その2
着ている服は革っぽい編み上げブーツにズボンとシャツ。インナーシャツでしょうか?
ソレを幅広の帯みたいな布で腰に巻着付けてあります。その上から短いチェニック。
フードの付いた分厚いマントは防寒と耐水用、でしょうか。
腰のところにポーチ、というか小袋というか、そんな物が左右三つづつ掛けられた大きなベルト。
あとは、何か腰の後ろの方にバツみたいな感触がするのでマントを上に引いて背後を見てみました・・・やっぱりマントが邪魔で見えません。
私は小さくため息を吐いてまた泉に寄りました。後ろ向きになって水面を顔だけで覗くと案の定、バツ印になってベルトの剣帯に差してある、ナイフ。
この細い身体に隠せるくらいだから小さい物なのでしょうが、料理用、とかいうほのぼのした理由ではないのでしょうね。
試しに両手を後ろ手にして柄がある辺りを探ると難なく手に当たりました。
少し引くとカチっとした感触と刃が抜ける感触。
それを確かめと私は直ぐにナイフを鞘に刺し直しました。しっかりと。
こんな使い慣れてない物、迂闊に触ったら怪我をしかねません。触らぬ神に祟りなし、です。
まあ、いつかは使う羽目になるかもしれませんが、今はいいでしょう。
ついでにそのまま、腰の小袋の中身を口を開けて簡単に確認しました。
結果、多分薬だろう丸薬、乾燥させた草、小分けにされた粉。お金らしい貨幣、三種類。
何故か小石が数個。
最後の一つはからでしたが、小石、なんの意味があるのでしょう?
私は首を傾げつつ泉から離れました。
後、調べるのは、私が倒れていた処に転がっていた布と皮の細長いバックくらいです。背負う為の肩紐は幅広の布で小さなポケット着きの、見た感じワンショルダーの様ですが、これはナイフを取る時邪魔になるのではないでしょうか?
私は疑問に思いながら、バックを拾い上げ、地面の乾いた場所に座りました。
なにかこの子の手がかりでもあればいいのですけれど・・・。
四角く畳まれた紙に、コンパス、紙の束?と墨の棒は筆記用具でしょうか、小さなランタン、裁縫道具、小袋には無かった硬貨、砥石、布に包まれた固いパンと肉と香辛料、コップと持ち手尽きお皿とスプーン、変えの下着と服。
あと、赤い石のネックレスがひとつ、肩ひものポケットに入っていました。
なにやら荷物少ないような気もしますが、一人旅?のようですし、こんなものなのでしょう。
とりあえず私は畳まれた紙を開いてみました。
簡略された山や町の記号が描かれたそれは略式の地図、それも部分地図のようでした。
右上にあるのは多分東西南北のマークですね。コンパスの標記と同じマークです。
南は円、北は矢印、西は、く?東は何もなし、が十で結んであります。
マークの隣に小さく書いてある、なんかアラビア語みたいな線と点が、文字、ですかね。
ええ、と、・・・ニイルスの森。
カルブの街、リシェルの町、ラウダス山・・・ふむ、文字が読める事に突っ込んでいいのでしょうか?
私は難なく読めた文字を見つめたあと、おもむろに腰の小袋から硬貨を取り出しました。
三種ある硬貨は木、銅、鉄で出来ていました。
それをジッと見つめると、頭の中にリブ木貨、イル銅貨、レブン鉄貨と浮かんで来ました。
更に今度は謎の丸薬、草、粉、小石を順番に見つめます。
痛み止め、毒消し、傷薬、火薬もどき、魔法石でした。
更に魔法石の方に意識を集中させると魔法石の種類が浮かんできました。
魔物除けと火を出す、水を出すが何個かづつでした。
どうやら回数制限尽きの使い捨てのようです。どうりで水筒や火打石的なのが無いはずです。
しかし、最初に見たときには分からなかったのに何故急に分かるようになったのでしょう?
文字も知識も・・・ふむ、まぁ、わからないときは後回しですね。
まずはこの子のことからです。
ぜんぜん話が動きません(^^;;