表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢はお人好し  作者: 悠雨
プロローグ
2/18

咬ませ犬展開



1合、2合。かっ、かっ、と。木剣を打ち合う音が響く。しかし6合目で、木剣が一本宙を舞った。

「……早いぞ」

「見えたんですよ」

木剣を離した方が、疲れたように言った。それを見て、木剣を弾いた方は早々にその場から立ち去ろうとした。が、

「ナツキ様っ」

時すでに遅し。ドン、という軽い衝撃の後、背中に密着した挙句自分の胴に回された手に、された方ーーーナツキの顔が引きつる。

「……ユシュアン公爵令嬢。こういう行動は慎んでいただきたいと、いつも」

「別にいいでしょう? 減るものじゃないですし」

強引に胴に回された手を剥がし、向き合うと、亜麻色の髪の綺麗な顔立ちの女性は微笑んだ。その言葉に、ナツキはため息をついた。何を言っても、この人が聞いてくれた試しがない。彼女と違って(・・・・・・)

「それに、名前で呼んでといつも言っていますでしょう?」

「ユシュアン公爵家令嬢である方の名を軽々しく呼ぶわけには」

「ナツキ様はいっつもそう言ってばっかりですね。でも、そういうところも好きですのよ?」

「光栄です」

冷淡なナツキの態度に、令嬢は少しだけ残念そうにする。

「俺はこれから用があるので。失礼します」

ナツキはそう言うと、さっさと踵を返した。

「また来ますね、ナツキ様」

届いた声。二度と来るな。という本音は飲み込んで、ナツキは先を急いだ。背後で令嬢が、先ほど打ち合いをしていた方にも声をかけているのに気付き、胸糞悪くなった。

あの女は男なら誰でもいいのだ。婚約者がいる身でありながら、他の男に擦り寄る姿が、ナツキには信じられなかった。

それに比べて。ナツキはこれから向かう先で待っている彼女・・を思い笑みを浮かべた。

人に気を使える心優しい女性。穏やかで、少し触れただけで真っ赤になる。可愛い人。

彼女に会えたら、あの女に遭遇してしまった嫌な出来事も忘れられる。

早く彼女に会いたくて、ナツキの足は自然と早くなった。




ナツキ・シュレイド。侯爵家の次男で王国騎士。国でも屈指の実力者だ。真面目で無骨なナツキには、親の定めた婚約者がいた。マリーシア・クラウン。侯爵家の一人娘で、ナツキは婿に入る予定である。剣一筋であったナツキには、女性の扱い方がわからず、最初は婚約者とはギクシャクしていた。しかし、王太子に恋人が出来た頃から現れたユシュアン公爵令嬢。婚約者を恋人に取られ哀れと思って接してから気に入られ、以降彼女の自分勝手に振り回されるように。心底疲れ果てたあと、マリーシアに会った時。彼女の素晴らしい人間性を理解した。マリーシアに癒された。以後婚約者との距離を縮めようとナツキが頑張った結果。以来二人の仲は良好である。

ユシュアン公爵令嬢を心底面倒だと思っているナツキだが。しかし、そこは反面教師。彼女と会うことでより婚約者の素晴らしさを実感出来ていた。今まで疑問に思ったことはないが、実はユシュアン公爵令嬢がナツキの元を訪れるのは、何故かいつも婚約者に会いに行く予定の日だったりするのである。何故か。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