珠洲の灯り(文字で旅する奥能登)
【はじめに】
読んでくださってありがとうございます。
私の文章力では限界があるのでぜひGoogleマップをお供にお読みください。
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あなたは石川県の能登半島に行ったことはありますか?
そもそも能登半島がどこにあるか知っていますか?
『今回のこと』で初めて知った方も多いのではないでしょうか。
遠くに住んでいたり興味や縁が無ければそんなものですよね。
私も、例えば四国や九州の地名を言われてもよく分からないですもん。
能登半島は、日本地図の真ん中の上の方にピョコンと飛び出ているアレです。
電車はあのピョコンの3分の1くらいまでしか通っていません。
大きなバイパスも真ん中くらいまでしか通っていません。
金沢駅で新幹線を降りて「ちょっと能登まで足を伸ばしてみようよ」と言ったって、「ちょっと」の感覚で気楽に行けるのはピョコンの根元周辺くらいなもんです。
同じ石川県民でも「能登に行くくらいなら京都に遊びに行く」って言う人もいるくらいです。
そう。能登半島は言葉を選ばずに言うと『辺境の地』
豊かな海と山を有する宝石箱のような辺境の地です。
そして、そんな能登半島のさらに奥にある『最果て』とも呼ばれる地。
それが私が特にお気に入りの珠洲なのです。
金沢から『かほく』へ抜けて『のと里山街道』に乗ると、海が見えてくる。
コバルトブルーの、あるいは灰色の、水平線から波が押し寄せる様を横目に能登へ向かって車を走らせる。
やがて街道はピョコンの真ん中『穴水』で終わりを迎え、そこからはひたすら町の中を山の中を海辺を走る。
そんなこんなでやっと辿り着くのが珠洲です。
まずは北側の外海に沿って進んでみましょう。
▶︎奥能登絶景街道
変に小洒落た名前つけるより趣旨が分かり易くていい。
左手に海を、右手に山を臨みながら半島の奥へと向かいます。
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①塩田
能登の名物の1つに塩があります。
広い砂場のような『塩田』に海水を巻いて自然の力で蒸発させ、それを大きな釜で炊いて塩を作り出すのです。
『揚げ浜式』と呼ばれる製法です。
珠洲の外海側には塩田がいくつかあって、それぞれで製造過程を見学できたりします。
グツグツ煮立った大釜と、日に焼けた逞しい職人さんたちが海水を撒く様は迫力満点。
海水をトルネードのように回転させつつ遠くまで撒くんですって。
職人さんたちは軽々とやってのけてるけど、私は海水の入った桶を持ち上げることすら出来ませんでした。
普通に売っている塩と比べると、手作りの塩って美味しいけど割高……
って思ってる人いるかもしれないけど、1回作業の様子を目の当たりにすると「いや、むしろこの値段じゃ安くない?」って思うことでしょう。
その場で塩の購入もできます。
ノーマル塩の他にも色々な種類があって、私のオススメは藻塩です。
(海藻と海水で作った塩。これでキュウリ揉むと世界一美味いキュウリができあがる)
▶︎道の駅 すず塩田村
気軽に寄れる道の駅。
塩づくりの資料館もあるし、塩作りを体験できます。
塩ソフトクリームも美味しいけれど、私のオススメは『塩むすび』です。
言わずもがな美味い。
珠洲の塩は本当に美味い。
「おいしい」じゃなくて「うまい」って言いたくなるのです。
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②木ノ浦
途中でゴジラ岩を眺めたりしつつ半島の先端へと進んで行きます。
木ノ浦は展望台、お洒落カフェにお洒落ヴィラ、お食事処がある休憩&観光スポットです。
椿が有名な能登半島ですが、その中でも屈指の椿の名所。
▶︎椿茶屋
Googleマップで椿茶屋の画像をご覧ください。
もうそれだけでオススメする理由をご理解いただけるはずです。
お刺身定食も素晴らしいですが、イカの丸焼き?がもうホントに至高のイカ焼き。
▶︎cafe cove
木ノ浦の断崖を下っていくと、海辺に素敵なカフェが待っています。
一面のガラス戸の向こうに広がる海。
過度な装飾は不要とばかりにナチュラルでシンプルな店内。
珈琲が美味しいのはもちろんのこと、ランチも美味しいです。
▶︎椿の断崖展望台
絶景。
でもガチな断崖絶壁すぎて、私は怖くて先端まで行ったことない……
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③狼煙
個人的に大好きな『折戸』の漁港を眺めつつ、いよいよ最果ての最果て。
能登半島の先端、狼煙です。
その名の通り、かつて北前船が難破しないように狼煙を上げていたこの地。
明治時代に作られた県内最古の灯台があります。
▶︎禄剛崎の灯台
まず言っておきたいのが、駐車場からけっこう歩くということ。
遊歩道の整備はされてはいますがアップダウンがあり、ちょっとしたウォーキングくらいには歩きます。
能登の自然を楽しめて良いけれど、ある程度歩くことを想定した靴じゃないと辛いかも。
高台を登るとその先にノスタルジックな灯台が見えてきて、「ああ、最果てに来たんだな」と実感。
絶景なのは言わずもがな。
数多の船人たちがこの灯台の灯りを頼りに航行していたんだと思うと浪漫があります。
ちなみに灯台の手前で、ラスボス手前の雑魚モンスターの如くトンビが食べ物を狙ってきますのでご注意を。
食べ物を手に持っていかない方がいいよ。
▶︎いかなてて
とにかく画像見て!
