一方その頃、コンクリ詰めの元勇者は、衛星軌道上で考えるのをやめていた
冷たく、暗い宇宙空間。 そこをプカプカと漂う、一つの直方体があった。
かつて「邪神と融合した元勇者」だったモノ――アルヴィンである。
彼は第二章の最後でアレンによってコンクリート詰めにされ、アレン公国の広場に飾られていた。 しかし、軌道エレベーター建設の際、「バラスト(重り)としてちょうどいい」という理由で、宇宙へと持ち上げられ、そして工事のミスでうっかり宇宙空間へ流されてしまったのだ。
(寒い……苦しい……息ができない……いや、邪神だから死なないけど……)
コンクリートの中で、アルヴィンの意識だけが明滅していた。
(アレン……アレン……! 俺はいつか戻る……! 大気圏突入して、隕石となってお前の頭上に……!)
ズンッ。
突然、アルヴィンのブロックに何かが衝突した。 それは、先ほどアレンの『スペース・ルンバ』によって圧縮された海賊船のスクラップだった。
(な、なんだ!? ゴミか!?)
さらに、宇宙人観光客が捨てた空き缶や、壊れた人工衛星などが次々と付着していく。 アルヴィンの持つ邪神の「引力」が、皮肉にも宇宙ゴミを引き寄せてしまっていたのだ。
数日後。 アルヴィンは、無数のゴミを纏った「ゴミの惑星」の中心核となっていた。
(……もういい。俺は星になるんだ……)
彼は考えるのをやめた。 後にこの星は、アレンによって「資源採掘場」として有効活用されることになるのだが、それはまた先の話である。




