いとだろう。今の時代、結婚しない男性も珍しくない上に、何故か男性同士で添い遂げると言う事も珍しく無いのだから。それを考えれば多いとさえ思うだろう。


「でも何で七人?」

「ホラ、七人だと最低でも週一で家族愛が深められるじゃないですか!」

「琥珀君は多分家族を大切にするタイプだからね」


 ウンウンと頷いている詩乃を見て、雅はそこはかと無くその数字に不安を抱く。


「で、結局二人は噂が本当かどうか確かめに来たの?」


 若干気の抜けた声で雅が問う。そうだとしたら、東華院と西華宮の次期当主だと言えど、まだ高校生と認識する他無い。


「えっ? そんな訳ないよ」


 詩乃の否定に雅はやはりそんな訳無いか、と気を引き締める。


「一番良かったのは、雅さんが琥珀君を諦めてくれる事だったんですけど。それは可能性が低いと思ってました」

「だったらどうするか……」


 やはりそう言う事かと雅は納得する。そして二人の言葉を引き継ぐ。


「私達は協力して妻の座を確実に手に入れる」


 雅の言葉を聞き、詩乃と柚香はニッコリと笑顔を浮かべ、そして雅もそんな二人と同じ様に笑顔を浮かべている事を自覚した。


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