異星の貴族の夏休み
ブィシロム・バルガッハ・ルークトレイトン3世は貴族の子。
何不自由無く暮らしている。ただ1つ困っている事は、
才能に恵まれない事である。 運動能力も体格も並以下。決して彼が努力をしていない訳では無い。 むしろ彼は人一倍努力している。彼より努力を怠っている者は結構居る。
しかしそんな連中に限っていつも良い成績を出すのだ。
ブィシロムは悟った。
結局世の中才能が全て。努力だけじゃ才能に勝る事は出来ない。
なら努力なんて無駄、もう辞めてしまおう。
しかしそんな事父上が黙っちゃいないだろう。それに普段真面目に頑張っているお陰で能力が並以下ながら、落ちこぼれていないのも事実だ。
本当に何もしなくなったら今頃落ちこぼれ街道まっしぐらだろう。
折角の家族旅行中に何故そんなことを考えていたかというと、弟とチェスをしてボロ負けしたためである。(ブィシロムはチェスをかなりやり込んでいる。弟は駒の動きを覚えたばかり)
何とも言えない敗北感に浸りながらベッドで横になっていた。
時計を見ると午前2時。トイレに行きたくなって来た。
ベッドから起き上がりトイレに向かう。夜中だというのに何だか外が明るい。
外を見てみると、空に光の球が浮いている。それはみるみる大きくなって行く。
これは爆発だと気付いた時には遅かった。
ホテルや街諸共爆風と光に巻き込まれ、跡形も無く消えた。