表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

政治経済エッセイ

「共同親権」は子供のための制度ではない!? “詐欺発見器”と「弁護士のための制度」だと思う理由について

作者: 中将

筆者:

 本エッセイをクリックしていただき誠に光栄です。


 今回は今国会の民法改正で議論されている「共同親権」について考察していこうと思います。



質問者:

 離婚するときの親権を決める際の問題ですよね?

 一体全体この制度はどういうメリットがあるのでしょうか?



◇子供の立場で見れば「あまり意味のない制度」



筆者:

 現在は離婚の際に父母どちらかの単独親権のみとなっており、

ここに「共同親権」を選択肢の一つに加えようというものです。


 「共同親権」とは、父と母の両方が子どもの親権を持つ制度のことを言います。


 表向きの建前では、離婚をし、親同士の利害を棄てても、

「共同親権」があれば、子供の養育の権利の保障のために父母が一致できるといったものがあります。


 また、世界の国の中で「共同親権」を認めていない国の方が少ないために、

 『日本も合わせてくれ』といった国際的圧力があるのです。


 2020年7月に開催された欧州議会本会議において、EU籍の親に対する国際離婚の際に日本からの子どもの返還の執行率が低いことなどが指摘されたのです。


 ただ、一言に「世界の国では共同親権がある」とは言っても限定的であったり、

 国ごとに細かい内容が異なるので僕はそんなに合わせる必要は無いように思えますけどね。



質問者:

 「表向きの建前では」ということは裏のお話があるのがいつもの流れなんですけど……。



筆者:

 凄く簡単に言うのであれば、基本的に離婚するときは夫婦の関係が破綻し、

「財産分割の争奪戦」になるために、

 子供の養育に関してだけ突然一致することは難しいように思えます。


 さらに、揉めた時は家庭裁判所が単独親権か共同親権か決めることになる上に、

裁判になるレベルまで揉めたらまずどちらか単独親権になることが推測されます。



質問者:

 海外とも制度が少し違うのなら結局のところ「子どもの返還の執行率が低い」ことの改善は見込め無さそうですしね。



筆者:

 そうなんです。


 現在の単独親権のみの制度でも親権を最終的に認めるのは裁判所であり、

 その判断に間違いがあれば子供が被害を受けるのは現在も共同親権も同じです。


 また、離婚後に共同親権になった場合も、子どもの緊急の手術や入学手続きといった

「子の利益のために急迫の事情があるとき」のほか、

「子の監護や教育に関わる日常の行為」は単独で親権を行使することができると案ではあるようです。


 こういう風に見ていくと、子供視点で見ると他にも意見はあるかもしれませんが、

「あまり意味のない制度」だと僕は思います。



質問者:

 え……何のための制度なんですかこれは……。



筆者:

 まず、離婚制度を複雑化することによって離婚相談の際に弁護士のもとに訪れる可能性が上がることが考えられます。


 また、何も考えずに離婚後に共同親権にした場合にはまずトラブルになります。

 DV被害などに遭っていたら悲惨さが増すと思います。


 そんな時に、弁護士に相談するだけで何万円も取られることがあるので末端の稼げない弁護士にとっては「大変ありがたい制度」とも言えるわけです。


 難関資格を突破された弁護士先生と言えど皆さんが稼げているわけではありませんからね。



質問者:

 確かに色々制度があるだけで弁護士に相談したくなりますよね。

 制度が導入されたばかりでよくわからなくて揉めている時なら尚更……。



筆者:

 もう1点考えられることとしては、

 共同親権を “離婚後も仲の良い元夫婦”が活用することが考えられます。



質問者:

 離婚するのに仲が良いだなんて、何なんですかそれは……。



筆者:

 例えばですね。母子手当や生活保護を不正受給するために“敢えて離婚する”そういったケースがこれまで散見されていたわけです。


 こういったケースの旦那さんとしては共同親権制度を利用すれば母子と仲良くしつつ公的に親権も得ることが可能なので活用していく可能性がありますね。


 また、相続財産の分割のために“敢えて離婚”という選択肢もあります。

 離婚による財産分割は般的な基準と比べて授受する財産が多すぎるとみなされる場合を除き贈与税や不動産取得税はかかりません。


 その上で3000万円分の資産価値があれば相続税がかかりますから、

 一度配偶者に相続して、そこから子供に相続されると財産額が多ければ多いほど相続税で損をしてしまいます。

 子供に離婚で財産を分割した後にそれぞれ亡くなって相続したほうが税金の上ではお得になるわけです。



質問者:

 はぁ……そう言った“裏技”みたいなことが共同親権を活用して起きるわけですか……。



筆者:

 そのために母子手当や生活保護の受給をして共同親権を持っている場合は、

 「不正の可能性が高い」と思われることから、犯罪捜査の役に立つ可能性があると思えます。



質問者:

 確かに、仲が良いのなら結婚生活を続けろって思いますし、

 “何か別の意図”があると思われても仕方ないですね。



筆者:

 また目に見えた刑法上の犯罪ではなく倫理犯ではありますが、

 前配偶者との合意の上での事実上の重婚をやりやすくなることが考えられますね。

 離婚後も前配偶者との子供の間で親権を維持しつつ次の結婚をすることもできるわけですからね。

 

 重婚を事実上やりやすくする国側のメリットとして、

 重婚が認められているイスラム教圏(今、様々な問題で注目されているクルド人も含まれる)の移民を呼びやすくなるといったことがあります。



※日本国民側としてみれば移民が増えることで治安が悪化するなどデメリットの方が遥かに大きいです。



質問者:

 へぇ……共同親権一つをとっても色々な悪用の仕方があるもんなんですね。

 外国人移民政策の一環の一つとは思いませんでした……。

 

 しかし、子供の権利のための制度のはずが全く趣旨とは反していそうですよね……。



◇子供のために必要な制度とは?



