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第二篇「告白」 31
『久しぶりね』
ドアを開けて驚いた表情の松宮にそう声をかける。
『・・・・』
松宮は何も言わないで奥へ消える。それを追って中へ進む。
あの当時では考えられない、立派な部屋。
『・・・あれは・・何?』
『・・・読んでくれたんだ。』
『・・・・』
さすがに、ずっとあなたの作品を追いかけていたとは意地で言えなくて黙る。
『・・・君にね。伝えておきたくて。日本を出る前に』
何を・・・今更・・・。
『・・・僕を作家にしてくれたのは君だ・・・』
勝手なことばっかり・・・言って・・・。ここに来てしまった私が、悪いのだけれども。
『・・・責任、取ってよ』
『・・・え・・・・?』
『私のおかげだっていうなら・・・願いを叶えて・・・』
『・・・・』
『あなたと、私の、証拠が欲しいの』
絢子にはあの日の松宮が、松宮にはあの日の絢子が見えていた。