王と古城とヴァルディアの戦士(前編)
数時間後
アル『やっと見えてきたな。』
小高い丘を越えた先に古城が建っている。
建てられた当初はそこそこの力を持った者が治めていたであろうその古城は深い堀が有り、頑強な架け橋が城への入り口へ伸びていた。
ふと見ると入り口の前に数人の人が立っている。
アル『おーい!』
アルの声に全員振り返る。
その内の1人がアルに向かって手を降っている。
ムギャン『アル〜!遅いぞ〜!』
アルはムギャン達の待つ城の入り口まで走って行った。
アル『いや〜すまんすまん。みんな早いな〜約束の時間にはまだ少し有るだろう?』
ムギャン『みんな初めての古城で早く城を出過ぎちゃったみたい…もちろん私もね。』
二グリス『久しいなアル。』
アル『二グリス、久しぶり。一緒に探索行くのは…先月のヌース草原以来だね。…で…そちらは?』
二グリスの横には小さな女の子が立っていた。浮かべる微笑みは見た目通り小さな子供とも見えるが、どこか奥行きを感じさせる不思議な印象を携えていた。
二グリス『あぁ、こちらはルーリ。つい先日我らと共に戦うと決め、同盟員になってもらった。小さくてもモンスターの知識は私よりも優れている、仲良くしてやってくれ。』
ルーリ『アル、はじめまして。これからよろしくお願いしますね。』
アル『こちらこそ。モンスターなんて分からない事だらけだから色々教えてね。』
ムギャン『さーって!自己紹介も済んだ所で早速行こう!どんな強敵が出てくる楽しみ楽しみ♪』
二グリス『そうだな、どれ位時間が掛かるかも分からない、出発は早い方が良いな。』
アル『よしっ!行こう行こう!入口は…あの正面からで良いんだよね??』
アルを先頭に四人は古城の正面にある大きな扉を開き内部へ進んで行った。
古城の中は薄暗く所々の石壁にコケが生え、人が住んでいないのは明らかな様相をしている。
しばらく進んだ先は広くなっていてホールの様になっている。
ムギャン『昔はここで貴族達がダンスでもしていたんだろうねぇ…』
二グリス『今は…あんな奴らしか居ない様だかな。』
二グリスの視線の先には深い紫色の皮膚にガリガリの小さい体に、コウモリの羽を纏ったインプが3匹空を飛んでいた。
インプ達はそれぞれが距離を取り、まるでこのホールを守っている様だ。
アル『先手必勝!かるーくひねっちゃる』
アルが他の誰よりも先に1番手前を飛んでいたインプにその大剣を振り下ろす。
大剣は振り下ろされる直前にこちらに気付いたインプの顔を悲壮な表情なまま一刀両断に切り裂いた。
アル『へへっ!どんなもんだ!』
1匹のインプを自慢の大剣で葬り去ったアルの元へ残り2匹のインプから炎の洗礼、ファイヤーボムが襲いかかった。
インプのファイヤーボムは威力こそ強くは無いが、まだまだ発展途上なアルにとって体制を崩すには十分な破壊力である。