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Health Control  作者: ZIRO
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第18話【ぼっち】

部活が終わって、昨日も一緒に帰っていた1年生部員のみんなとの帰り道。


「でさー…」


「はぁ!?マジうけるー!!」


みんなが笑ってる。


釣られて私も笑ってる…けど


うん、私さっきから会話に入ってないな。


会話に入ろうって、そこまで思ってないのもあるけど、誰1人として私に話を振ってこない。


なんていうか、ぼっち感。


「ももちゃん」


そんなことを考えてたら、賑やかな空間とは反対の後ろから、不意に声をかけられた。


振り返ると自転車を押して歩くハヤシ先輩がいた。


ちなみに、ハヤシ先輩は『林』じゃなくて『早矢仕』らしい。


なんだそのキラキラネームばりの当て字はって思ったけど、なんでもご先祖さんの職業が関係してるらしい。


ふーん


小松の由来はなんだろ。


小さい松?


ご先祖様は盆栽でもやってたのかねぇ。


早矢仕先輩は、私の横に並んで歩き出す。


小柄で華奢な感じが、中学の友達だったユリちゃんを思い出す。


「いつもはみんなが帰ったあとでもやることあって、遅くなっちゃうんだけど、今日はももちゃんが手伝ってくれたから、早く終わってみんなと帰れるよ」


マジか


マネージャーってのはブラック企業だな。


犯人は酒井先生だな。


まったく、生徒を何だと思ってんだ。




そのまま早矢仕先輩としゃべりながら…ていうか、早矢仕先輩が一方的に話してるのを聞きながら駅までの道を歩いてたら、前を歩いてた一年生部員といつの間にか距離が空いてて、駅前の信号で先輩と2人で取り残された。


「ももちゃん、私こっちだから」


「あ、はい」


「じゃあ、また明日ー」


「はい、さようならー」


一緒に信号待ちしてたけど、会話が途切れたのが気まずくなったのか、先輩は自分家の方に帰ってく。


先輩の家は、駅から自転車で五分ぐらいらしい。


また明日ー、か。


ごめんね先輩、私は明日行かないよ。


もう陸上部辞める。


走るために陸上部入ったのに、走れないんじゃ意味ないし、たかが高校の部活なのにブラック企業みたいな所にいれるかっつーの。


改札まで行くと、先に駅に着いてた陸上部の1年生がホームにいるのが見えた。


同じ電車になるのもなんとなく気まずいから、改札に入らないで一旦駅を出た。


電車一本やり過ごせればいいから、コンビニでも入るか。


駅前にあるコンビニに入って、ちょっとブラブラして、適当な雑誌を立ち読みしながら時間を潰していると、目の前のガラスをコンコンと叩く音がした。


何だろうと思って顔を上げ…


「姫ちゃん!!」


コンビニの中だっていうのにデカイ声を出してしまった。


一瞬、コンビニにいた人達の視線が集まって、気まずい。


いや、だって立ち読みしてたら、いきなり超絶美少女が最高の笑顔でこっち見て手を振ってるんだよ!!


ちょっと気にしながら、でも姫ちゃんに会えたのが嬉しくて、コンビニの入り口まで小走りする。


「マツコー、偶然!!え、もしか待っててくれたとか?」


「なわけwてか、終わる時間知らないし」


「だよねーwwもー、部活始まってから全然一緒に帰れないしさー」


あたしは、見つけて声かけてくれたってことが嬉しかったけど、姫ちゃんも凄く嬉しそうなハイテンション。


「本当だよー!あ、聞い…」


「ごめんマツコ、私、部活のコと一緒だから、またね」


「あ、うん…」


姫ちゃんは可愛く手を振ると、コンビニの奥に行ってしまった。


姫ちゃんも、凄く嬉しそうにしてくれたから、ワンチャンこのまま一緒に帰るのかなって思ったけど……


姫ちゃんが離れてしまったことが、ちょっと堪えた。


最近、クラスでも姫ちゃんは可愛いコたちが中心のグループ…いわゆる一軍グループにいて、あんまり話しかけられない。


やっぱり元々生きてる世界が違うんだなーって、思い知らされる。


だからかな、部活が始まってまだ3日なのに、ほんと久しぶりに話した気がする。


「何あれ?」


「ん?マツコ。クラスの友達」


「マツコ!?マツコってデラックスの?」


「うんww」


「ウケるーww」


コンビニの奥の見えないところから、姫ちゃんと姫ちゃんの部活の友達の声が聞こえる


姫ちゃんは、チア部に入った。


姫ちゃんは、ここのチア部に入りたくて熊沢女子を受験したらしい。


なんでも、有名なコーチがいるとか。


あたしは、あたしとは違う世界で、自分が話題になっているのをなんだか聞きたくなくて、こっそりコンビニを出た。




「ただいまー」


「おかえりー」


家に帰ると、お母さんとの安定のコール&レスポンス。


結局、姫ちゃん達ともなんとなく電車の時間ズラしたから、ちょっと遅くなっちゃったけど、お母さんは何も言わなかった。


高校生ともなれば、部活で遅くなるのは当たり前ってか。


あれ?


なんか玄関に違和感が…


お姉ちゃんの靴がない?


「お姉ちゃんは?」


気になったから、お母さんに聞いてみた。


「ああ、咲ちゃん今週からバイトだって」


「バイト?」


あのクッソわがまま猪が?ちゃんと務まんのか?


「うん、カラオケBOXの」


「へぇ」


なんでまた、カラオケ?


ま、いいや


お姉ちゃんいないなら、部屋が広いし。


部屋の真ん中に倒れこむようにふっ潰して、今日1日のことを思い返す。


酒井先生に怒られて


無理して走って倒れて


保健室から帰ってきたらマネージャーやれとか言われて


早矢仕先輩とマネージャーの仕事して


帰りも早矢仕先輩と一緒で


てか、陸上部1年の中でちょっとぼっちになって


姫ちゃんに会って…


姫ちゃんに会えたのが救いだったなー


それがなかったら今日のあたしの運勢最下位だよ、マジで


ああ、絶対今日のおめざめテレビの占い11位だったわ


見てないけどわかる


そもそも悪いのは全部酒井先生じゃね?


酒井先生が三周走れって言うから、無理して走ってぶっ倒れたんだよ。


先生、自分で無理させといて、ぶっ倒れたからって「こいつダメだからマネージャー」とかなくね?


いや、マジで。


あたしがぶっ倒れたのはあなたのせいですよ、酒井先生。


自作自演だよ、酒井!!


それがなきゃ陸上部1年でぼっちにだってならなかったし、絶対。


そうだ!!全部酒井が悪いんだ!!


あの三十路BBAが!!


クソ、そう思ったら陸上部なんか本気でどうでもよくなってきたぞ。


もう行かない、絶対!!


床に散乱したお姉ちゃんの雑誌をぼんやり眺めたまま、百華は強い決意を固めたのでした、まる

ご閲覧いただきありがとうございます。誤字・脱字、矛盾点等ありましたら、ご指摘頂けると幸いです。

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