カレー嫌いな人以外は全員「食べたい!」ってなるから。
ああ、食べたいなあ……
▶︎道の駅 狼煙
ここでトイレ休憩しといた方がいい。
トイレ気分じゃなくても、とりあえず行っとくことをお勧めします。
この先トイレスポットないから!
もちろんお土産も買えます。
オススメは『大浜豆腐』です。
地物の大豆と、珠洲の塩田で作られた天然にがりでできた豆腐は濃厚で美味しい。
旅先で豆腐まるごと買うのはちょっと…って人には、豆腐スイーツやおからコロッケなんかもあります。
でもやっぱ一度豆腐のままで食べてほしい。
おぼろ豆腐と地酒を買って、お宿で晩酌…なんてどうでしょうか?
オンラインショップもあるから、気になったらぜひ購入してみてほしいです。
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【閑話休題】ランプの宿
断崖絶壁の下にある秘境宿。
芸能人もお忍びで来るらしい。
時間に余裕があれば寄ってみてもいいかも。
手前にあるショップの駐車場に海に飛び出したブランコみたいなのがあって、泊まらなくても楽しむことができますよ。
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④三崎周辺
何があるかって言ったら、ほぼ山と海と民家だけなんだけど。
ノスタルジックな日本の海という感じで私は大好きなんです。
海岸沿いをゆっくり車で走っているだけで幸せな気持ちになれます。
なんでだろう?
なんでこんなにこの景色が好きなのかな?
海辺のバス停とか、防波堤とか、その辺に放ってあるよく分からん古びた機材とか。
思い出すだけで無性に帰りたくなる。
出身地でもないし、知り合いもいないのに。
Googleマップで一度海岸沿いを走ってみてほしいです。
もしかして無性に帰りたくなるかもしれません。
▶︎須須神社
能登半島の鬼門の入口にあるという日本海を守る神社にして、その界隈では有名なパワースポット。
らしいです。
スピリチュアルなことは全然わからないけど、私自身がこの土地にパワーをもらってる人間なので妙に納得してしまう。
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⑤蛸島
スキップとローファーの主人公みつみちゃんの故郷・イカジマ…ではなくて、タコジマです。
珠洲市の端っこにある地域です。
▶︎珠洲焼き(珠洲市陶芸センター、珠洲焼き資料館)
石川県といえば九谷焼が有名ですが、珠洲焼きも素晴らしいのでぜひ知ってほしい。
華やかな九谷焼きとは正反対の、灰黒色のシックな珠洲焼き。
この黒は釉薬ではなく、鉄分を多く含む珠洲の土を高温で焼き上げたことによる「灰」の黒です。
故に、水やお酒を入れて飲むと美味しさが増すといわれています。
コーヒーカップとして愛用している人も多くいますね。
私は陶芸体験で自作した器をうどん用として愛用していました。
黒い器に白いうどんと黄金色の出汁が映えて、普通の冷凍うどんが高級うどんの如く見えるんです。
実はこの珠洲焼き、室町中期で一旦途絶えています。
それを昭和50年代に、当時の資料と器の欠片を元に復興させたという熱いヒストリーがありまして。
「途絶えさせないように」
「未来へ繋いでいけるように」
それを知った上で器を手に取ると、なんだか人々の意思や情熱みたいなものを感じるのです。
今、こういう時だから尚更。
興味がある方は、一度実物を手に取ってみてほしいです。
カップなど、そう高くない値段で買えますのでよろしければぜひ。
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⑥飯田町周辺
珠洲市の中心地です。
中心地だけあって飲食店はたくさんあります。
その中から、とりあえず押さえるべき有名所を2つ紹介します。
▶︎二三味珈琲
ニザミコーヒーと読みます。
