プロローグ 光と影
「〈英雄〉だっ!〈光明の英雄〉が来てくれた!」
「お願い、魔獣を倒して!〈英雄〉様っ!」
「カルス・レスツィメーア」
太陽に照らされ金に光る、大量の光の矢が魔族に向かって飛んでいく。それが次々にあたり、それだけで魔族はボロボロと崩れていく。
誰よりも強い。自身に満ち溢れた顔。みんなを笑わせられる。みんなに愛される。みんなを助けられる。
そして、国民全員の憧れ。それが――
アンジェリーネ・ロード・ヴェヒター。
ヴェヒター家当主であり、
〈光明の英雄〉だった。
◇◆◇
一人だった。真っ暗な道に一人で歩いていた。
目の前にはたまに魔獣が出てきた。倒すと、周りから称賛された。
――でも、友達はいなかった。友達にはなってくれなかった。
また歩く。真っ暗な道を、一人で歩く。
ある時、疲れて座っていると、とても暖かくて明るい光が目の前を照らした。
(……太陽?)
明るい太陽みたいな金の髪。自身に満ち溢れた、ふわりと笑う顔。
「ねぇ、君はだあれ?」
「……」
「わたしはアンジェリーネっていうんだ~。ねぇねぇ、わたしと友達になってくれない?」
自分にとっては、明るい太陽だった。
衝撃的な出会いだった。きっと、君はそう思っていないのだろうけれど。
恋に落ちた、そんな軽いものじゃない。運命の出会い、ですらちょっと軽いくらいだ。
◇◆◇
同じ境遇の子だった。同じ服を着て、同じ教育を受けて、同じご飯を食べる。
「ね、フェルト。お腹すいたねぇ」
「うん。今日はオムライスだって。アンネの大好物」
「え! やったぁ。じゃあ、明日はフェルトの好きなスープかもね?」
「……そう、かな」
「絶対そーだよ!」
(……アンネは、僕の太陽。だから、皆に忘れられる訳にはいかないんだ)




