その3
私は取り出したものを小袋に戻し、今度は紙の束を取り出しました。
随分ゴワゴワした質感の悪い紙の端を紐で纏めた、ノート、ですかね?
多分この墨の棒、木炭がペン代りなんでしょうね。
異世界的手帳、といった感じですか。
私はペラペラと中のページをみていきます。
薬草の名前や効能、群生地。
食用にできる草木、出来ない草木。
野宿の注意点や魔物、野犬などの情報。
・・・やっぱりいるんですか、魔物とか。
できれば会いたくないですね。
どうも旅のサバイバルガイドブック、とゆうか、この子が旅した間に体験した事のメモ、のようです。
細々と書かれた情報に一言、二言書かれたコメントはなんとも子供らしく、無鉄砲で可愛い。
笑い茸で笑い死しかけた、とか緑のキノコたべて死ぬほど腹下した、とか大鴉に捕まって空中浮遊しかけた、とか・・・微笑ましく思えるものばかりじゃありませんね。
ま、まぁともかく最後のページまでいってみましょう。
しばらくはそんなメモ及び感想が続きましたが真ん中辺りからは白紙になっていました。
一応最後のページまで確認して、ノートを閉じます。
真ん中から白紙なのは旅慣れたから書くことが減ったからか、何か新しく書く前に私になったからか。
どちらにせよ、このノートにもこの子の情報は書いてありませんでしたね。
この子については手詰まり、ですかね。
流石に服や下着に名前を書くほど幼くはないでしょうし・・・。
一応確認してもいいんですけど、家族でもなければ知り合いでもない男の子の下着や着替えを漁るのは、なにか精神的にクるものが・・・しょうがないんですけど変態になった気分が・・・何もないと信じましょう。
どうせいつかは着替えなければならなくなるんだし、その時確認しましょう。
・・・はあ。
しかし本当に身元どころか、この子の名前さえわかりそうにありませんが、まぁ最初からそこまで過度な期待していませんし、良いです。大丈夫です。負け惜しみじゃありませんからね?
しかし、今の現状、何もわからない、というのも困りますね。
この子の事もですが、現在地も今の状況も分らないことだらけです。
実はちょっと期待していたイベントもありそうにありませんし。
いや、ほら、やっぱり期待するでしょう?
誰かが迎えにきてくれたり、モンスターに襲われそうなのを助けてくれたり。
それにそうゆう風になし崩しにイベントが起きてくれたら私もなにも考えずに動けるのですが、もともと私は情報優先型なんですよね。情報がないと動き辛いのです。
過度な期待はしませんが最低限、情報が欲しいものです。
ふむ、そのうちに何かのイベントが起きることを期待して、もう少し考え事に没頭してましょうかね。