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悪役令嬢はお人好し  作者: 悠雨
第1章
4/18

本当の彼女


わたくしの名前はカレンディラ・ユシュアン。貴族の家系で、父は公爵位を持っております。曾祖母の代に王女が降嫁されましたので、わたくしの父と弟は、現陛下と王太子殿下に次いだ王位継承権を持っております。王家はわたくしの曾祖母であるティアレナ様の兄で先々代国王陛下以降、先代国王陛下と現国王陛下は一人っ子であり、このたびようやく王太子殿下と姫殿下がおられます。なので我が家は現在、国に5つある公爵家で最も王家と近しい家系になっております。

さて、そんなわけで、わたくしは姫殿下リーリア様に次いで身分が高い令嬢なのですが。そんなわたくし。ただいまいわゆる『悪役令嬢あてうま』を務めております。

役柄は三つ。一つ。婚約者である王太子殿下が懸想する財政崖っぷちのブレア伯爵令嬢ルルーシュ様への嫌がらせをする『障害があれば恋は燃え上がるのよ』の障害立ち位置。

二つ。幼馴染であるマリーシア・クラウン侯爵令嬢の婚約者ナツキ・シュレイド侯爵家子息につきまとう『対比するモノが酷ければマシに見えるよね』の酷い方担当。

最後に。庶子の種違いの妹をいじめる『あんたなんて気に食わなくってよ』な姉。

という行動をとっておりますので、わたくし、とおっっっっっっても嫌われ者でございます。

もちろん全て自主的にやっている訳ではございません。亜麻色の緩い巻き毛に吊り目がちな琥珀色の目。気の強そうな顔立ちは完璧な悪役顏ですが、わたくしはいたって平和主義者ですもの。

ではなぜそんな面倒なことを自称平和主義者たるわたくしがやっているのか。わたくしも常々辞めたいと思い、なんでこんなことしているのかと思うこともあります。ですが、馴染み深い婚約者に、

「後生だ! 君以外に頼れる人は思いつかない」

だとか。

幼馴染に、

「私のためだと思って、協力して頂戴。ね、親友でしょう? お願い」

だとか。

仲良くしたい妹に。

「わたしを哀れに思うのなら、わたしの言うとおりにして! それがわたしのためだから!! 頼ってもいいでしょう? お姉様」

だとか。言われてしまったら、「お願い」の類い弱いわたくしは断れないではありませんか。かくして、ここに悪役令嬢あてうまが誕生したわけでございます。

そんなこんなで、あちこちで絶賛嫌われまくっているわたくしを、弟のカルロは、

「いつか絶対詐欺に合うと思ってたけど、こんな厄介ごと背負い込むとはさすがに想像もしてなかった」

と呆れて言ってきました。

しかしわたくしは構わないのです。全て終わった暁には、わたくし。褒賞をがっぽりいただいて、新たな人生を歩むつもりですもの。婚約者をなくし、幼馴染の旦那様に嫌われ妹をいじめたわたくしの居場所が、全て終わった後にもあるとは思いませんもの。地方で大人しく余生を過ごすつもりでございます。資金は次期公爵の弟にたかりますか。情けないお話ですが。しかしそんな唯一と言っていい味方の弟も、

「嫁になんていかなくていい。ずっと俺の側にいればいい。ああ、なんで俺とカレンは血が繋がってるんだろう」

とほざくシスコン野郎ですので、家を出た方がいいかもしれません。


全ては大切な方々のために。


たとえたくさんの人から嫌われても、ほんの数人が理解してくれるのならば、わたくしはそれでいいのです。

それが彼等のためになるのなら、わたくしは一肌でも二肌でも脱ごうではありませんか。


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