石川県を代表する珈琲屋さんだと思います。
有名過ぎて正直金沢でも買ったり飲んだり出来るのですが。
なんなら通販で豆買えちゃうのですが。
でも、せっかく珠洲まで来たならやっぱり一度は行かなくちゃね。
カフェも素敵でケーキもとっても美味しいですよ。
▶︎谷川商店
奥能登において稀な行列のできるパン屋さんです。
とっても美味しい…らしい。
何度か行ったけど、いつもタイミング悪くて買えたことないんだよ……
いつか絶対クリームパンを食べるんだ……
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⑦見附島周辺
白い軍艦に緑のパーマをくっつけたような海辺にある小島。
周辺には日帰り温泉、キャンプ場、レストラン、公園がある珠洲市を代表する観光名所です。
浜辺から臨む見附島は絶景…というよりは「いい景色だなあ」とまったりコーヒーでも飲みたくなるような長閑な美しさがあります。
いわゆる珪藻土でできた島は自然災害によってたびたび姿を変えていて、今回のことでも一部崩落してしまいました。
いつの日か形がなくなってしまうこともあるのかな?
形あるうちに、たくさんの方に訪れてほしいです。
▶︎宝湯
古い銭湯が好きなら絶対に行った方がいい宝湯。
元々クラウドファンディングをしながら存続を選択してくれたのだけど、今回の件のダメージは大きいらしく今後どうなるのだろうか。
もう続けられないとなったら、寂しいけど仕方ないかな。
事が事ですから……
でも、まだまだ続けたいと言うなら支援したいというファンはいっぱいいるはず。
そのくらいファンが多い、味のある銭湯なのです。
Googleマップでぜひ画像を見てください。
今後どうなろうとも、こんな銭湯が珠洲にあったことをちょっとでも知ってほしいと思います。
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⑧恋路海岸の周辺
最後は大好きな恋路海岸周辺です。
恋路海岸は正確には珠洲市ではなく能登町なのだけど。
そのボーダーライン近辺にあります。
こじんまりとした白い砂浜と青い海の先に弁天島があって、鳥居越しに朝日を見ることもできます。
目の前にある旅館と相まって、なんとなくレトロな雰囲気の海岸。
道の駅があるわけでもなくカフェがあるわけでもなく。
ただただ穏やかな風景が心に沁み入るだけの海岸。
個人的にこの海岸は思い出の地で、ここを訪れた時の写真の私はとっても良い笑顔をしている。
次に行ったら、恋路海岸の宿で一泊して海を眺めながらまったりおしゃべりして、能登町のNotPainで買っておいたパンを食べるんだ。
いつか絶対にそうするんだ。
▶︎宗玄酒造
珠洲を、能登を、石川県を代表する有名なお酒の酒蔵です。
県外にもファンは多いんじゃないでしょうか。
恋路海岸から珠洲へ入ってすぐにあります。
今回のことで今年の酒造りは断念せざるをえなかったようで……
県外の酒屋さんでも取り扱っているところはあるかと思いますので、お酒好きな方はぜひ買ってみていただきたいです。
なんとか、次の酒造りに繋げていけますように。
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買って応援とか旅行で訪れて経済回すとか。
金沢はともかく、能登はまだまだそんな段階ではありません。
そして無力な一個人が募金以外に何をできるわけでもなく。
「今はただ社会の歯車の一つとして働くべし」ってことで私は日々労働しております。
でも然るべき時が来たら。
大好きな地を訪れるつもりです。
その時の能登は、今までの能登とは少し姿形を変えているかもしれないけれど。
でもきっとまた新しい能登を好きになると思います。
そんな日が来ることを、心から願っています。
【おしまい】
読み返してみたら「文字で巡る」って言ってるそばから早速Googleマップに頼ってて笑うw