筆者:

 このように、「子供を建前」に様々な利権や思惑が交錯していそうな制度なのですが、


 本来の制度趣旨である「子供のための制度」にするには? どうすれば良いのか?

ということを最後に考えていこうと思います。

 

 親権に関しては、離婚当初は最善な選択だったとしても、

 その後の再婚相手とうまくいかなかったりするケースもあると思います。


 意思表示ができるようになる6歳以上で家庭環境が大きく変わった際に、

 子供が行政を挟みつつ親権を再選択できるようにするシステムを作るべきかなと思いますね。

 現状裁判以外で親権を変更できないのは手間です。



質問者:

 おっしゃる通り、離婚した当初の親権の選択がそのまま18歳で成人するまでベストな状況とは限りませんからね。



筆者:

 また、厚生労働省が発表している令和3年の全国ひとり親世帯等調査結果報告によりますと、母子世帯の母の養育費を継続的に受給している家庭は28.1%とかなり少なくなっています。


 父親側に支払い能力が無い可能性もありますが、

 支払う能力があるのでしたら強制的に徴収するなどの制度の確立も図るべきです。



質問者:

 確かに裁判で養育費支払が決定しても法的義務が無いらしいですからね……。



筆者:

 2020年の民事執行法改正では公正証書や判決書、調停調書などで債務名義の形になっていれば、すぐに強制執行ができるのですが、


 債権差押命令申立書

 請求債権目録

 差押債権目録


 の3つが無ければ強制執行ができない上に、養育費を支払う側が「債務名義」になっていないとそもそも徴収をすることがかなり困難な状況です。


 このように、モラルがある父親が3割に満たないのは同じ男としても情けなく思えますね。


 やはり支払わせるためには根本の段階で法的拘束力を持たせることが大事になります。



質問者:

 シングルマザー家庭の財政状況は悪いのでしょうか?



筆者:

 実際に日本シングルマザーの家庭が5割以上で相対的貧困は世界トップとなっています。

 

 結局のところ子育てをしながら女性が多く稼ぐことは困難な実情があるので、

その他には控除を増やし税金を取らないようにするしかないように思います。

 

 現状では奨学金でやっとのことで大学に行き、その返済で子供も困窮するなど「貧困の再生産」が続いていく状況になるのです。



質問者:

 実はかなり母子家庭にとってお金は深刻な問題なんですね……。



筆者:

 以前、生活保護なら割と楽に母子手当と生活保護で楽になるという記事を書きましたが、

 貯金をすることや財産保持の制限があるので暮らしにくいことは間違いないと思います。


 そうなると、シングルマザーで働きながら子育てをして貯金をしながら暮らすことはかなり障壁が高いように思います。



質問者:

 だから母子家庭の貧困率が高いわけですか……。



◇離婚を未然に防ぐことが子供のためになる



筆者:

 理想を言うのであれば夫婦の離婚を未然に防ぐことが大事になると思いますけどね。

 なんだかんだで夫婦仲が良い中で育った子供の方が「グレたり」とかし無さそうですからね。

 

 2010年と少し前のデータですが、犯罪・補導発生の合計数を率で比較すると、

 両親ありの子どもの割合は約5%、

 母有父無の子どもの合計値が約31%、

 父有母無の子どもの合計値が約64%


 とかなり顕著になっています。



質問者:

 両親が揃っていないと非行に走るイメージはありましたが、そんなに違うとは……。



筆者:

 離婚に至らないようにするにはパートナーの性別が違うことを念頭に入れる必要があります。(現状は異性同士でしか結婚が認められていないため)


 2020年7月米国立衛生研究所(NIH)の研究では、脳領域が性染色体遺伝子の発現に偏りがあることから男性に自閉症が多いこととの関連性について指摘しています。


 このように男女で脳の構造が違うので、「違うことを前提としたうえで」お互いに歩みよりを行い、相互理解を行うためのコミュニケーションを頻繁に行うことが大事になると僕は思いますね。



質問者:

 確かに、女性は感情的に判断し男性は理性的に判断するとか言われていますものね……。



筆者:

 脳の構造が違うということを前提としていれば、より問題点が何かを精査し、

 歩み寄りを目指すことが可能だと思っています。


 このように、お互いに何が不満なのか吐き出し合うことも重要だと思いますね。

 溜め込んでいるだけでは何も解決しないと考えます。

 

 大人なのですから子供のためにも離婚をせずに関係を改善するように努力し、

 少しでも不幸な家庭が減ることを切に願いますね。


 ということでここまでご覧いただきありがとうございました。


 このように政治経済の話題や、マスコミの問題について個人的な解説をしていますのでよろしければ他の項目もご覧ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 返信のコメントありがとうございます。 判例にないというのがポイントの様に感じました。一つ新たな何かが出来れば、幾つかの問題が発生する様に、安易な行動は慎まないとな、と子を持つ親として身を引き…
[良い点] コメント失礼します。 >父親側に支払い能力が無い可能性もありますが、支払う能力があるのでしたら強制的に徴収するなどの制度の確立も図るべきです 作者様の仰るように、無責任の結果で子供達が非…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