仲間外れ
レグルスお兄様、ユリウス王子、ウィル様はチェスやビリヤードをやろうと遊戯室へ移動した。
ミアプラお姉様はチェスを好むので見に行きましょうよ、と誘ってきたけれど私は一緒にお茶をしただけで疲労困憊だったのでお断りする。
そうして、ノアを見る。
ノアもこちらを見ていた。
私はノアへ駆け寄って耳打ちをする。
「さっきはごめんなさいね。助かったわ」
「勘弁してよ」
ノアはげっそりとした顔で答える。
「本当にごめんなさい。次にノアが困った時は私が助けるからね」
ノアは私の目を見て一瞬黙り、「あぁ、うん」と目を伏せて答えた。
「ノア?」
私がノアの顔を覗き込もうとすると、後ろからレオンの尖った声がした。
「おい!またお前ら二人でこそこそして」
てっきり、ミアプラお姉様とチェス観戦に行ったと思っていたのに、レオンがまだ残っていたのだ。
「別にこそこそなんてしてないわよ」
「おい。ノア。マーガレットでくしゃみが出るって?なんだよそれ」
責めるようにノアに近寄るので、私がノアを庇うように前に立ちふさがる。
それもレオンの癪に触ったようで、私に顔を近づけ、睨み付けてきた。
「産まれた時からずっと一緒の俺が知らなくて、スピカが知ってるってどういうことだよ」
「な、なによ。レオンには関係ないことだわ」
喧嘩腰のレオンにも腹が立ったし、先程のことは蒸し返されたくないので強めに言い返す。
「なんだよ。この前はダンスの時、ノアと踊るより楽しいって笑ってたくせに」
「ちょっとぉ!私そんなこと言ってないわ」
否定すると、レオンは傷ついた瞳で私を見た。
えっ。
私が悪いの?
「た、確かにレオンとのダンスは楽しかったけど」
思わず言葉をかけると、レオンはパッと顔を赤らめた。
「ほらっ。やっぱりそうだろ」
「え」
「そうなんだ」
後ろからノアが暗い声を出す。
私は慌ててノアに振り向き「ノアより楽しいなんて言ってないわ。レオンが思ってたよりリードが上手で楽しかったってだけなのよ」と言い訳のように口にする。
「ノアと比べて上手だって、ことだろ」
「そんなこと言ってないじゃない」
私はレオンに言い返したりノアを見たりとあたふたしてしまう。
「スピカさ、今のうちにノア離れしとけよな」
「は?何なのよ。それ」
嫌な言い方にカチンとくる。
「レオン」
ノアが低い声でレオンを呼ぶ。
二人何も言わずに見つめ合い何秒か過ぎる。
レオンが「わかったよ」とボソッと呟いたかと思うと「ま、とにかく、今度からは俺を仲間外れにしようとするなってことだから。行こうぜノア」と、声をかけ二人で遊戯室へと行ってしまった。
残された私は一人ポツンと廊下に立ちつくす。
一体、何なのよ?
「私こそ仲間外れされてるんじゃないの?」
双子独特の間の取り方にはついていけないわ。
私は溜め息を吐いて自室に戻ったのだった。
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