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出場者達の考え

 ……うーん。色々と考えたがやはり一番良いのは正攻法で戦う事か。他の参加者に金ばらまいて買収とかは多分失敗に終わる。男子(あいつら)の性格の悪さから受け取ったは良いが、それを元にこっちを脅すとか、そもそも契約を守らないと言う危険性の方が大きい。無難に闇討ちとかも考えたが、この世の中で男子を狙うなんて難易度が高すぎる。よしんば成功しても公的権力が絶対に動き出すし、狙われたのが男子王に出場しているとわかったら番組も終わってしまう。リスクとリターンが違いすぎる。


 大体、出場者の多くが棄権なんて事になったら盛り上がりに欠ける。その場合は視聴率が良くても成功とは言えないだろう。こう言う企画は二回目、三回目と継続的に数字を稼げる物にしたい。


 それにテレビと言う多くの人が見る媒体なのだから卑怯な事や裏でこそこそして勝つよりも、正々堂々と真っ正面から戦い、勝利する事が望ましい。何時の世だって人は綺麗な勝利が好きなのだから。……何より裏で謀略を考える男だと放送され、印象がついたら大損害だ。絶対に訴えてやる! まぁ俺は松永久秀とか好きだけど。


 本選での戦い方は、正道の戦いで相手を負かして行く必要がある。だから他の出場者が戦っている間、様子見しておき最後に残った奴を倒すなんて方法は使えない。……こう考えると制限が多いような気がするが、正々堂々戦っておけば、もし負けたとしても爽やかに敗北を認め勝者を讃える事で俺の印象はアップする筈だ。


 しかし……。負けられない………負けたくない! 俺は強くそう思う。俺の手には一枚の用紙があった。それは放送後に送られたきた番組からのメールを印刷したものである。そこには本選のルール説明や本選を行う前に一度スタジオで撮影をするのでその出演依頼が記載されていた。その中で俺の眼を引いたのは優勝者である男子王には賞金や副賞がスポンサーから出るという一文である。今日見た限りスポンサーには化粧、食品、服飾、自動車等の大手が並んでおり、そこが用意する賞品にも期待できる。とん兵衛一年分とかだったらかなり嬉しい。


 俺は欲深く無いが、こうまで美味しそうな餌をぶら下げられてはやる気を出さざるを得ない。……全くテレビ局は狡猾だ。この分だと他の出場者もやる気を出してるだろうし本選は気を抜けない。俺は来るべき日に向けて気を引き締める。


 こうなれば一緒に出て貰う人も探さなくてはいけないが、これは強力な当てがある。まだ打診等はしてないがやはり詩乃さん達にお願いしようと思っている。仲が良い人達だし、なにより体育祭やみのりさんの試合とか見て思ったけどアイツラの性能の良さはちょっとおかしい。エリート達だらけの一組の中でも飛び抜けてる……多分、同年代でも屈指だろう。勉強も運動も出来る上に容姿も良いなんて……改造人間だろうか?




 ◆◆◆◆


「下らん……下らんなぁ」


 鍛え上げられた肉体を隠すこと無く晒している魅力的な男子、大空寺豪は先程送られてきた連絡に眼を通して一言そう漏らした。


 賞金? 副賞? 全く持って下らない。自分が参加した理由は大空寺豪と言う時代を代表する男と争える男が他にいるのか知りたかった為だ。選び抜かれた男が集う清明に行ければ良かったのだが、生憎と自分が住んでいる地域とは離れ過ぎていた。


 周囲に男子はほとんど居らず、僅かにいる奴等は程度が低い雑魚ばかり。そんな奴等と競っても燃えないのだ。そんな鬱屈した思いを持ち日々自分を鍛えながら過ごしていた自分の眼に、偶然それは飛び込んできた。画面の中から世界中の男をバカにする仮面を被った怪しい男。世界中の男、つまり自分に対しても仮面の男は勝負を挑んで来たのだ。


 その瞬間はまさに血が沸騰したかの様に体が熱くなったものだ。予選も中々に面白かった。実力は物足りなかったが全員が俺に勝つつもりで勝負を挑んで来たのだ。その熱量はバカにしたものでは無い。それは他の予選でも同じだろう。そんな予選から勝ち上がってきた者達だ本選は自分が思っている以上に楽しめる筈だ。


 金や物……成る程、程度の低い男なら釣れるだろうが、極上な男達が揃っている本選出場者だ、金や物などで釣られる程安くは無い。大体、自分を磨き自信を持っていれば金や物など勝手に集まってくる。自分が今住んでいる夜景が一望できるタワーマンションもプレゼントされた物である。


 大空寺は大きく開かれた窓から夜景を見ながら、テレビで確認した本選出場者を思う。印象に残っているのは四名だ。太陽王と名乗る馬鹿に、温室育ちのエリート、それに甘っちょろい事ばかり吐く変な奴。それに加えて潜んでいる仮面の男。


「クックック……楽しみだ、楽しみだなぁ……」


 大空寺は自分の勝利を疑っていない。他の男達はすべからく自分よりも劣る存在だと思っているからだ。だからこそ思い浮かべない。他の者も自分と同じように考えていると言う事は。


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