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南方院 雅の人柄

 南方院さんを見送った後、俺も教室へと戻った。その際に槙さんから悪い話ではないと思いますが、よく考えてお返事するといいと思いますよ。何たってお金持ちですからね贅沢三昧出来ます! と力強い言葉を貰った。


 まぁ、お金目当てだけだったら、槙さんの言うとおり結婚を受け入れても良いんだろう。この世界では一夫多妻制だ幾らでも結婚できる。だからと言ってホイホイ金目当てで結婚したら自分の価値が下がる。以前出たパーティーみたいな所で、金目当てで結婚したと陰口を叩かれるのが関の山だろう。


 それはいけない。俺は誉められたいのだ。美しい! 素晴らしい! 最高だ! そう誉め称えられたいのだ。だからこそ相手に求めるのは地位や金銭、名誉……そして何より愛情が重要となる。俺が事故で二目と見られない顔になったとしても面倒見てくれるだけの愛情が!


 そこへ行くと先程の南方院、彼女は取り敢えず俺の容姿と男子王に惹かれてやって来ただけと言える。……優良物件ではあるんだよ、優良物件では……。


「あっ琥珀君おはよー、もうすぐチャイムなるよ。どこ行ってたの?」

「お早う、ちょっとお客さんが来てて呼ばれてたんだ」

「お客さん、ですか?」


 コテンと首を傾げ聞いてきた柚香さんに頷く。


「二人は南方 雅さんて知ってる? 割りと年は近いと思うけど。この前行ったパーティーには居なかったよね?」


 同じ四大貴族の二人なら、詳しい情報を知っているかと思い軽く聞いてみた。


 しかしその瞬間二人の空気が変わった。笑顔なのは変わらないが醸し出す雰囲気が暗く、重くそして禍々しい物へ変わった。その証拠に二人の側でお喋りに興じていた女子たちが、お喋りを止め、そそくさと自分の席へと戻って行った。


「ふ、二人とも……?」


 もしかして仲が悪いのか? そんな心配をしつた聞いた手前放って置くことも出来ないので話を進める。


「もしかして知らなかった? だったら別に……」

「ううん。そんな事無いよ! よく知ってるし」

「はい、今でも時々お会いしますよ」

「今その質問が来るって事はお客さんは雅さんだったって事だよね?」

「あーうん。男子王で俺を見て気になったらしーー」

「嘘ですよね」


 南方院さんの来訪理由を幾分マイルドに伝えたが即効で嘘がバレた。


「雅さんがそんなフワッとした理由では足を運びません。琥珀君嘘は吐かなくて良いんですよ」


 ニッコリとした優しい笑顔の柚香さんだが、俺の耳には『さっさと本当の事を吐け』と聞こえる。多分脳内変換が上手く行ってないのだろう。恐ろしい……。


「まぁ……付き合って欲しい的な? 事を……」


 俺がそう言った時、今度はクラスの雰囲気がビシリと割れた。


「……取り敢えず南方院グループの不買運動からかな?」

「いや、それだと他の人にも迷惑が掛かるから……ここは闇討ちとか?」

「ダメダメ相手は四大貴族だよ。護衛ぐらいいるよ」


 と女子が盛り上がれば


「……もしかして秦野を差し出せばこの学校に平和が戻ってくるかも」

「……そう、だな。もしかしたら転校とかあるかもな!」

「いや、秦野を監禁して貰えれば、より安心できる」

「扉に猛獣注意の張り紙がいるな。……俺書くよ!」

「ゴクリ……そうなれば俺達の天下」


 男子も男子で盛り上がる。……仮に付き合ったとしても学校は辞めんし、監禁もされんがな!


「ふ、ふーん、そっかー。雅さんそんな事を言ってたんだー。あのアマー相変わらず手が早いなー」

「詩乃、言葉が乱れてるよ」


 ……あのアマ。おおよそ詩乃さんから出てこない単語が出てきた。


「いや、うん。わかってるよわかってる。琥珀君がそんな誘惑に乗らないなんて事はわかってるよ。……乗ってないよね?」

「返事はしてないね。……と言うより誘惑って?」


 俺の質問に二人は顔を見合せた。


「雅さんは優秀な人だよ。学業も優秀だし、行動力もある。学生ながら経営にも携わって結果もだしてる。でも……その、なんと言うか昔から惚れっぽい所が有るんだ。……小さい時から果敢に告白しに行ってたんだけど……」

「まあ、玉砕の日々が続きまして……」


 ……恐ろしい、エリートの家柄でも容赦なく振る、この世界の男が恐ろしい。


「それで、ある時言われたらしいんだ。手土産の一つも持って来ないで告白とか冗談だろう? って」

「それを聞いた雅さんは成る程と納得し、札束でひっぱたく告白をする様になったらしいです」

「ほうほう、結果は?」

「連戦連勝、でも長続きはしない見たいです」

「雅さんが求めているのは表面上の関係ではないと言う事だと思う。雅さんを一言で言い表すなら『鋼のメンタル』幾度折られても挫けないその精神力は驚嘆に値するよ」


 詩乃さんは何故か瞳に闘志を宿してそう言った。


 ……何故人柄聞いただけで闘志が?



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